こと座の神話
〜Myth of Lyra〜

太陽の神でもあり、音楽の神でもあるアポロンに、オルフェウスという息子がいました。

オルフェウスは歌がとても上手です。お父さんからもらった竪琴を引きながら自分で作った歌を歌うと、オリュンポスの神々はもちろん、人々や野山の動物たちさえうっとりと聞きほれてしまうほどでした。

やがてオルフェウスはギリシアで一番美しいエウリュディケと愛し合うようになり、2人は結婚して楽しい毎日を送りました。

ところが、突然エウリュディケは草むらの中にいた毒蛇にかまれて死んでしまいました。オルフェウスは、どんなことをしてでも妻を「死の国」から取り戻そうと決心しました。

(オルフェウス)
「そうだ、僕の音楽の力でハデス(死の国の王)の心を動かして、エウリュディケを返してもらおう!」

死の国の入り口で番をしている番犬も、オルフェウスの歌を聞くと、猫のようにおとなしくなってしまいました。

恐ろしい死の国の王の前に着いたオルフェウスは、心を込めて歌いました。その歌声に、さすがのハデスの心も動いて、エウリュディケをもう一度地上へ返してやることにしました。

ハデスはオルフェウスに言いました。

(ハデス)
「ひとつだけ条件がある。明るい地上へ出るまで、お前はどんなことがあっても後ろを振り返ってはいけない。」

喜びいさんだオルフェウスは、エウリュディケの小さな足音が後ろからついてくるのを聞きながら、暗くて長い地上への道を歩いていきました。

しばらくして、ついに先のほうに地上の光が見えてきた時、オルフェウスはふと後ろからついてくる妻の足音が聞こえなくなったような気がしました。

そして、心配のあまり、思わず後ろを振り返ってしまったのです。

 

 

「あっ!」

と小さな叫び声がしたと思うと、エウリュディケはたちまち死の国へ連れ戻されてしまいました。

あわてて後を追ったオルフェウスですが、今度はどうしても中へ入れてもらえませんでした。

その後、とうとう彼は気が狂って死んでしまいました。そして、あの竪琴だけが点に上げられ、こと座になったのです。







みなさんはきらびやかな1等星を首星(星座の中で最も明るい星)としてもつこのこと座を見上げたことがあるでしょうか?夏の夜空の代表選手であるこの星座にはオルフェウスの栄光と妻への愛、そして後悔とが象徴されているのかもしれません。

今度夜空にこと座が現れたら、その時は、 古代ギリシアに思いをはせながら眺めてみるのもいいかもしれませんね(^_^)→こと座

(text by enomoto)