僕と先生と刑法199条

<キャラクターの設定>

内城教授
本名:内城罪重(ないじょうつみしげ)
猫と刑法が大好きな奈良県在住の43歳。
いつも「法の抜け穴」のことばっかり考えてて、
仕事はぜんぜんしてないよ♪
前科があることは周知の事実だよ★
先生の家では夫婦が家庭内別居という形を採るのが、
判例・通説だよ^^







東君
本名:東信義(あずましんぎ)
得意科目:体育、図工、国語、民法
憲法改正論を唱える、どこにでもいる小学校四年生。
先生の近所に住んでいる、知的欲求の塊のようなコだよ☆
趣味はポケモンとお酒で人をつぶすことだよ♪





ウサギライダー
原チャで世界一周を夢見るさすらいの男。
出発の日、コンビニで立ち読みしている間に
右バックミラーが盗まれて「左やったらギリギリいけたのに。」
と出鼻をくじかれ、心が折れてしまう。
本編には出て・・・来た!!





妻の父
奈良の刑法界の権威。奈良大学(私立)の名誉教授。
大阪高等裁判所でバイトをしたこともある。
今は隠居生活でたまに老人クラブを集めてなんでも法律相談室を開いている。
主な著作に「部屋とYシャツと強盗致死」
「猿でもわかる折衷的相当因果関係説」
「60歳からはじめる刑法」などがある。




先生の妻

旧姓:大谷説子(おおやせつこ)
得意分野:行政法、商法、労働法
先生との出会いは奈良地方裁判所で、弁護士と被告人という立場だった。
そして(AがBの土地を善意無過失で10年間占有して
取得時効を成立させるように)愛を育んでいった。
しかし今、消滅時効が成立するかのように二人の絆は消えつつあった・・・
※この場合、善意というのはAがその土地の所有権が
Bにあることを知らないことをいう。
知ってる場合は悪意で20年で取得時効が成立する。






内城家の猫
あだ名:フォイエルバッハ3世
先生が愛してやまない猫。でも先生のことが嫌い。
バイトをして独立する資金をためている最中。
先生からもらったエサは口にしないように他の家族からしつけられている。
出来る猫。





先生の娘
本名:内城知子(ないじょうともこ)
得意科目:音楽、理科、憲法
愛読書はりぼんとなかよしと判例六法(有斐閣)というどこにでもいる女の子。
友達にはお父さんはいないといっているよ♪
もしものときは尊属殺重罰規定違憲判決の類推適用を考えている。






中村
いじめっ子。奈良のジャイアン的存在。





■重要判例■


尊属殺重罰規定違憲判決
(最大判昭48・4・4)
●事案
旧刑法では普通殺のほかに尊属殺人を認め、その法定刑として死刑または無期懲役と定められていた。その当時、中学2年生以来実父から10年以上にわたって夫婦同様の生活を強いられてきたものが実父を絞殺して自首したため、尊属殺人罪として起訴された。
●判旨
@憲法14条1項は「事柄の性質に即応した合理的根拠に基づくものでない限り、差別的な取り扱いを規定する趣旨」である。
A刑法200条の尊属殺人罪が199条の殺人罪よりもおもく処罰されている点につき「
尊属に対する尊重報恩は、社会生活上の基本的道義と言うべく、このような自然的情愛ないし普遍的倫理の維持は刑法上の保護に値する。」そこで「被害者の尊属であることを犯情の一つとして具体的事件の量刑上重視することは許されるものであるとするのみならず、さらに進んでこのことを類型化し、法律上、刑の加重要件とする規定を設けても、かかる差別的扱いを持って直ちに合理的根拠を欠くものと断ずるものはできない」として立法目的自体の合理性は肯定した。
Bしかし「加重の程度が極端であって前示のごとき立法目的達成の手段としてはなはだしく均衡を失し、これを正当化しうべき根拠を見出しえないときは、その差別は著しく不合理なもの』として違憲となる。「刑法200条は尊属札の法定刑を死刑または無期懲役に限っている点においてその立法目的達成のために必要な限度をはるかに越え、普通殺に関する刑法199条の法定刑に比し著しく不合理な差別的取り扱いをするものと認められ、
憲法14条1項に違反して無効である。」


第1講『実行行為に関する諸問題』
難易度:★☆☆(近所の刑法おじさんレベル)

東君「いやー昨日の飲み会楽しかったな。酒でつぶれた人もでたからね。
でももし寒空の下つぶれている人をほって行って死んたら、
ほっていった人は罪になるのかな??」
内城教授「東君、前に犯罪の構成要件要素のうちで最も重要なものの1つに実行行為があるけど、それは当該基本的構成要件が予定する
結果を発生させる現実的危険を含む行為
と定義できるという話をしたよね?
今回はほっていくという不作為犯について若干の説明をすることにするね。」
東君「わーい、趣味でやってた刑法で教授の座まで上り詰めた内城教授だ〜^^
たしか人を殺す(199条)ことは犯罪には作為の形で規定されるから
真正作為犯
なんだよね★」
内城教授「うん。今回の問題は作為の形で規定されている殺人罪などを不作為の形で犯すことができるかということだね!これは不真正不作為犯の問題なんだ^^
例えばBが溺れている所をとおりかかったAが「死んでもかまわない」と思って傍観していたので、Bが溺死したような場合には殺人罪の構成要件に該当するのかな?
東君「うーん。まず不作為は無であり、無から有は生まれないからただ見ていただけで犯人にされるいわれはないよね??でも「死んでもかまわない」と思ってみていることには問題がある気がするね★」
内城教授「東君、この場合は刑法上不作為とは何もしないことではなく、期待された行為をしないことであるとかんがえられているので、不作為からも殺人結果を発生させることがありうるんだよ♪この点については、被害者との関係で法令・契約・事務管理・条理などによって結果を防止すべき法律上の作為義務を負うものの不作為であって初めて構成要件に該当すると考えるんだ!この例で言えばAがBの親ならば殺人罪の可能性があるけど、
単なる通行人なら作為義務はないので無罪になるね。」
東君「ねえねえ、また先生の生々しいエピソードを聞かせてよ!」
内城教授「そうだね・・昔、交通事故で重傷を負い、道路沿いの水深約50センチの川の中に転落した被害者を放置して、逃走しちゃったんだよね。でも死亡の蓋然性が高度とはいえないから、僕はその認識を有していないので未必的故意がなく、
殺人罪は成立しなかったんだよ。(岐阜地判昭42.10.3)

東君「先生、またギリギリだったね★よし、わかった!これからは飲ませて人をつぶしても放置せず、ちゃんと送り届けることにするね♪」
内城教授「・・・・。その前に人をつぶすのはやめようね(笑)」
刑法第199条:人を殺したものは、死刑または無期若しくは5年以上の懲役に処する。



-竹内ゼミではもう、過去のあやまちを繰り返さない


      竹内ゼミ3期生幹事 東寛之
            副幹事 内城知彦





第2講『因果関係論』
難易度:★★☆(法学部レベル)

東君「先生〜、どうしよう!!?ちょっと話をきいいてよ!!」
内城教授「おやおや、東君どうしたんだい?そんなにあせって★いま石やきいも食べてるから後にして。」
東君「も〜、そんなもん食べてないで僕の話を聞いてよ><」
内城教授「そんなもんとはなんだ!わざわざ隣町まで買いにいったんだぞ!!」
東君「え〜、石焼芋なんてこの町でも買えるじゃん。」
内城教授「いや、そうなんだけど今日近くに石焼き芋屋さんが来たから
買いに行ったんだけど・・・

内城教授「すみません、石やきいもください。」
おっさん「あいよ〜。」
・・っていっておっちゃんが製造中の炭焼きかまどを開けたらかまどの中に見知らぬ少年の焼死体が入ってたんだよ。
おっさん「あら〜、こらあかんわ。あんた何こんなところに隠れてるん!?
かなんわ〜。ほっとこか!!」
内城教授「それもいいね。この場合、死体を搬出しないでかえってかまどの穴を鉄板でふさぎ放置した場合には、その少年が面識のないものである以上、おっさんには埋葬義務は発生しませんよ★だからこの場合被害者との関係で死体遺棄罪にはあたりません。(大判大13.3.14)
これは第1講の話の続きだね♪」
おっさん「へ〜、なるほど。まあどっちにしろ今日はもう店じまいするから悪いけど違う店に買いに行ってくれる!?」
内城「わかりました。でも、あなたにはその子の埋葬義務は発生しませんが、今の話で私に対して講義料400円を支払えという債権は発生しましたよ。」

・・・ってなわけでわざわざ隣町まで買いにいったってわけさ★」
東君「ちょくちょく事件に遭遇する、けちなおっさんやな〜。

・・あっ!僕、A君の頭を軽くたたいたらA君が死んじゃったんだよ〜><」
内城教授「落ち着いて、詳しく聞かせてくれるかな?!」
東君「うん。A君てゆーのは僕の同級生なんだけど、脳梅毒の病気だったんだ。この病気は外形からはわからず、頭に軽い衝撃を与えただけでも死んじゃう病気なんだけどぼくそれをしらなかったんだ!それでA君と普通にしゃべってたら・・・

A君「東君、今日は朝ごはん何食べてきたの?」
東君「白ご飯と納豆と味噌汁と玉子焼きだったかな。A君は!?」
A君「う〜ん、僕は・・チェリーパイ。」
東君「欧米か!!」

・・って軽く頭をたたいたらA君が死んじゃったんだよ!!これって殺人罪の構成要件に該当するのかなあ〜><??」
内城教授「それは学説上争いがある因果関係論の話だね★因果関係とは結果犯において構成要件的結果が発生した場合に、その結果を行為者に帰責するための要件なんだ。あっ、刑法というのはその条文による解釈の仕方が分かれており、学者によって考え方が違うんだ。裁判所の判決は裁判例・略して判例となり、有力な学説は通説となるんだ。」
東君「知ってる!民法や憲法でも学説の争いってあるよね!!」
内城教授「刑法は特に学説の争いが多いんだよ。東大や同志社大・名古屋大などの教授の説などいろいろあるんだ♪
さあ、この場合東君の行動とA君の死亡に因果関係があるかを見ていく前に因果関係について復習するよ。」
東君「たしかあれなければこれなしという条件関係さえあれば足りるとするのが判例の基本的立場だよね★」
内城教授「条件説が判例だね。しかしこれでは結果さえ生じれば何でも帰責できることにもなりかねず、時に過酷な結果を招くことになるんだ。たとえば東君が居酒屋のバイトに5分間遅刻したとする。」
東君「僕、小学校四年生なんだけど・・」
内城教授「5分間遅刻したせいで、注文が遅れてガラの悪いお客さんが怒って、ビール瓶を投げつけたんだよ。そしてそれを東君がよけたら運悪く後ろにいたお客さんに当たって死んじゃったんだ。しかもその死んだお客さんというのは実は医学界の権威で、どんなガンでも治す治療法を発明し、それを発表する前だったんだ。運悪くビール瓶を投げられガンの治療法を発表できずに死んじゃった。これから先救うことの出来た何百・何千万というガン患者の人の命を救えなくなっちゃうんだ。そしたら東君は五分の遅刻で、何百・何千万の人の命を奪ったことになるのかな??」
東君「う〜ん、たしかに僕の遅刻がなかったら、この結果は発生してなかったと思うけど、ここまで処罰の範囲を広げたら、おちおちミスも出来ないよね。人々の予測可能性を害し、国民様の自由な行動を萎縮させることになる・・これはまずいよね★」
内城教授「はい、よくできました。そこで処罰範囲を合理的に確定するために相当因果関係説が通説となっているんだよ♪
じゃあ例えばAがBをピストルで撃ったところ、うまくあたらずBの左手小指にかすっちゃいました。
B「も〜ちゃんとねらってよ><地味にいたいですやん。しゃーないな、傷口からばい菌が入ったら嫌やから一応病院で見てもらおうかな★」
といって、たまたま通りかかった通行人の通報により、Bは救急車でで運ばれたけど、病院で火事が起こり、Bが焼死した
という例を考えてみよう↓
このような例では条件説では殺人既遂(既遂とは犯罪が完成したこと)を認めることになりかねない。
でもちょっと待ってよ、指にかすっただけなのになんで殺人既遂になるの?
こうした不都合を是正するために主張されたのが相当因果関係説なんだよ♪この説の場合社会的相当性で因果関係を判断する点では共通するけど何を基礎に相当性を判断するかで3つに説が分かれるんだ!!
まず主観説は行為時に行為者が認識した事情、または予見することが可能であった事情を判断基底にするよ。
折衷説では行為当事に一般人なら予見することが可能であった事情及び行為者が特に認識していた事情を判断基底とする。
最後に客観説では行為時に存在した全事情及び行為者の事情で予見することが可能であった事情を判断基底とするんだ。」
東君「いっぱいあるんだね。」
内城教授「じゃあこの例では主観説ではAが行為当時に病院の火災を予見していたならば因果関係が認められる。折衷説ならば行為当時に一般人が病院の火災を予見可能であるかAが予見していたならば因果関係が認められる。客観説ならば病院火災が一般人にとって予見可能なものなら因果関係が認められるんだ★」
東君「じゃあ僕が脳梅毒の人の頭を軽くたたいて、死に至らしめた場合は??」
内城教授「相当性判断の基礎事情として行為時の特殊事情をどこまで取り込むかの対立で、じゃあこの場合は、折衷的相当因果関係説で見ていこう!!
@一般人は知りえない、もちろん行為者である東君も知らなかった場合

A君は脳梅毒であったということを基礎にしない

じゃあ健康な人の頭を軽打して死ぬことはよくあることですか?NOだよね。

だから軽打(行為)と死(結果)の因果関係は否定されるね。

したがって怪我との因果関係もないと考えると単なる暴行罪が成立するね。

A次に行為者の東君がAくんが脳梅毒であることを知っていた場合は問題だよね♪
この場合は脳梅毒であるという事実を基礎にする。

死の結果は相当、行為者の予想通りだね。

これは因果関係があるよ。

この場合は傷害致死罪になるんだ★
東君「そっか〜、じゃあ客観的相当因果関係説で考えると常に脳梅毒を基礎にするから因果関係ありとするんだね。主観的相当因果関係説でいけば行為者はもちろん認識していないんだから因果関係は否定されると★」
内城教授「客観的相当因果関係説からは因果関係ありということは傷害致死になるように思えるよね。でも殺人という重い結果に過失がなければ結果的加重犯は不成立というのが通説なんだ。だからせいぜい傷害罪にとどまる。折衷説は因果関係で切り、客観説は過失で切る。ちょっと難しかったね。まあ、今回のケースはどちらの説に立っても傷害罪どまりだよ☆」
東君「そっか〜、よかった^^今日の授業はためになったよ↑↑お礼に今日は特別に講義代払うよ♪いくらがいい??」
内城教授「う〜ん、じゃあ4ドル。」
東君「欧米か!!」



第3講『責任論〜故意・過失〜』
難易度:★★★(国家T種・裁判所事務官レベル)

東君「わ〜い、親戚のおばさんから1万円ももらったぞ^^」
内城教授「ふ〜んだ、僕なんて年収3万円だぞ!!」
東君「子供相手に何張り合ってんだよ・・・
ってゆーか、年収3万円ってすくなっ!!もっと働けよ、この甲斐性なし><」
内城教授「ところでその1万円は何に使うんだい?」
東君「そうだな〜、先生の家みたいにペットで猫がほしいなあ♪
でも1万円じゃ無理か。。。」
内城教授「ペットは飼うのが大変だよ。先生なんて常に借金取りから命を狙われているから銃弾が猫に当たらないかひやひやもんだよ。」
東君「あんただけだよ!!あっ、でももし僕が先生を殺そうとして銃を撃ったけど、間違えて飼い猫にあたって死んでしまった場合はどうなるのかな??」

内城教授「そうだね、愛しい愛しい僕の猫ちゃんを殺しちゃった場合は近隣住民が通報する前に東君の喉を一刺しだよ♪♪」
東君「そんなこと聞いてないよ><!!真顔でそんなこと言うなよ、こわっ!!そうじゃなくて僕は殺人罪とか何罪に該当するのかなあ??」
内城教授「熱い質問だね。それは故意の問題だよ。基礎から説明するね☆大学で説明すると気絶者続出の難しい論点だから心して聞いてね^^」
東君「小学生に何教えるんだよ・・・」
内城教授「故意については38条に規定を置く。ここで『罪を犯す意思がない行為は罰しない』としている。つまり罪を犯す意思がなければ原則として処罰されないんだよ。この罪を犯す意思が故意なんだ。じゃあ故意とは何かをくわしく見ておくけど、ここまでいいかい?」
東君「故意とは普通、わざとってゆう意味だけどでもわざとっていえるにはどんな心理状態が必要だろう?あと、故意と過失ってどうちがうのかな??」
内城教授「故意と過失の限界、未必の故意認識ある過失の区別の問題なんだ。うっかりやっっちゃったという過失よりも故意でわざとやったほうが原則として重い刑罰を課されるんだ。
それはわかるかな?」
東君「それは行為者が犯罪成立構成要件を満たす事実を認識する場合、自己の行為が違法なものであることを認識し規範の問題に直面することが出来る。人は犯罪を犯すとき『人を殺したら罪になるよ』という規範に立ち向かうよね。でも行為者はその行為を思いとどまるべきだったのにもかかわらず規範を突き破り『あえて』行為に出て法益侵害の結果を発生させた以上、そこには直接的反規範性が認められるから強い非難・重い刑罰に値するんだ☆」
内城教授「そこまでわかっている小学生はなかなかいないよ^^また結果発生の可能性は認識していてもまさかそんなことはあるまいと思っている人には規範への直面がないから『わざと』という故意が認められない。不注意にとどまるんだ。過失と故意の区別に関してその境界上に位置する認識ある過失未必の故意について説明しとくよ。まず認識ある過失というのは限りなく故意に近い過失なんだ。それに対して未必の故意は限りなく過失に近い故意なんだよ。だから例えば六甲商店街のような人通りが多く狭い道を考える。ここで歩行者がいることを認識しつつもまあ俺のハンドル捌きなら『ひくことはあるまい』と思って時速60キロで走ってたらひいちゃった。この場合は認識のある過失で業務上過失致死傷罪が成立する。『まあひいてもいいや』という心理状態の時には未必の故意ということになり傷害罪が成立するんだ」
東君「ふ〜ん、故意というのは犯罪成立要件に該当する事実を認識・認容する心理状態だということができるのか・・人は規範に直面したときそこで思いとどまるべきなんだね。でもそこで規範を突き破ることで、故意になり過失のときよりも罪が重くなるんだね。」
内城教授「よし、まだ気絶してないね。つぎに故意に関わる重要な問題の『錯誤』について検討するよ☆錯誤とは勘違い、すなわち主観的に行為者が認識していたことと客観的に発生した事実と食い違うことだけどこうした食い違いのある場合でも「わざと」やったとして犯罪の成立を認めることが出来るのかが錯誤の問題なんだ。錯誤の全体像をまず見ておくよ

T事実の錯誤
@構成要件的事実の錯誤
@具体的事実の錯誤(同じ犯罪)
客体の錯誤
方法の錯誤
因果関係の錯誤
A抽象的事実の錯誤(違う犯罪)
客体の錯誤
方法の錯誤
因果関係の錯誤
A違法阻却事由に関する事実の錯誤
U法律の錯誤

まず大きく事実の錯誤法律の錯誤に分かれて、次に事実の錯誤の中で構成要件的事実の錯誤違法性阻却事由に関する事実の錯誤に分かれる。そしてさらに構成要件的事実の錯誤具体的事実の錯誤抽象的事実の錯誤の二つにわかれる。具体的事実の錯誤というのは同一構成要件内の錯誤例えばAという人を殺すつもりでBを殺した、同じ犯罪だよね。抽象的事実の錯誤は異なる構成要件にまたがる錯誤、例えば人を殺すつもりで犬を死なせた。これは別の犯罪だよ。そしてさらにそれぞれが客体・方法・因果関係の錯誤にわかれるんだね♪
客体の錯誤というのは、例えば中村晃司だと思って撃ち殺した場合、じつはそっくりさんの森山未來だったっていう場合だね。そもそも的の設定ミスだ。
打撃方法の錯誤というのはたとえば中村晃司を殴ろうとして隣にいた森山未來を殴ってしまった場合だ。的外れだね。
因果関係の錯誤は中村晃司をピストルで撃ち殺そうと思ってピストルを撃ったところ弾は当たらなかったがびっくりした中村は心臓麻痺を起して死んだというような場合だね。結果発生の経路が意外。じゃあこういった事実の錯誤をどのように処理するのか?それは規範がどのように与えられているかによって以下の3説に分かれるんだ。

抽象的符号説「およそ犯罪を犯すな」
法定的符号説(判例・通説)「〜罪を犯すな」
具体的符号説「〜さんに〜罪を犯すな」

このように行為者が実行のときにどのような規範に直面したかで結果が変わってくるんだ。」
東君「難しいね。。。。」

内城教授「だんだんわかってくるよ☆じゃあ判例・通説の法定的符号説をあてはめて次に具体的符号説を見ていくよ♪客体の錯誤について!
(例)甲だと思ってよく似た乙という人を撃ち殺した。
人を殺そうとして殺している以上法定的符号説では『人を殺すな』という規範に直面しているから故意が認められるね。
打撃(方法)の錯誤について
(例)甲を殴ろうとしたが誤って隣にいた乙を殴り怪我をさせてしまった。
法定的符号説
ではこの立場で故意の個数を考えるか否かをめぐって争いがあるんだ。まず故意の個数を考えない立場では理論的には甲に対する暴行罪と乙に対する傷害罪が認められる。これに対して故意の個数を考える立場では結果が生じた客体について故意を認め、故意はそこで燃え尽きてしまっている。今日他の客体については過失のみが問題となる。したがって、過失致傷未遂は不可罰(罪にならない)だから乙に対する傷害罪のみ認められる。判例は故意の個数を考えない立場をとっているんだ。これを数故意説というんだ。ここは大事だから例を変えてもう一度見ていくよ☆因果関係の錯誤は故意を阻却しないということだけ覚えておけばいいよ。じゃあ次の例☆
ピッコロはラディッツを殺すつもりで魔貫光殺砲を放ったところラディッツにあたり死亡したが、さらにその後ろで抑えていた孫悟空にもあたり、孫悟空も死亡した。
この事例を故意が一つしかないと考える一故意説からかんがえる。故意は一つしかないからラディッツのところで燃え尽き、孫悟空との関係でもはや故意はなくなると考えるんだ。そうすると判決は具体的符号説ではピッコロは『ラディッツを殺すな』という規範には直面しているけど、『孫悟空を殺すな』という規範には直面していないので故意は認められず、ピッコロは
ラディッツに対する殺人既遂罪
孫悟空に対する過失致死罪が成立することになる。
この説は具体的符号説から法定的符号説に対し、法定的符号説では『およそ人を殺すな』という規範に直面しているのでラディッツと孫悟空の両方に対して故意が認められ上記事例でラディッツに対する殺人既遂と孫悟空に対しても殺人既遂が成立するのはピッコロに対して罪が重すぎるとの批判が向けられたことから法定的符号説の立場に立ちつつ、その批判をかわすべく主張されたんだ。
次の例:ピッコロはラディッツを殺すつもりで魔貫光殺砲を放ったところラディッツには当た
らず(あるいはあたったがラディッツは死なず)そばにいた孫悟空にあたり孫悟空が死亡した
という事例
では結果の生じた孫悟空との関係で一つしかない故意を使い(ここで燃え尽きると考える)ラディッツとの関係では故意なしとする。
ラディッツに対しては不可罰(あるいは暴行罪)
孫悟空に対する殺人既遂罪
しかしその後ラディッツが当たり所が悪くやっぱり死んじゃった場合、ラディッツに対する殺人既遂と孫悟空に対する過失致死に事後的に評価を変えなければならず訴訟上困難を生じるのでこの説は支持を失っているんだ。
東君「そこで数故意説の出番だね!!」

内城教授「そうだ、そもそも女子中学生の恋じゃないんだから故意(恋)なんていくらでもあるんだよ(笑)なおラディッツと孫悟空の両方とも死んだ場合に重過ぎるとの具体的符号説からの批判に対しては、観念的競合となるから、科刑上は重くならないと反論すればいいんだ☆観念的競合というのは罪数論の話になりややこしくなるからここでは後に話を回させてね♪
さあて、もうひと頑張りだ!!抽象的事実の錯誤の場合を見ていくよ。抽象的事実の錯誤というのは行為者の認識と発生した事実との食い違いが構成要件の枠を越えて存在するような場合を言うんだ」
東君「つまり違う犯罪だってことだね☆」
内城教授「猫は殺したら何罪になるのかな?」
東君「確か犬とか猫とかはものとして扱うから器物損壊罪になるんじゃないかな☆」

内城教授「正解。じゃあまず他人の飼い犬を殺すつもりでその飼い猫を死なせた場合は何罪になるかな?具体的符号説法定的符号説の場合に分けて考えてみよう!!」
東君「法定的符号説に立てば、『物を壊すな』という規範に直面しているから犬に対しては器物損壊未遂罪。器物損壊未遂っていうのは『こわれてへんからいいやんか』ってことで不可罰、罪にならないよね♪それで猫に対しては器物損壊罪既遂になるね。
具体的符号説から見ると『犬を殺すな』という規範に直面しているから、犬はさっきと同じで器物損壊未遂で罪にならない。猫に対しては過失器物損壊未遂になるね。」
内城教授「うん^^でも過失器物損壊は罪にならないんだ。つまり具体的符号説に立てば猫を殺した人は何の罪にはならない。これっておかしくない??かわいいかわいい猫が死んじゃってるんだよ☆飼い主からしたらたまったもんじゃないよね><

さあ、それじゃ今回のメインテーマ、例題をもう一回確認するよ♪
東君は先生を殺すつもりで発砲したところ、人に当たらず、先生が連れていた猫にあたり、猫が死んだ。さあ東君の罪はどうなるのかな??今回は抽象的符号説で考えるよ!!そーするとどうなる??」
東君「抽象的符号説に立つと東君が直面した規範は『およそ犯罪を犯すな』だよね。だからその規範を破ったわけだから器物損壊罪の故意あり。だから僕は殺人未遂と器物損壊罪になるね。」
内城教授「だいぶわかってきたね♪法定符号説に立つと規範は『人を殺すな』ということになり、『物を壊すな』という規範には直面していない。だから器物損壊罪の故意なしで東君は殺人未遂のみとなるんだ☆これは具体的符号説でも同じ。こうなるんだよ☆わかったかな??ちなみに私の考えでは、私は人間以下の存在であり、かわいい猫は人間と同価値と扱うため、殺人と器物損壊の結果が逆になるんだ。これを神戸大学・内城説というんだ☆学説上、超マイナーだけどね。」
東君「マイナーってゆーか、そんなこと言ってるのあんただけだよ!!無駄に赤字にしやがって><うーん、でもペットが死んだりたらいやだからやっぱり飼うのはやめるね。」
内城教授「じゃあ、東君。親戚からもらったその1万円、僕に貸してくれるかな??」
東君「え〜、嫌だよ><先生、先月僕が貸した500円まだ返してくれてないじゃん。」
内城教授「そんな硬いこと言うなよ〜。
先生の事情を知ったら東君もきっと同情して先生にお金を貸したくなるよ☆」
東君「えっ、先生の事情ってなんなの??」
内城教授「それはね・・・

やめられないんだよ。
ギャンブルってやつはな。


東君「同情する余地ねえーー!!」
(ガビーン)



刑法第38条:@罪を犯す意思がない行為は、罰しない。
ただし法律に特別の規定がある場合は、この限りでない。
A重い罪に当たるべき行為をしたのに行為のときに
その重い罪にあたることとなる事実を知らなかったものは、
その重い罪によって遮断することは出来ない。
B法律を知らなかったとしてもそのことによって、
罪を犯す意思がなかったとすることは出来ない。
ただし、情状により、その刑を軽減することが出来る。


-もしもの時、あなたは規範に直面できますか!?


      竹内ゼミ3期生幹事 東寛之
            副幹事 内城知彦


第5講「緊急行為〜正当防衛と緊急避難〜」
難易度:★★☆

東君「わ〜い、春休みだ♪どこに旅行にいこっかな??」
内城教授「東君、船の旅はやめといたほうがいいよ。先生の乗ってた豪華客船が氷山に激突して、船が沈没して大変だったよ><」
東君「先生、よく生きてたね。」
内城教授「うん、船が沈没したけど僕は板切れにつかまってたんだ。でもその板切れをおばちゃんがつかもうとしたから、僕はその手をふりほどいたんだよ。そしたらそのおばちゃんは暗い深い琵琶湖の底に沈んでいったんだ。」
東君「琵琶湖かい!なんで琵琶湖に氷山があるんだよ!!
もしかして豪華客船ってミシガンのこと??」
内城教授「ううん、
小学生のときのフローティングスクールで乗ったような船。」
東君「しょぼ!!でもその話は『カルネアデスの板』だね。人の命の価値は平等であることを前提にし、緊急時においては自分の命を守るために相手の命を奪うことが許されるんだ。相手が死んでも自分が生きていたらプラスマイナスゼロになる。だから先生が自分の命を守るために1人しか支えることの出来ない板をつかもうとしから、それをふりほどき、おばちゃんを死なせてしまった行為も罪にはならないね。」
内城教授「まあ僕の場合大きい板だったから、
あと2,3人はいけたんだけどね★」
東君「だったら助けろよ!!」
内城教授「先生は50歳以上の女性に
興味がないんだよ。」

東君「なんだよ!
その死の瀬戸際での自分ルール!!?」

内城教授「よし、今日はせっかくだから緊急行為について話そう!!そもそも法治国家の下では違法な行為を個人が自ら実力で排除しようとしたりすることは原則として禁止されてるんだ。(自力救済禁止の原則)国家が助けてくれるんだね。でも国家が助けてくれるのを待っていたのでは間に合わない緊急時にこのような原則を要求したのでは被害者は『殺しに来たら殺されてあげなさい』ということになりおかしいことになるんだ。このことを『法の自殺』とか『法による法の否定』というんだけど、そこで緊急時に権利利益保護を全うさせるために正当防衛や緊急避難に当たる場合には個人に権利利益保護の役割を果たすことを認めそのためになされた行為には違法評価を差し控えることにしたんだ。これが緊急行為だ。」
東君「正当防衛はよく聞くよね。今まさに自己、または他人の法益が侵害されそうになってる場面でその侵害を生じさせている侵害者に対する反撃行為の違法性を阻却するという形で問題となる。つまり自分が殺されそうになったから殺される前に相手を殺してしまった。でもこのことは正当防衛になるため殺したことによる違法性はない、罪にならないんだ。」
内城教授「緊急行為のもう一つ、これがあの有名な『カルネアデスの板』の話の緊急避難だけど今まさに自己または他人の法益が侵害されそうになっている場面で侵害者以外の第三者に対してなされる緊急行為の違法性を阻却するという形で問題になるんだ。たとえば東君がドラキュラに殺されそうになっている場面でケットを差し出して『この子の血はあなたの大好きなO型の血ですよ〜』といってケットの命を犠牲にして東君が助かってもいいわけだ。二人の命の価値は平等だからね♪」
東君「その前にそんなことしたらドラキュラの前にケットに殺されるよ。緊急避難と正当防衛ってつまりどう違うの??」
内城教授「正当防衛の場合には侵略者に対する反撃行為が問題とされているからいわば『不正』に対する『正』の関係なんだ。これに対して緊急避難は侵略者以外の無関係な第三者に対する避難行為が問題とされているから、いわば『正』に対する『正』の関係ということが出来るんだ。このような違いから、相手は悪くないんだから緊急避難のほうが成立する要件が厳しくなっているよ。」
東君「ふ〜ん、そうなんだ。」
内城教授「ここで問題だよ★
海上で遭難したドラえもんと出木杉君が1人しか支えられない板切れに泳ぎ着いた際、以前から出木杉君に殺意を有するのび太君がドラえもんに対して出木杉君を板切れから突き放すようにそそのかしたことからドラえもんが同行為に及んで出木杉君が水死した場合、のび太君とドラえもんの罪責はどうなるのかな??」
東君「っていうかドラえもんがその状況なんとかしろよ!!」
内城教授「ドラえもんは四次元ポケットを修理に出してて、今は自分が助かるためにいっぱいいっぱいなんだよ★」
東君「肝心なときに役に立たないんだね。う〜ん、ドラえもんの行為は緊急避難に当たると思うけどのび太君が唆した行為は問題だね・・・
全然わからないよ〜。」
内城教授「ここで『他人をそそのかして犯行を決意させ、犯罪を実行させるもの』を教唆犯ということを知っておこう。この教唆犯が成立するためには正犯者(この場合はドラえもん)が実行に着手することが必要とされるんだ。(正犯は実行行為を行う人だね★)このことを共犯従属性説という。教唆者(もちろんのび太君のこと)が処罰される根拠は教唆行為によって教唆者の反社会性が現れたこと(責任共犯論)ではなくて教唆者が正犯者を通じて間接的に違法な結果を発生させたことにあるからであるとしているんだ。(因果的共犯論
このように教唆犯の処罰根拠を正犯者を通じて違法な結果を起させたことに求める以上、正犯者の行為は違法なものであることを要するよね。でも責任は人的個別的な非難の問題であるから、正犯が有責であることまでは要しない。これが通説制限従属性説なんだ!」
東君「そもそも正当防衛の法的性質は違法阻却事由にあることは問題ないけど、緊急避難の法的性質については争いがあって主に違法性阻却事由説責任阻却事由説があるんだよね。」
内城教授「この事例で言うと、のび太君の罪責につき共犯の従属性について制限従属性説(構成要件に該当し違法であることが正犯の成立要件となる)に立てば責任阻却事由説では理論的に殺人罪の教唆犯が成立することになり、ドラえもんも共犯にあたる。違法性阻却事由説に立てば教唆犯は成立せず、場合により間接正犯が別途問題となりうるんだ。間接正犯というのは他人の行為を利用して自己の犯罪の実現をする者のこというんだ。これは単独犯になりドラえもんはのび太君にとって単なる道具にすぎないから罪にならない。共犯である教唆犯とは区別するんだ。共犯とは実行行為以外の行為で犯罪に加担することだ。まあ、この話は実は司法試験の改題なんだけど、案外司法試験もたいしたことないよね★」
東君「十分難しいと思うけど・・、なんかこんな話してたら旅行に行きたくなくなってきちゃった><」
内城教授「じゃあ、旅行に行かなくてういたお金を
先生に貸してくれるかな!?」
東君「・・・。絶対あんただけにはカルネアデスの板は渡さない。」

刑法第36条(正当防衛):@急迫不正の侵害に対して自己または他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない。
刑法第37条(緊急避難):@自己または他人の生命、身体、自由または財産に対する現在の危難を避けるため、やむを得ずにした行為はこれによって生じた害が避けようとした害の程度を超えなかった場合に限り、罰しない。ただしその程度を超えた行為は情状により、その刑を軽減し、または免除することが出来る。


-カルネアデスの板によりあなたと私のどちらかしか生きられないとき、私は考えるだろう。
二人とも生き残る方法をね。


      竹内ゼミ3期生幹事 東寛之
            副幹事 内城知彦







第4講『法律の錯誤』
難易度:★★☆(司法試験択一レベル)

(内城家の夕食)
内城教授「ごちそうさま〜^^」
妻「あなた、何も仕事してないのによく食うわね。」
父「つみしげくん、どうだい一杯?」
内城教授「お父さん、いいですね〜^^それじゃ一杯。」
父「は〜、今日は何か変わったことはあったかい?」
内城教授「いやあ、今日は東君に錯誤を教えただけですね。あっ、最後の法律の錯誤(違法性の錯誤)教えるの忘れてた!!」
父「なつかしいなあ。確か法律の錯誤とは事実の認識に誤認がない場合に、行為者が自己の行為が許されるものと信じる場合をゆうんだよね。何か例を思いつくかい??」
内城教授「例えば、アンパンマンが『バイキンマンは悪者だから殺してもよい』と信じてバイキンマンを殺した場合ですかね。」
父「アンパンマン終わっちゃうよ><!アンパンチでやめとけよ!!」
内城教授「じゃあ、対向車が来なければ追い越し禁止区間でも追い越してよいと信じてパトカーを追い越した場合とか。」
父「そんな豪快なやつおらんやろ!!笑まあこのような場合に故意を認められるかということだな。故意ありといえるためには、自分の行為が許されないことを認識していることが必要なのか?!すなわち違法性の意識は故意の要件かが問題になるんだな。この点、38条3項は法律を知らなかったとしても、そのことによって罪を犯す意思がなかったとすることが出来ない。ただし情状によりその刑を軽くすることが出来る。えーと、これにも学説の争いがあったな。」
内城教授「判例は38条3項を文字通り読み違法性の意識不要説に立つ。それに対して学説は違法性の意識を必要とする立場(厳格故意説)、違法性の意識は不要だが違法性の意識の可能性は必要であるとする立場(制限故意説)、違法性の意識は故意とは別個の責任要素であるという立場(責任説)などがあるね。ちょっと難しいからまとめると下のようになるよ。
■4つの説■
違法性の意識不要説(判例)構成要件該当事実
ただし形式的な事実ではなく、違法性を意識しうる事実の認識を要求する。
厳格故意説(大塚説)構成要件該当事実+違法性の意識
制限故意説(団藤説)構成要件該当事実+違法性の意識の可能性
責任説(平野&大谷説)構成要件該当事実
ただし違法性の意識の可能性がなければ責任が阻却される。

わかったかな??」
父「誰に言ってるんだね笑まあそれぞれに批判があるからこんなにいろんな説があるんだね。判例に関しては責任主義に反する。最も判例は事実を実質化するから結論は不当じゃないがな。アンパンマンでゆーと、構成要件該当事実というのは『バイキンマンはなんか生き物だ』ぐらいの認識しかない。なんかこのアンパンマンは『バイキンマンは悪いやつだから殺してもいいんだ』と思い込んじゃってるんだ。『人を殺してはいけない』という違法性の意識がない。構成要件該当事実に違法性の意識が必要なのが厳格故意説なんだよ。わかるかい?」

内城教授「でもこの説でいくと常習犯の場合は犯罪を重ねるごろに違法性の意識が鈍くなっていく。殺人がもはや悪いことだと思わなくなり常習犯・確信犯の故意がなくなるんだ。よって罪が重い彼らを裁きにくくなる。また38条3項では法律を知らなくても故意といってるがこの法律というのは2つの意味があって、@それが違法であることAそれが何条かわかっていることのAの意味であるとしている。殺人が刑法何条か知らなくっても罪になるなんて当たり前だよね。不自然、変だ。」
父「そうそう、じゃあ違法性の意識の可能性があれば故意が認められる制限故意説ならどうだ。一般人として社会で生きてきたんだから『殺人は悪いことです』ということを知る可能性はあったわけだ。」
内城教授「しかし可能性があれば故意があったといえるの??殺人はしてはいけないということを知っているからわざとやることができ、故意が成立するんだ。知ることが出来る可能性があったというだけで『はい、故意ありですよー』ってなるのは不自然だなあ。」
父「構成要件該当事実を要する責任説。これで故意はあるものとし、違法性の意識の可能性がなければ故意・過失・責任能力・期待可能性の土台にある責任を阻却するんだ。」
内城教授「この説に対する批判は、形式的な構成要件事実の認識だけで故意になるのか?故意犯の本質に反すると批判される・・
あっ、もう酒がない。」
父「おーい、説子。ビールもう一本。」
妻「もう、この人たちったら飲んでても飲んでなくても刑法の話ばっかりっ><」

第6講「不能犯」

難易度:★☆☆(判例マニア)

東君「くそ〜、中村にまたいじめられたよ><。くそ〜、草木も眠る丑三つ時に神社の境内で中村に見立てたわら人形に五寸釘をコーンコーンと打ち付けてやる!!」
内城教授「あのいじめっ子は仕方がないね。
でも東君、そんなことしても不能犯だよ♪」
東君「えっ、不能犯って何!?」
内城教授「不能犯って言うのは結果発生の現実的危険がないために犯罪とはならないものだよ♪これは犯罪実現の意思で行為者が行為したが、結果が発生しないという点では未遂犯と似てるけど未遂犯とはと異なるんだ。例えば東君の言ってたいわゆる『丑の刻参り』が典型例だね。全然危なくないんだ。判例は結果発生が客観的に見て絶対的に不能な場合を不能犯、たまたま当該事案では結果が発生しなかったに過ぎない相対的不能なら未遂犯とするんだ。」
東君「確かに僕が丑の刻参りをしても相手が死ぬわけはないから全然危なくないよね・・ねえねえ、ほかにどんな不能犯があるの??」
内城教授「よし、最近学説の争いとか難しい話が続いたから、今日は簡単だよ。楽しい楽しい判例の紹介だよ↑↑通説行為時に一般人が認識しえた事情及び当該行為者が特に認識しえた事情を基礎に具体的を認めることが出来るか否かでけっすべきとしている、これを具体的危険説というんだ^^」
東君「早速、学説の争い出てきたじゃん><!!
でもあれ?でもその話どっかで聞いたことあるぞ!!」
内城教授「それが正しい反応だね♪折衷的相当因果関係説の話に似ていない!?(第2講参照)実はそれの仲間なんだよ。じゃあ不能犯か不能犯じゃないかはそれほど差がないので判例で見ていくことにするよ。さて東君が裁判所だったら結果が発生しなかったとき、不能犯にしたいかな?それとも未遂犯にしたいかな!?」
東君「危ないことをしたんだから出来るだけ未遂犯にしたいよね。だって不能犯にしたら無罪になるもんね。」
内城教授「そうだね☆判例は未遂犯にしがちだから不能犯が認められた例として二つ覚えておけば足りるよ。あとは全部未遂犯だ。
一つ目は殺意を持って被害者に硫黄の粉末を飲ませても、殺人罪としては不能犯だよ。(大判大6.9.10)だって硫黄なんか飲ませても危なくないもん!硫黄といえば温泉とかで湯に含まれてて、ガバガバ飲んでるおっさんとかいるよね。おっさん『だって、お肌にいいし↑↑』
あんた何飲んでんの、汚いなあって感じやけど硫黄を飲んで死ぬことはないよね。だから不能犯。だから東君がクラス担任の竹内先生に『殺してやる』と思って砂糖を水に入れて飲ませても全然危険じゃないよね。
じゃあ次、長期間地中に埋まった手榴弾をを投げたけど、雷管と導火線の結合が悪くて爆発することはなかった、これも殺人罪としては不能犯だよ(東京高裁昭29.6.16)
東君「あれ、なんか二つ目の例に関しては違和感を覚えるんだけど・・・・」
内城教授「するどいね☆じゃあ不能犯が否定された例として1つ挙げるよ。
銃撃を受け倒れていた者にとどめを刺そうとして日本刀を突き刺したとき、たとえ被害者が行為時に死亡していたとしても犯人・一般人とも死亡の事実を知りえない場合には殺人未遂罪が成立するんだ★(広島高判昭36.7.10)
東君「え〜、手榴弾の事件と違いがわからないよ><」
内城教授「多分ね、日本刀と手榴弾の事件の違いを統一的に説明する理屈というのは存在しないよ。そんなこといったら学問の真理を探究する純情可憐な皆さんは不思議に思うだろうけど、全然おかしくないんだよ。日本刀を突き刺したとき、被害者が死んでたかなんて、行為者にはわからないよ。人は死んだら21g軽くなるって言われるけど、まあこれは『魂の質量』なんだけどそんなのはかってみないとわからないよね。じゃあ行為時に被害者がしんでなかったとして日本刀を突き刺す行為・・これはバリバリ危ないよね!?だから死体損壊罪じゃなくって未遂犯にするんだ★じゃあ手榴弾もそれが爆発するものとして投げた行為も危ないよね!?ってなるけどその違いはその時代の状況や犯人の顔をかんがみて決する。もしその時代が犯罪で荒れていたら、甘い判決をするとさらに犯罪が増えかねない。その時代の犯罪を禁圧する為,社会のニーズに合わせて判決を変える、全然おかしいことじゃないんだよ。」
東君「じゃあ、不能犯が認められた例としてそお2つを覚えておけば足りるということだね^^」
内城教授「そうだね♪じゃあ地方上級の過去問を一問だけといてみようか★」
東君「え〜、そんなの無理だよ><」
内城教授「それが解けるんだよ、じゃあ行くよ!!

未遂犯と不能犯の区別に関する記述のうち、具体的危険説の立場から妥当なものはどれか。

@孫悟空はトランクスがメカフリーザを殺す現場に居合わせ、トランクスに加勢するつもりでまだメカフリーザが生きているものと思って止めをさそうと思ってかめはめ波を放ったところメカフリーザはその直前に死亡していた場合、殺人の不能犯となる。
Aルパン3世は現金をすりとるつもりで銭形のとっつあんのポケットに手を差し入れたが、とっつあんが現金を持っていなかった場合、窃盗の不能犯になる。
B東君は中村君を殺そうとして飲み物の中に硫黄の粉末を入れて中村君に飲ませたが、硫黄には殺害力はないため中村君が死ななかった場合、殺人の不能犯となる
Cドクターマリオは静脈内に空気を注射すれば人は死ぬものと思い、ルイージを殺そうとしてルイージの静脈に空気を注入したが致死量に達していなかったためにルイージが死ななかった場合、殺人罪の不能犯となる。
D光彦君が勤務中の高木刑事から拳銃を奪い取って元太君をを殺すつもりで引き金を引いたが弾丸が装填されていなかったためにこれを遂げなかった場合、殺人の不能犯である。

こんな感じで出るんだね★じゃあ、ほかの学説の深い理解を必要とする刑法の問題に時間をかけたいからこの問題は3分以内にといてみて。


はい、できた!?じゃあ選択肢@からみていくよ★
@孫悟空はトランクスがメカフリーザを殺す現場に居合わせ、トランクスに加勢するつもりでまだメカフリーザが生きているものと思って止めをさそうと思ってかめはめ波を放ったところメカフリーザはその直前に死亡していた場合、殺人の不能犯となる。
この問題を聞いてぱっと画が思い浮かんだらそれだけで正解にしたいよね^^この場合、3人とも普通の人間と考え、かめはめ波はピストルで撃ったぐらいの意味だよ。まあ実際の問題では甲とか乙だけど小学生の東君に合わせて改題してるんだよ♪」
東君「そこだけ子ども扱いなんだ・・」
内城教授「この場合メカフリーザが死んでた情報を無視するよ!だって具体的危険説は行為時に一般人が認識しえた事情及び当該行為者が特に認識していた事情を基礎にするよね!?孫悟空は認識してない、一般人も認識していない。じゃあかめはめ波を人に放つ行為は危険ですか?バリバリ危ないですよ!!だから殺人不能犯じゃなく未遂になる。こんな感じでといていくよ★
Aルパン3世は現金をすりとるつもりで銭形のとっつあんのポケットに手を差し入れたが、とっつあんが現金を持っていなかった場合、窃盗の不能犯になる。
一般人はとっつあんのポケットに財布が入ってないなんかわからない。じゃあポケットが空という事実を無視するよ。現金を盗むつもりでポケットに触れたルパンの行為・・・これは未遂犯だね!!わかってきた?
B東君は中村君を殺そうとして飲み物の中に硫黄の粉末を入れて中村君に飲ませたが、硫黄には殺害力はないため中村君が死ななかった場合、殺人の不能犯となる
東君「これが答えだ!!硫黄に殺害
なしということは僕はわかってなかったかもしれないけど一般人は認識可能だよ★だからこれは不能犯でいいんだ!!」
内城教授「そのとおり!一応すべての選択肢を確認しよう!
Cドクターマリオは静脈内に空気を注射すれば人は死ぬものと思い、ルイージを殺そうとしてルイージの静脈に空気を注入したが致死量に達していなかったためにルイージが死ななかった場合、殺人罪の不能犯となる。
東君「二人に何があったんだよ!!」
内城教授「空気を血管に入れれば死ぬと思っている人は多いと思うけど実はちょっと入れれば死ぬのではなくてある一定量に空気の量が達しなければ死なないんだ。だからこの場合ルイージは血管に入った空気の量が致死量に達していなかった。だから死ななかったけど致死量というのはその日の体調によって決まり、今日はファイアルイージだから元気なんでこんだけ空気を入れないと死なないなんて、一般人もマリオもわからないよ。じゃあ致死量不足ということを無視してマリオがドクターという立場を利用して静脈に空気を注射した行為は危険ですか?当然危ないです、よって未遂犯です。でも仮にルイージが死んだとしてもルイージはあと4機あるよ★」
東君「はいはい。」
内城教授「じゃあ、最後の選択肢!!
D光彦君が勤務中の高木刑事から拳銃を奪い取って元太君をを殺すつもりで引き金を引いたが弾丸が装填されていなかったためにこれを遂げなかった場合、殺人の不能犯である。
東君「あゆみに対する片想いが引き起した光彦と元太による悲しい2人の男の結末だね・・・やっぱり表面上は少年探偵団なんてやってるけど男女間の友情なんて成立しなかったんだよ。」
内城教授「何の話だよ!!って思わず突っ込んでしまいましたがまあ拳銃に弾が入ってないなんて一般人認識不可能。タマナシを無視。鉄砲を撃つ行為はバリバリ危ないです。だからこれも未遂犯となり妥当なのは選択肢の3が答えとなります。

わかったかな!?ではまたらいしゅう〜♪♪

第7講「不能犯・応用」
難易度:★★☆(どっかの刑法ゼミレベル)

内城教授「最近枕から藁のにおいがしだしました・・・どうも!刑法と加齢臭と闘う内城教授です^^さて、先週東君に不能犯について簡単に教えたんですが、全国の学問の真理を探究する純情可憐な皆様から『あの簡単な説明はなんや!?なめとんのか!』と抗議の電話をたくさん頂いたので今日は不能犯の応用・・といまでは言わないんですが、学説の話を含めて説明してきたいと思います。今日は気分を変えて自宅で公開録音をして、東君に法外な値段で売りつけようと思います。
それでは不能犯について・・・」
父「おや、こんなところでなにやってるんんじゃ!?」
内城教授「おとうさん!急に老け込みましたね・・不能犯についての講義を行ってるんです。」
父「どれどれ、わしも混ぜてもらおうかの☆まず学説からじゃ。どうやら具体的危険説しか教えてなかったらしいけど客観的危険説というのもあって、因果関係について客観的相当因果関係説に対応する不能犯の説なんじゃ。これは行為時に存在した全事情を基礎に危険性を判断する立場じゃな。まあ厳密に言うと微妙に山口説も前田説もこの危険を抽象化するんじゃけれどわしの友達の一橋大学の村井敏邦先生は純粋客観的危険説なんじゃな。」
内城教授「刑法って学説がたくさん出てくるから大変なんだ、でもそこがまた面白いとこでもあるんだけどね^^じゃあ不能犯のすべての説をまとめるよ☆

判断資料 基準時 基準
純粋主観説 行為者 行為時 行為者
抽象的危険説 行為者 行為時 一般人
具体的危険説 一般人+行為者 行為時 一般人
客観的危険説 全事情 行為時 一般人
純粋客観説 全事情 事後的 科学的
さっき話してたのは危険説なんだ。日本がパくったドイツ刑法では純粋主観説が判例なんだってさ☆この表を見たら学説が5つもあって引いちゃう人もいるかもしれないけ別にどうってことないんだよ!じゃあ、一つづつ例を当てはめて不能犯が成立するか未遂犯になるかを見ていくよ!!
まず純粋主観説で未遂、そのほかで不能犯となる事例、何か思いつきますか??」
父「例えば薬(絶対死なない)で人が殺せるとおもい、薬を飲ませる行為じゃな。

判断資料 基準時 危険性の有無
純粋主観説 行為時 あり⇒未遂犯
抽象的危険説 行為時 なし⇒不能犯
具体的危険説 行為時 なし⇒不能犯
客観的危険説 行為時 なし⇒不能犯
純粋客観説 事後的 なし⇒不能犯

基準が行為者だから、みんな薬なんて全然危なくないと思ってても本人が危ない、これで殺せると思っているから未遂犯になるんじゃ。ただしこの説でも『丑の刻参り』のような迷信犯は、不能犯になるがね。」
内城教授「じゃあ次の例、純粋主観説抽象的危険説が未遂犯となる例・・・・
で人を殺そうと思い、薬ビンの中のを毒のつもりで飲ませる行為の場合
はどうなるでしょうか?!

判断資料 基準時 危険性の有無
純粋主観説 行為時 あり⇒未遂犯
抽象的危険説 行為時 あり⇒未遂犯
具体的危険説 行為時 なし⇒不能犯
客観的危険説 行為時 なし⇒不能犯
純粋客観説 事後的 なし⇒不能犯

行為者から見たら毒のつもり、でも一般人から見たら薬ビンなんで毒だとは思わない、危ないとは思わない。『それ、薬ですやん!!』ってね。これが境目になるんだ!!

じゃあ上三つで未遂、そのほかで不能犯となる事例。
で人を殺そうと思い、毒ビンの中のを毒のつもりで飲ませる行為。

判断資料 基準時 危険性の有無
純粋主観説 行為時 あり⇒未遂犯
抽象的危険説 行為時 あり⇒未遂犯
具体的危険説 行為時 あり⇒未遂犯
客観的危険説 行為時 なし⇒不能犯
純粋客観説 事後的 なし⇒不能犯

今度は一般人から見ても危なく見える。髑髏のマークでもかいてるのかな?でも中身は正真正銘薬なんだ。
はい、最後は純粋客観説だけ不能犯になるケース☆
勤務中の警官から拳銃を奪い、直ちに警察官に向けて発砲したが弾丸不装填。

判断資料 基準時 危険性の有無
純粋主観説 装填 行為時 あり⇒未遂犯
抽象的危険説 装填 行為時 あり⇒未遂犯
具体的危険説 装填 行為時 あり⇒未遂犯
客観的危険説 不装填 行為時 あり⇒未遂犯
純粋客観説 不装填 事後的 なし⇒不能犯

先週もこの例を挙げましたね☆純粋客観説は事後的にすべての事情を考慮する。弾が入っていなかった、じゃあ危なくなくなかったですやんってことでこれだけ不能犯となるわけです。意外と簡単だったでしょう!あれ、お父さん??」
父「Zzz・・」
内城教授「なんだかんだ言ってもやっぱり年だな。そろそろ遺産のために家族法でも極めようかな^^」
妻「あなた、窓から声が漏れてるわよ!となりの宮代さんの奥さんから『ご主人、何してる人なんですか!?』ってきかれちゃたじゃない><!!」
内城教授「刑法を愛するネオニートと答えておいてくれないか。」
妻「・・・働けよ(#゚Д゚)!!」


-竹内ゼミでは一度はじめたことを不能犯で終わらせせない。

必ず既遂にするんだ。


      竹内ゼミ3期生幹事 東寛之
            副幹事 内城知彦









-僕らに『黄金の懸け橋』なんて必要ない。


過ちに気づいたとき、
自分で引き返すことが出来るからだ。



      竹内ゼミ3期生幹事 東寛之
            副幹事 内城知彦








第8講「中止犯」

難易度:★★☆(京都大学法学部1回生レベル)


東君「中村にラジコンとられたよ〜><
くっそ〜、今度殺してやろうかな。でもやっぱりそれはまずいよね・・」
内城教授「東君、私にはこんなこと言う資格がないと思うけど、殺人はいけないよ。私は人を殺すギリギリで生きていたからね。今日は未遂犯でもない、不能犯でもない中止犯の説明をすることにするよ★中止犯というのはあくまで未遂犯の一部なんだ!未遂犯のうちで行為者が自己の意思で犯罪を中止した場合、つまりやりかけて途中でやめたとき、しかも結果不発生。そんな場合に中止犯となるんだ。」
東君「ふ〜ん、中止犯はどんな罪になっちゃうの??」
内城教授「必要的減免だね。これはどういうことかっていったら、必要的ということは必ずしなくてはいけない、減免というのは減軽かまたは免除を絶対しなきゃだめって言うことなんだ。」
東君「つまり0%になるか50%になるかということで必ずまけて貰えるか0にしてもらえるってことだね♪」
内城教授「そう、だから先生のように人生の半分を刑務所で過ごす人にとって一番うれしいのが必要的減免なんだ。無罪になるかもしれないからね!ここで軽く参考に・・・

必要的 任意的
減免 中止犯 過剰行為
減軽 心神耗弱 未遂犯

上の表のような関係になる♪
逆にあまりうれしくないのはは任意的減軽、減軽というのは未遂犯の刑を100%くらうか、半分にしかまけて貰えないんだ。だから別に未遂犯でも死刑にしたっていいんだよ!グリーンだよ!!」
東君「・・・。じゃあ任意的減免というのは100か50か0かってことだよね?任意的だから引かなくてもいい、正味そのままでもいい、ここが一番広い。上の表によると過剰行為がこれにあたるんだよね。」
内城教授「そう、例えば私の拾ってきた0円の雑種の猫を守るために、宮代さんのお宅の血統書つきの100万のシャムネコが襲いかかってこようとしても、その猫を殺してもいいわけないでしょう。緊急避難にしようとしても私のかわいい、しかしただである猫と100万の猫じゃ価値が違う。0円のものを守るために100万円のものを壊す、あんたそりゃやりすぎでしょってことで法益の厳格な均衡を欠いている。どの程度やりすぎか千差万別なので裁判官のフリーハンドにゆだねられるんだ★過剰行為が任意的減免だね。」
東君「ねえねえ、どうして中止犯は必要的減免で、ちょっとおいしいの??」
内城教授「いい質問だね!またここでも学説の争いがあるんだ^^
一つ目は政策説!これはいわゆる引き返すための『黄金の懸け橋』なんだ!!つまり結果発生の防止のために犯罪者にご褒美をあげるんだ★今から引き返せば必要的減免にしてあげますよってね♪」
東君「ただ必ず免除にしてあげるんだったら引き返すための『黄金の懸け橋』といえるけど日本じゃ減軽か免除でしょ!?ドイツじゃ必要的免除だよ。(だからドイツでは政策説が判例)『黄金の懸け橋』っていうのはちょっと大げさじゃないかな?!」
内城教授「東君、小学生にして政策説に対する批判を思いつくなんてさすがなね^^じゃあ、ほかに理屈がないんですかってゆーと、責任減少説があります。つまり非難可能性がへる、犯罪を途中でやめたら『途中でやめたの?おうなかなかかわいげがあるやんか↑』ってことで必要的減免をあげるっていうのが通説の立場なんだよ。」
東君「じゃあ、厳密に中止犯って言うのはどんな成立要件があるの??」
内城教授「大きく四つの要件があるんだまずは・・
@未遂でなければ中止犯にならない。
未遂っていうのはどーゆう意味かな??着手以上完成未満だね♪いくら頑張っても結果が既遂になってしまったら中止犯は認められません!!気をつけなければいけないけど放火犯が火をつけて、燃え広がって天井が1u燃えました。その時点で悪いことをしたと思った犯人が消火器を振り回して火を消し止めました。でもそのときに犯人は放火罪の中止犯にはならないんだ。それは天井が燃え始めればその時点で既遂になるからなんだ。既遂になれば中止犯にならないんだということを必ず間違えないように!!
次はA自己の意思により。
これは『やろうと思えば出来たけどあえてやめた』というフランクの公式と呼ばれるものなんだ★やろうと思ったけど怖くなって出来ませんでした。これは『自己意思により』じゃあないんだよ!
三つ目はB中止行為であるということだ!
これは着手未遂実行未遂の二つの場合に分けて考えるよ!!
着手未遂、つまり実行行為を終了していない場合中止すれば足りる、やリ終わってない場合は途中でやめる、続けなければそれで中止要件をクリア。これが着手未遂です。これに対して実行未遂というのは実行行為を完了してしまっている場合です。やり終わってるんですよね★やり終わっているのに中止犯と認められる場合には何がいるかというと積極的な行為が必要とされています。結果不発生のための真摯な努力とも言うやつだね★
このとき他人の助力あってもよい。だけど自分で結果を回避したと同視出来る程度の努力は必要だよ!つまり誰かを殺そうとしてピストルで撃ちますよね。それで被害者が急に痛がって何か子供たちに遺言とかを残そうとするわけですよ。それで『こいつかわいそうだな。病院に連れて行こうか』と思って自分が治療するわけでもなく医者に治してもらいました。それでも中止行為として認めるよ★必ずしも自分がしなくてもいいわけですよ!だけど必死に急いで病院に連れて行くということはしなければならない。『人がケガして苦しんでますゥ><あとはよろしくちゃん♪』といって119番するだけではダメですね♪自分が頑張ったのだと同視できる程度のまじめな努力が必要だというわけです。例えば放火犯人など『放火したからよろしくちゃん★』といって逃げ去る。これでは中止行為とは言えず中止犯にはなりません」
最後はC因果関係
『あなたが頑張ってくれたからこそ結果不発生で済みました。』という中止行為結果不発生との因果関係が必要です。
以上中止犯が成立するためには用件が四つあるんですね★」
東君「あくまで『未遂』の中で『自己の意思』により『中止行為』をし、中止行為と結果不発生との間に『因果関係』があるときに『中止犯』が成立するわけだね^^」
内城教授「そうだね!じゃあ今からボクが過去のエピソードを話すから、中止犯になるかアウトになるかを考えてね★
僕は犯罪の発覚を恐れて中止した(大判昭12.9.21)
東君「それはあんたがビビっただけだから中止犯にならない!」
内城教授「正解。じゃあ窃盗犯人である私が目的物を発見しえずに犯行を断念した場合(大判昭21.11.27)はどうかな?」
東君「それは成し遂げたくても目的物が見つからずに成し遂げることが出来なかっただけだから未遂犯という形で処罰するのが一般的だね★」
内城教授「うん正解!じゃあ私が犯罪の実行に着手したとあと驚愕によって犯行を中止した場合にはその驚愕の原因となった諸般の事情が当該犯行の障害となるべき客観性を備えるとき(最判昭24.7.9)はどうかな??」
東君「驚愕じゃ自己の意思とはいえないよね。」
内城教授「そう、だからこれも中止犯不成立。具体的にはボクが殺そうとしたら血が紫色だったんだ、あれは驚いたね★」
東君「ナメック星人殺そうとしたの!?」
内城教授「ネイルが俺との同化を断ったからね。」
東君「ピッコロさんじゃなくあんたと同化したら逆に弱くなるよ!あんた、ネイルさんがフリーザに痛手を負わされてなかったら死んでたよ><」
内城教授「じゃあ次、殺意を持って野球用バットで頭を強打したところ被害者が血を流しているのを見て驚愕、恐怖して殺害をやめた場合(最決昭32.9.10)どうなる??」
東君「驚愕、恐怖じゃさっきと同じでダメだね!数多くの判例の基となった先生でも血を見たらびびるんだね。」
内城教授「いや、それは最初だけで、だんだん血を見るのが楽しく・・・・」
東君「あかん、あかん><!!そろそろ中止犯の例を言ってよ!!」
内城教授「じゃあ、私が被害者に同情して憐憫の情を覚えて中止した場合(福岡高判昭35.7.20)はどうかな?」
東君「憐憫だと、やろうと思えば出来たのにあえてやめたということで中止犯成立だね★」
内城教授「そういうこと★最後は私がナイフでさした被害者の出血に驚愕し『大変なことをした』を思って救急車を呼ぶなどして死を回避した場合(福岡高判昭61.3.6)はどうかな?」
東君「犯行に対する反省、悔悟の情が認められるから中止犯成立だね^^」
内城教授「よくわかったかな??さあみんなも中止犯目指して頑張ろう!!」
東君「目指さなくていいよ><!!」


あれから20年の月日が経っていた・・

内城教授とはボクが中学校に入ってからはあまり会わなくなっていった。
それとともに法律に対する熱意も冷めていった・・・
ただなんとなく、なんとなく生きてきたんだ・・
そこそこいい高校・・
そこそこいい大学・・・
そこそこいい会社・・・
僕は子供の頃の『弁護士になりたい』という気持ちをどこかにやってしまい、
ただなんとなく、なんとなく毎日を過ごしていた。
別に何不自由なかった。
会社である程度の地位につき、家庭を持ち、
これ以上望むものは特になかったはずだった・・
でもなぜか満足してない自分がいる。
どうしてだろう。最近何に対しても熱くなれないのは・・
心に穴がぽっかり開いた気持ちなのは・・・・

そんなある日、僕の家に宅配便が届いた。
中には判例六法と手紙が入っていた。


『東君、久しぶり。元気ですか?
子供の頃の夢である弁護士にはもう、なれましたか?
実は私はもう63歳になるのですが、教授は63歳で定年になるので
今年で退官することになりました。そして来週神戸大学で最終講義をします。
もしよかったら私の教授生活最後の講義をききに来てくれませんか?
忙しいとは思いますが、年寄りのわがままだと思って聞いてください。
失礼します。

神戸大学法学部 内城罪重教授



P.S.ちなみに中の本は生協の本屋から盗んできました。』


東「盗品かよ!」
宅配便のお兄さん「すみません、こちらのお荷物は着払いなので1154円いただきます。」
東「俺もちかよ!!」



・・とうわけで数日後私は内城教授の最終講義を神戸大学でききにいくことにした。
たまたまその日は仕事が休みだったのもあるけど、
彼に会えば今の自分に何が足りないか、
また何か自分が忘れているものを思い出させてくれるような気がしたんだ・・・・・
あんないい加減で刑法バカで甲斐性なしな犯罪者だけど

私の人生に影響を与えた内の1人には違いないから・・・


そして、内城教授の最終講義の日がやってきた。
そして当の本人は・・・・

普通に遅刻していた。

内城教授「やばいっ、やばいぞ!!
今日だけは遅刻するわけには行かないぞ!
同志社の大谷先生や天国から一日だけ団藤先生や他にも刑法界の大御所が来るのに〜!!
くそっ、昨日徹夜でマージャンなんかするんじゃなかった!
もう、昨日の俺のバカッ!!
でも昨日、1人勝ちした俺、最高!!!
おっと、いまはそれどころじゃない!
早く学校に行かなければ・・でもどうしよう、
タクシー乗るにも金がない・・・。
キキイ!!
(そんな困る彼の前に一台の車が止まった。)
ウサギライダー「乗ってきな!!原チャで日本一周の夢はまたお預けだよ!」
内城教授「ウサギライダー!きっときてくれると信じていたぜ★
一緒に網走刑務所から脱走したとき以来だな。」
ウサギライダー「いいから乗れよ。」
内城教授「恩にきるぜ。神戸大学法学部U263迄頼む!!
地平線に届くように限界までふりきってくれ!!
道路交通法なんて知るか!!」
ウサギライダー「おいおい、それが法学部の先生の言うことかよ笑
・・ったく、お前といると退屈しないぜ。」
(そして俺たちは「最悪ひいてもいい」という未必の故意を持ちながら
一般道路を150キロオーバーで走っていた。)
兵庫県警「こらー!!前の車、とまりなさい!」
内城教授「ちっ、ポリか。最後まで俺の邪魔をしやがる。」
ウサギライダー「どうする?ふりきるか!?」
内城教授「いや、俺が話し合いで解決してこよう。車を停めてくれ。」


〜正当性の根拠〜

兵庫県警「罰金を払ってください。」
内城教授「なんでだね?」

庫県警「道路交通法違反だからです。」
内城教授「なぜそれに従わなければならんのかね?」
兵庫県警「法律だからです。」
内城教授「誰が作ったの?」
兵庫県警「国会議員です。」
内城教授「国会議員は誰が選んだの?」
兵庫県警「あなた方国民です。」
内城教授「なるほど。よく出来ました。
ところでおまわりさん、あなたよく国民主権を理解していますね?
ひょっとして私の本読んだことあるのかい?
ってゆうか私のこと知ってる!?」
兵庫県警「はい、あなたは刑法界でも警察のブラックリスト内でも
有名ですから。ある意味ファンです、サインしてください。」
内城教授「いいですよ。」
(と自分の本がでてくると思い、サインペンを用意する。)
兵庫県警「いいえ、本にではなく交通違反切符にお願いします。」
内城教授「・・・。」
ウサギライダー「ちゃんちゃん♪♪




〜一方その頃、神戸大学〜
東「はあ、ちょっと遅刻しちゃった。あれ、まだ始まってないの?」
法学部学部長「ないじょう君遅いなー。偉い先生方がたくさん来てるんだから、
私の顔に泥を塗らないでくれよ・・・」
ドーン!!!
法学部学部長「な、なんだ・・!?」
内城教授「あいてて・・・、無茶しすぎだよ!
なんで150キロで走ってるのに工学部からさらに加速するんだよ!!
そりゃ、六甲台でとまれないよ!」
ウサギライダー「わりいな。
でも六甲台に行くまでのあの急カーブのコーナリングは見事だっただろ?
まあ、ちょうど第二学舎にぶつかってとまったじゃねーか。」
法学部学部長「・・・・。こらーー!
民法709条
(不法行為に基づく損害賠償請求)−!!」

内城教授「あっ、学部長。おはようございます^^」
法学部学部長「おはようじゃない!!遅刻だぞ!!
早く教室に行って授業しろ><」
内城教授「あっ、はい。」
(そして彼らは教室に向かった)


(マルボロ・ライトで一服する)

ウサギライダー「ふうー、頑張れよ。
わりぃが俺はまた旅に出るぜ。」




最終講義
「共犯と錯誤」
〜構成要件的重なり〜

難易度:★★★+α
(公務員試験レベルを超えた真の学問としての刑法レベル)

内城教授「みなさん、遅れてすみませんでした。それではわたしの教授生活最後の授業を始めたいと思います。」
東「どんな言葉を述べるのだろう?ワクワク↑↑」
内城教授「それでは最後にこれだけは言わせてください。
猿払だけは許せません!!
東「パクリやがった、あの野郎!!
『猿払だけは許せません』というのは東京大学の憲法の先生である芦部先生が教授最後の講義で述べた言葉だ。日本を代表する憲法学者の芦部先生が、猿払事件に関して最高裁大法廷判決が合憲であると判断したことに対して、彼は一貫して違憲であると主張している。最後の講義で大勢の法学界の著名人が見ている中であの温厚で人のいい芦部先生が声を荒げて
『猿払事件の判決だけは許せません!!』
といったことで憲法学界に激震が走った出来事だったはず・・・」
法学部学部長「おまえ、刑法の専門だろ!!」
内城教授「すみません、ちょっといってみたかったんです。」
東「相変わらずだなあ、ちゃんと授業できるのか!?」
内城教授「ではそろそろまじめに授業していきたいと思います。
最後の刑法総論のまとめとして論理を炸裂させていきたいと思います!
テーマは「共犯と錯誤」〜構成要件的重なり〜です。
まず次の事例を考えてみましょうか★
@YはXに強盗の教唆をしたところ、被害者のZが留守だったため
Xは窃盗をしたにとどまった。教唆犯のYの罪責は!?

さて、教唆というのは他人をそそのかして犯行を決意させ、
犯罪を実行させるものだったよね★
この場合はYの客観面は正犯(実際に犯罪を実行した者)のXが
窃盗をしているから
まるでXは窃盗をするようにそそのかしてるように見えるんだ。
でもYの主観面は強盗をするようにそそのかしていたんだから
Yの客観面:窃盗の教唆
Yの主観面:強盗の教唆
となるはずだよね!さて、Yには窃盗教唆の故意ありといえるのかな!?
この事例では主観面と客観面で食い違いが起こっている。
これは錯誤の問題だよ!覚えてるかな?
これは窃盗と強盗という異なる構成要件間にまたがる錯誤だから、事実の錯誤で大きく二つに分かれるうちの別の犯罪・
抽象的事実の錯誤の話だよ。
ちょっと復習しよっか!!
これは判例は
法定的符号説をとるんだったよね♪
抽象的事実の錯誤の例・例えば殺人の故意で器物損壊の結果★
例えば学部長が私を殺そうと思って鉄砲を撃ったが、私には当たらず、
私の大事にしていた猫に当たり死んでしまいました。
さて鉄砲を撃った学部長の罪責は?という問題です。
このとき学部長は「人を殺すな」という規範には直面したけど、
「もの(猫)を壊すな」という規範には直面してないですよね。
だから器物損壊の故意が阻却されるのが普通です。
しかし、事例@でも法定的符号説で考える。
強盗教唆の故意:暴行・脅迫を用いて
物を取らせる
窃盗教唆の故意:
物を取らせる
ともに物を取らせるなという規範に直面しています。
これは『物を取らせる』という重なりあいが認められます♪
それで「大は小を兼ねる」ということで
『重い強盗教唆の故意あるを持って軽い窃盗教唆の故意あり』
といってもいんですよ★
だからYは窃盗教唆罪になるのです。
きれいでしょ?これが構成要件的重なりの典型例です!
じゃあこれを踏まえて次の事例を見てみましょう
AAはBを殺すつもりで発砲したところ、怪我を負わせたにとどまった。
Aの罪責は!?

ということです。ここでも構成要件的重なりの話で考えて行きましょうか。
Bが怪我を負ったということは客観的には傷害罪です。
でもAには殺人の故意がありました。これが主観面です。そうすると・・
Aの客観面:傷害罪
Aの主観面:殺人の故意
ということでさっきと同じように
構成要件的重なり合いの理論で考えていきます★
重い殺人の故意あるを持って軽い障害の故意ありといえますか?
いえますよね!?というわけでAは傷害既遂罪となりそうです・・・
でもちょっとまってよ!!
AはBを殺そうと思って殺し損ねてるんですよ。
これって殺人未遂罪じゃない!!?
そうなんです、これはただの殺人未遂罪なんです。
どうしてこんな間違いが起こったかというと主観面が
さっきは傷害罪といったけど、実はこれが間違いで
客観面も殺人未遂だったんですね!
だから主観面も客観面も殺人で不一致がないから錯誤の問題にならない。
構成要件的の話じゃないんだね^^
だからAは殺人未遂罪にやっぱりなっちゃうというわけです。
むずかしかったかな?じゃあ次が最後の論理だよ★
BAはBを殺すつもりで殺したがたまたまBはAに殺されたがっていた。
Aはそのことを認識していなかった。
Aに殺されたがっていたBをAがたまたま殺したとき
Aの罪責はどうなりますか?
という問題ですね★

皆さんはこの人になら殺されてもいいっていうことはないですか?
私は長澤まさみちゃんになら殺されてもいいです。」
東「変態・・・。」
内城教授「それと同様にBもAに殺されたがっていた。
Aがそのことを認識していたのであれば、
A『なんや、それやったらはよいえよー。水臭いなあ!』
B『おう、ごめんごめん。よろしく頼むわ♪』
といって殺せば承諾殺人罪になります。
承諾殺人罪を犯せば六月以上七年以下の懲役または禁錮で
殺人罪の五年以上の懲役に比べればだいぶ軽いんだよ♪
さあでも、この事例ではAはBが殺されたがっていたなんて、知らなかった。
@かAのどちらの事例で考えればいいのかな?
Aの主観面:普通殺
客観面:普通殺
ならAと同じだけど、客観面が承諾殺と考えるのなら
@と同じ錯誤の問題になるよ★
Aの行為は客観的には普通殺か承諾殺のどっちかな?
でもそもそも承諾している人を普通殺人できるのかな?
不可能だよ、承諾している人を意思に反して普通に殺すなんて★
これは実は不能犯の話なんだね。
きょうはすごいねえ〜。
共犯の話だけでも難しいのにそこに錯誤とさらに不能犯の話も入ってきた!
アダルトですよね〜、これぞ究極の刑法の論理です!!
では不能犯の問題として考えるよ!
そうすると
具体的危険説ってあったよね★
これは
通説の立場で行為時に一般人が認識しえた事情及び当該行為者が
特に認識しえた事情を基礎に具体的を認めることが出来るか否か

でけっすべきとしていたよね。
忘れてた人は復習が足りないよ★
この説から事例を考えると被害者が承諾していることを
一般人は予見し得ないし行為者も認識していない。
だからBの殺されたがっているという事情を無視するよ☆
承諾していない人を普通殺(意思に反して殺すこと)できますか?
出来るよね!これで客観面も普通殺となり
Aと同じになって錯誤の問題にならないんだね!
もう一つは村井先生のお立場の
客観的危険説からも考えるよ!
客観的には被害者は承諾していた。
承諾している人を普通殺(意思に反して殺す)は絶対に出来ません!
これは不能犯になります!
だから客観的には承諾殺となり、
主観面と客観面で不一致が生じ錯誤の問題になる。
そして重い普通殺人の故意を持ってと軽い承諾殺人の故意があるといえるか?
重なりあいが認められるか?OKだよね^^
ということで承諾殺人罪肯定になるんだ!!
以上が刑法総論での最高レベルの論理だよ、難しかったかな?
わからなかった人は過去の講義を参考にして何度もなぞれば
必ずわかるように説明しています↑
この事例で近くの法学部君や刑法ゼミのコを攻めてみてください★
ここまでさらさらわかる人はなかなかいないですよ。
公務員講座の先生が刑法の教科書で間違って書いてるぐらいですからね。
いかがでしたか、刑法総論は!?
いろんな論点が絡み合い非常にテクニカルです★
難しいですが論理で必ず解ける、ある意味数学的なんです♪
おや、もうすぐ時間ですね・・・。」
東「あんた、やっぱり流石だよ・・」
内城教授「私は人生を通して私は刑法ばっかりやってきました。
『民法や行政法をやればさらに法の知識が広まるのに!』
とライバルから攻められたこともありました。妻に
『あなたは六法全書に載っている判例しか見えてない、
実際に目の前にいる私のことが見えていないのよ!』
と怒られたこともありました。 
だが私には刑法しかなかったんです。
私は刑務所で人生の大半をすごし、決して東大の日本を代表する法学部の先生のように誇れる人生を歩んできたわけではありません。
しかし私ほど刑法を学ぶものとして実際に法に触れ、
規範に直面し、刑法と実際に向かい合って生きてきた人はいないでしょう。
時には刑法に助けられ、時には刑法に裏切られることもありました。
でも人には刑法が必要なのです。
自分はぜったい犯罪なんか犯さない!
・・・ってみんな思ってるでしょう?
でもふとした拍子に人間は罪を犯してしまうもんなんです。
罪を犯される側になるかもしれません。
自分じゃなくても親が殺されたら・・・、
まあ悲しいですけどいずれ死ぬから心の準備は出来てるんですよ。
でも自分の恋人や子供なんてころされたら、
もう犯人に対して黙っちゃいられないですよ!!
自分が手を下してでも相手を殺したいって思っちゃいますよ!
そんなときに自分に代わって相手を裁いてくれるのが刑法なんです。
私が言うのもなんですが、

犯罪はどんなことがあってもおかしちゃダメですよ。

みなさん、生きていて一番幸せなことって何か知ってます!?
自分に後ろめたさがないことです。
瑕疵(キズ)がないっていうことなんです。
軽い罪でも自分が犯してしまえば、
やっぱり生きていて、しんどいですよ。
苦しいですよ。
自分に何の罪もないって言うことがどんなにすばらしいか!?
皆さん考えたことはありますか?
やっぱり幸せだと思いますよ。それを得るために・・
刑法は罪を犯すのをとめるためにあるのです。


皆さんには何の罪も背負わずに生きていってほしいというのが
私の唯一の望みです。

年寄りのたわごとを最後まで聞いていただき有難うございました。
今日は最後の授業にたくさんの生徒とたくさんの
先生方にきていただき有難うございました。
そして・・・(東君のほうを涙目で見る)
薄暗い刑務所で過ごしてきた私にとってこの場は
人生で最初で最後の晴れ舞台だと思います。
私は教授を今日で引退しますが法律は人生をとおして
学び続けていこうと思います。
学び続けなければならないと思います。
もうすぐ裁判員制度が施行され、
法律というものがますます身近なものとなっていくでしょう。
だから皆さんも学問の真理を探究する純情可憐な気持ちで
法律を学び続けていってください。
長くなりました、以上で最終講義を終えたいと思います。
あり・・有難うございました!」
ぱちぱちぱちぱち!!
(拍手がU263を包んだ、中には立ち上がり拍手をするものもいた。)
法学部学部長「内城君、君ってやつは・・・涙」
団藤教授(東大)「この世にも君のような刑法バカがまだいたんだな・・」
大谷教授(同志社)「私もまだまだ負けてはいられないな。」
滝川教授(立命館)「思わず、京大に戻ってイチから勉強したくなったよ。」
※滝川事件・・・戦時中当時の日本にとって危険な思想を弾圧するため、旧帝大・京都大学の刑法分野のトップの滝川教授に政府からの圧力で京都大学が休学処分を下して、それに反抗して滝川教授は京都大学に辞表を提出し、立命館に移った。それとともに滝川教授と意思を共にする18名の教授、助教授も立命館に移籍した事件。これにより関西圏の刑法界の権力の構図が京大の一極集中から分散することにつながった。
前田教授(東大)「刑法を通じて君に出会えたことに感謝するよ。」
(拍手は鳴り止まなかった)
内城教授(神大)「ありがとう、皆さん今日は来てくれて本当に有難う。」
東「先生・・思い出したよ。
子供の頃の法律を学びたいという熱い気持ち。。。
そして今は法律で人を救いたい・・
周りにもう遅いって言われるかもしれないけど弁護士になるために勉強してみることにするよ!!
有難う、先生。本当に有難う(涙)」

(誰もその教室から去ろうとするものはいなかった)
内城教授「ありがとう!ありがとう・・」






内城教授「・・・・むにゃむにゃ・・ありがとう・・あり・・」
東君「ねえねえ、起きてよ先生!!」
内城教授「あり・・ん?ここはどこだい?」
東君「奈良公園だよ。平日の真昼間からベンチで
寝てるなんてどんだけダメ人間なんだよ。」
内城教授「あれ、今日は私の最終講義で??大勢の著名人が見に来てて・・
そして東君はもう大人で弁護士をめざすんじゃ・・!?」
東君「はあ?何言ってんの!?
確かに僕は法律すきだけど、将来の夢は漫才師になることだよ★
それにあんたの最終講義なんて誰も見に来ないよ。」
内城教授「そんな、まさか・・夢オチとは。
ここまでひっぱって・・夢オチとは!!」
東君「何言ってんの?それより昨日の続きの『共犯と錯誤』のところ教えてよ★」
内城教授「おっ!そこは難しいところだぞ!!
覚悟はいいかな!?」

東君「・・うんっ^^♪」



ウサギライダー「ちゃんちゃん。」

★刑法総論★

■重要判例■

猿払事件
(最大判昭49/11/6)

●事案
北海道宗谷郡猿払村のある
郵政事務官が、衆議院議員選挙に際し、
社会党を支持する目的で同党候補者の選挙用
ポスターを提示・配布した行為が
国家公務員法等に違反するとされた。そこで、
このような政治活動の制限は合理的な必要最低限度を超え、
憲法21条・31条に反するのではないかが問題となった。
●該当条文
憲法21条@集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は,これを保障する。
 憲法31条 何人も法の定める手続きによらなければ、
その生命若しくは自由を奪われ、又はその他の刑罰を課せられない。
●判旨
行政の中立性が確保され、国民の信頼が維持されることは憲法の要請であり、
国民全体の重要な利益に他ならない。
従って公務員の政治的中立性を損なう恐れがあるような
政治的行為を禁止する行為はそれが合理的で必要やむをえない限度に
とどまるものである限り憲法上許される。
国家公務員法等の公務員の政治的行為の禁止の目的は正当であり、
禁止の目的と禁止される行為との間には合理的な関連性がある。
そして禁止の目的と禁止により得られる利益と失われる利益を考慮すると、
禁止により得られる国民全体の共同利益の重要性に比べ、
失われる利益は単に行動の禁止にともなう限度での間接的、付随的な制約に過ぎない。
したがって罰則規定の要否及び法定刑について
立法機関の決定がその裁量の範囲を著しく逸脱しているものとはいえない
以上より国家公務員法による公務員の政治活動の制限は
合理的必要やむをえない限度にとどまるもので、憲法21・31条に反しない。

内城知子「みなさんはじめまして↑↑
いつもランドセルの中に判例六法(有斐閣)を入れている内城知子です★
ちょっとこの判例は難しいので軽く説明しますね♪
憲法21条では表現の自由が規定されてるのですが、
これは公務員にも同じようにも同じように
保障されるのかって言うのが争点になってるわけです。
公務員には
政治的中立性が要請されるので職務の中立性を確保するために
合理的でやむをえない限度では公務員の政治活動を制限することも許されるのです。
しかし問題は最高裁の見解と芦部先生を代表する学説が
真っ二つに分かれているのです><
猿払事件ではただの郵便局員がポスターを貼る行為を政治活動に当たるとして
国家公務員法に違反するとされたんです。
でもこのような制限はあまりにも厳しすぎ、
憲法違反じゃないかなって気もします。
なんと第一審の旭川地方裁判所はこの制限は憲法違反だとしてるんですよ★
でも最高裁はこれは
内容中立規制であるとして
合理性の基準
を用いて判断しています♪
内容中立規制とは表現の場所、方法等の規制のことを言います。
この事例では社会党のポスターですが、
これが仮に自民党であろうが民主党であろうが関係ありません。
合理性の基準は最高裁のとった合理性の基準は政治活動の禁止が
@禁止の
目的が正当であって
Aその目的と禁止との間に
合理的関連性があり
B禁止によって得られる利益と失われる利益との
均衡を失するものでない限り
許されるというものです。(寺西裁判官懲戒処分事件と同基準)
これに対して芦部先生は規制の目的は正当であるけれども
手段が
LRA(Less Restrictive Alternative)の基準を使って、
正当ではないから憲法違反だとしてるんです★
これは規制目的を達成するより軽い方法がほかにあれば違憲とする基準のことです。
この場合は与えられた仕事をするだけの現業の郵便局員を規制するよりも、
その上の立場で判断をともなう職務を従事する職員のみを
制限すれば足りるんじゃないでしょうか!
だからこの政治活動の制限は憲法違反になると考えてるんです。
芦部先生は最高裁の猿払事件に対する判決だけは納得いかないということで最後の授業で芦部先生は
『猿払だけは許せません』
という言葉を残して東京大学で教壇をあとにしたんですね♪
わかりましたか??」
内城教授「さすが、知子は憲法のことになるとくわしいな〜♪」
内城知子「なんだよおっさん、
みんなの前だからって父親ヅラしてんじゃねえよ!!」

内城教授「すまん。。。」
内城知子「失礼しました><!
憲法はドイツ系の民法や刑法と違ってがさつなアメリカ系なんで
バリバリの論理というのは少ないですが、
憲法は簡単だし有名な判例がいっぱいで面白いですよ♪♪

ではでは〜^^☆☆★







芦部教授「私は
猿払だけは許せません!」
内城教授「私は
買物しようと街まで出かけたら、
財布を忘れて愉快なサザエさん
だけは許せません!
愉快ですか?私、不愉快です。」

東「どうして日曜の晩から不愉快にならなければいけないんでしょうか。
サザエさんは契約をなめてるとしか思えませんね。
代金の提供がなければ債権が成立しえず、同時履行関係にならない。
民法なめんなよ!!

芦部教授「・・・、許してあげようよ。」


        



-刑法総論・完-





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