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コマ割りと演出

コマ割りとは、すべてのマンガにおいてみられる表現方法です。
「マンガにはコマ割り」――当たり前のことではありますが、 もしもコマ割りがないと、マンガは「1ページ1コマ」、つまり絵本と同じものになってしまいます。

また、コマ割りは演出においても重要な役割を果たします。
ストーリーが盛り上がる場面では、コマ割りもそれにふさわしい演出を必要とします。
マンガをマンガたらしめるために、また、マンガのストーリーをより効果的に演出するために、 コマ割りはとても重要な役割をするのです。

今回はコマの大きさや形によって受ける印象と、それらを実際に使った例を紹介します。



コマ割りの種類

*大コマと小コマ・・・

 大コマは、重要度や注目度が高いものを描くときに使います。
 逆に小コマは、重要度や注目度が低いものを描くときに使います。
 単純な使い分けのようにも思えますが、同じページ内にあるコマの大きさのバランスはとても重要です。
 例えば、4コマ/ページほどの密度の大コマばかりが続くと、4コママンガのような単調さを与えてしまったり、 逆に10コマ/ページほどの密度の小コマばかりが続くと、忙しない印象を与えてしまうことがあります。


*縦長のコマと横長のコマ・・・

 ところで、人間の目は右と左にひとつずつついていますね。自分の視点を右から左、 上から下へ移動してみましょう。
 どちらのほうが移動しやすかったですか?
 おそらく大半の方が右から左のほうが移動しやすいと感じたはずです。 事実、人間の視野を検査すると、視野の範囲は横長の楕円形を表します。 気になる人は病院で視野検査を受けてみてください(笑)

 つまり、縦長のコマと横長のコマでは視点の滞空時間が異なるのです。 ここで言う滞空時間は、マンガの登場人物の体感時間でもあります。
 縦長のコマのほうが体感時間が長く、横長のコマのほうが体感時間が短くなります。
 これは、マンガの中で時間の演出に利用することができます。


*斜めのコマ・・・

 スピード感を表現するときによく使われます。
 ですが、斜めのコマを使えばスピード感が表せるというものでもありません。
 「コマが斜め」というだけでなく、コマの中の「構図」も重要になってくるので、斜めのコマを安易に使うのは あまりお勧めできません。

 また、斜めのコマはスピード感の表現の他に、時間や空間の違う複数のコマを並べるときにも使用されます。

(例1)
(例2)
時間の並列
 このページの上半分は「現在」の状態、下半分は「過去」の回想になっている。
 「現在」から「過去」へ移る過程で、主人公の気が遠くなるのにあわせて斜めのコマが効果的に使用されている。
空間の並列
 このシーンは、同じ空間に存在する二人の会話になっているが、 最後の2コマははじめの二人に関係のある他の二人の登場人物の様子を断片的に見せている。



人物の向きと印象

*正面・・・

 主観が強くなる向き。
 読者に感情や主張を訴えかける印象です。


*斜め・・・

 どのマンガでもたいてい最も多く用いられる向き。
 普通の会話シーンでよく使われます。


*真横・・・

 主観から離れて登場人物を眺める向き。
 客観的な印象を与えます。


*後ろ・・・

 完全に主観から離れてしまう向き。
 登場人物に対し、謎、疎遠などの印象を与えます。


*煽り・・・

 登場人物を下から見上げる構図。
 一人の登場人物の心情を主観的に表現したり、巨大なものを効果的に表現するのによく使用されます。


*俯瞰・・・

 登場人物を上から見下ろす構図。
 一人の登場人物の心情の客観的に表現したり、場所の広さを効果的に表現するのによく使用されます。


コマの中の人物の位置

*中央・・・

 主体となる人物や物を置くと効果的です。


*上と下・・・

 上の方にいる人物には優位な印象が、下の方にいる人物には劣位な印象が与えられます。


*右から左、左から右・・・

 日本のマンガは右から左へページが進むため、同じように右から左へ進むのもには前進、 逆に左から右へ進むものには後退という印象が与えられます。


演出の工夫例

(例1)

 コマ割り以外にも重要な要素である「キャラクターの個性」を重視したマンガ。
 脇役であるクラスメイトの外見はもちろん、「佐々木くん」と「山田くん」の外見を、 「典型的ないじめられっ子」と「典型的な学級委員長」に仕立て上げた。
 また、1〜8コマまでのコマ割りをわざと淡々と進めることによって、最後の9コマ目のの斜め構図で 「山田くん」のセリフを際立たせた。



(例2)
 1ページに全てをまとめてしまっているが、6の人物がコマをまたいでいる演出や、 3コマ目のセリフのみで余白のコマなどを使って、窮屈な印象を与えないようにしている。
 また、こちらのマンガではわざと「山田くん」に裏があるように描いている。こちらは「山田くん」 というキャラクターに注目を集め、読み手に興味を持ってもらうように演出されている。



勉強会担当者より

今回「コマ割りとその演出」というタイトルで編集しましたが、「演出」とは本当に多様なもののため、 実際の勉強会で話した内容をすべて記述することはできませんでした。 コマ割りの種類とそこから受ける印象についてもいくつか紹介しましたが、それもこれがすべてではなく、 同じ種類のコマでも使いようによってはまったく違う印象を与えることもあります。
結局、演出には絶対の決まりというものはないのです。
演出がうまくなる一番の方法は、既製の作品の演出を研究することと、 そこで学んだ演出を実際自分のマンガに生かしてみることを繰り返すことです。



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