アメリカ・ドッキリ物語(7)

                 岡本孝司(法学部 昭和30年卒業)

    Japanese Indians

  去年の秋、アリゾナ州のインディアン居留区(reservation)の一つを訪問した。そのときある店のインディアンの老婆から、ニューメキシコ州に自他共に日本人の末裔であるといわれるインディアン部族の存在することを教えられた。このインディアンをズーニー(Zuni)と呼ぶ。ズーニーはGallupという人口2万人の比較的大きな町の南方35マイルの地点におり、人口は6千人。部族の団結力が強く、男性は非常に勤勉で他のインディアンとは異なり酒は飲まないという。女性は日本人と同様手先が大変器用で、彼女らが葦を材料に織るバスケットは水を漏らさぬというし、彼女らの作る装身具は日本的に極めて精巧で、他のインディアンの追随を許さぬそうだ。日本人がアリューシャン列島やアラスカを経由してアメリカにやって来たという説があるが、こんなに具体的にJapanese Indians の存在を聞かされたのは初めてで、これも一つのドッキリだった。

 早速図書館に行き、ズーニーインディアンの特色を調査した。次にそれを箇条書きにするが果たして日本人との共通点はあるだろうか。

1.太陽を神と崇め、酋長が絶対的権力を有する。

2.ズーニーは孤立性が極めて強く、その言語は他の種族の言語とまったく類似性がない。インディアンに共通語は存在しないが、それでも例えばホッピー族の話す言葉はアパッチーに対しで30%は通じる。他の70%はダンスによった。ところがズーニーの言葉は100%他の種族には通じない。
 
3.
南米のインディオと異なりインディアンは農耕をまったく知らなかったが、ズーニーだけはコーンの栽培を知っていた。この点彼らは農耕民族である。

4.
争いを好まず、他の種族、特に好戦的なアパッチーやナバホとの交渉を意識的に避けてきた。部族内では和の精神を大切にしている。一方、積極性と自己主張に欠ける。

5.儀式が好きで、動物の超能力を信ずる。

6.他のインディアンと異なり、男がマスクを着けてダンスする。

7.世界的なマラソン走者を輩出している。

 だが読んだ本の中でズーニーが日本人の末裔であるという記述はなかった。インディアンの居留区には彼らの政府、憲法、法律がある。ズーニーもその例外ではない。ただズーニー政府は非常に保守的でカメラ、ビデオの持ち込みを許さず、風景をスケッチしたり、村を散歩するにも許可がいる。本年夏にはズーニー族の町を訪問する予定だが、事前にズーニー政府に連絡して、当方の目的を告げ、極力協力してもらうつもりでいる。





岡本孝司(昭和30年法学部卒業、一橋大学大学院修了後、アメリカで勤務、在米35年、歴史愛好家、著書にゴールドラッシュ物語』『アメリカ意外史など)