|
雇用のミスマッチということが盛んに言われておりますね。確かに自分のやりたい仕事に就ければ、それにこしたことはありませんが、そうでないことが必ずしも不幸せだとは限りません。むしろ社会人で頑張っている方々の中には、自分の就いた仕事が自分のやりたいことだった、と考えている方が多いのではないでしょうか。
先日、ある企業のグループ・ディスカッションの課題に、こんなものがありました。
「新入社員の30%が3年以内に退職する時代になったが、雇用のミスマッチを解消するにはどうしたら良いか?」
人事部が抱えている問題を、そのまま課題にしたようなものですが、この課題の前提をまず考えてみる必要があります。「新卒大学生は就職して3年以内に3割が辞める時代です。」と、多くの就職評論家がこの数値を取り上げており、第二新卒が急増しているかのように訴えておりますが、15年前の1988年でも29.4%の新入社員が入社3年以内に退職しています(旧労働省資料)。確かに現在の離職率は34%近くになっており微増しておりますが、今まで知らなかった数値が出てくると急増しているように感じてしまいますね。また、雇用のミスマッチが退職理由として主なのかという点にも疑問の余地があります。
課題に対する疑問はさておき、では何がミスマッチなのでしょうか?仕事の相性?会社との相性?上司との相性?一般には、やはり仕事の相性を指すのだと思いますが、私は新卒採用においては仕事のミスマッチを論じるのは非常に難しいのではないかなと思っています。というのは、新卒社員の方には職業経験がありませんし、企業の仕事についての情報も十分ではないでしょう。余程、長期化に渡ってインターンシップを現場でやらない限り、なかなか自分と仕事との相性を把握するのは困難だと思います。
最近、新卒採用のミスマッチという言葉を聞きすぎたせいか、私が就職活動をしていた時代はあまり選択の余地がなかったせいかわかりませんが、あまりにミスマッチ問題論が言われると、未完成な若者の最大の魅力である潜在能力を殺してしまうのではないか、と心配になることがあります。
「敬遠は一度覚えるとクセになりそうで。」
これは皆さんも多分ご存知の甲子園で優勝した投手の言葉です。勿論、自分の関心のある仕事に就けることが、本人のやる気につながりますし責任感も生まれてくるからそれが一番、良いでしょう。しかし、自分のやりたくない仕事と、自分のできない仕事とはイコールではありません。経営学部の加護野先生なども若者が仕事の苦労を通じて頑張ることによって、自分自身の能力に気づいたり新たな自分を発見できたりすることを支持されています。自分の好きな仕事を選べる時代は素晴らしいことだと思いますが、世間一般に言われていることを鵜呑みにせずに、若者最大の魅力について今一度考えて欲しいと思うのです。
|