| 就職活動や自分のキャリアを考える上で参考になる良書をご紹介したいと思います。
「キャリアショック」高橋俊介著(東洋経済社、\1500.-)
著者はキャリア研究者としては最も有名な高橋俊介氏でご存知の方も多いでしょう。人事コンサルとして長年活躍されていましたが、今は慶應大学湘南藤沢キャンパス(SFC)のキャリア・リソース・ラボで教授として活躍されています。高橋氏は研究と言っても概念的ではなく、限りなく現実に近いところで持論を展開されているのが参考になると思います。この本は社会人向けですが、雇用環境の社会変化知るのにはとても参考になるでしょう。
「予想外のキャリアショックに対して柔軟に対応できる能力を自分主導で身に付けること。」
この著作の中心になる概念の「キャリアショック」とは、就職した企業が「我が社は絶対に終身雇用を守ります。」と断言していても、その企業がある日突然、外資系企業に買収されたらすぐに約束は反故にされてしまう時代になった、ということです。そのため、自分のキャリアは会社任せではなく自分でしっかり構築していく力を身に付ける必要が出てきたということです。これは皆さんがこれから就職セミナーで聞く説明についても言えますね。ちょっと意味が違いますが、採用担当者の説明に惚れ込んで入社したら、その人が退職していたなんて笑い話もよくあることです。
「人脈や情報網の固定化は、キャリアショックへの抵抗力をどんどん低めていく。」
以前、キャリアの正体は「専門性と人的ネットワークの組み合わせ」と書きました。変化の激しい環境下では、年齢や所属組織(企業)にかかわらず、より良い人的ネットワークを求めて行くべきだということです。但し、単なる仲良しサークルではなく、より質の高い人脈を得るには何らかの専門性をベースにしなければなりません。最近、社会人大学院がだんだんとその機能を担ってきており、今は企業派遣の研修制度ではなく自分の意思で行く社会人がどんどん増えてきています。
「人材使い捨て企業、人材囲い込み企業、人材排出企業、人材流失企業、人材輩出企業」
就職する企業の選択では、新入社員に大きな活躍の場を与えて速く成長させてくれるところが良いですね。同時に、その企業が社員の新陳代謝の仕組み、概念をもっているかは大きなポイントではないかと思います。その企業で能力を発揮できない社員を退場させる時は勿論、優秀な社員であってもその個人の目標が企業と異なってきた時、誠意をもって送り出してくれる企業は本当に優秀な企業です。この概念は若い採用担当者では立場上、経験上、語れないこともありますので、皆さんが内定を戴いてトップ経営者に会えた時にでも尋ねてみて下さい。卓越した経営者は、必ず採用する時だけではなく、別れる時の哲学も持っています。
著者の高橋氏は、元々人事マネジメントの専門家であって、キャリアについて語り始めたのは最近のことです。私が同氏と出会った時はちょうど人材コンサルをやめてフリーランサーになった頃で、おそらくご自分の新たなキャリアを模索されていたのではないかと思います。高橋氏の著作に説得力があるのは、そこかしこにご自身の体験が垣間見えるからで、ある意味、ご自身のキャリアが著作になったのかもしれませんね。
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