| 就職活動の手始めに多くのみなさんが行おうとするのは、自己分析でしょう。どんな就職ガイドブックやセミナーにおいても最初に言われていることですが、そのやり方には二つの方向性があります。職業経験の無い大学生が自己分析をする際には、どちらかというと「自分探し」より「自分創り」の方に力を入れた方が良いのではないかと思います。
多くの就職本やセミナーで自己分析の方法で推奨されているのは、自分史を作ってそこから自己PRを考えることです。これは自己分析の方向を過去に向けること、意識を自分の内側に向けることですね。自分自身の存在を言語化していくことは自己理解にとても有効なことで、そのためにキャリアカウンセリングという支援方法もあり、これを「自分探し」といいます。
もう一つの方向性は、これとは逆に未来に向かうこと、意識を自分の外側に向けることです。「自分探し」が自分一人の作業であるのに対し、この作業は誰かと会話をすることによって進められます。ここで言う会話とは、就職本によくある「私ってどんなタイプだと思う?」と友人に尋ね回ることではありません。他の人のものの見方や考え方を聴きまくって自分との差異を感じ、その中から自己理解をすることです。これを「自分創り」といいます。
若者が自分のアイデンティティを求めるのは当然のことですが、就職活動ではあまり「自分探し」に凝らなくても良いと思います。「本当の自分ってなんだ?」と考え込むよりは、いろいろな人と話してみて新たな考え(新たな自分)を手に入れる方が有益ですし、自分が大きくなります。そもそも自分というものも、変化していく相対的な存在でしょうしね。
人は職業に就いて働くことによってどんどん変わっていきます。それは学生であった20数年とは全く違う環境の世界です。面接で「私はサークルでも補佐的な立場で仲間を支援するのが好きだったので、一般事務の補助的な仕事で人をサポートしたいです。」と言った女子学生が、数年後に採用担当者も本人もアッと驚くキャリア・ウーマンになっていたりします(最近、「そんなはずじゃなかったキャリア・ウーマン」が確実に増えています)。
ちょっと極論すれば、採用担当者にとって応募者の「本当の自分」はどうでもよく、知りたいのは応募者の外側にある社会的自分の方です。採用担当者がマスコミのインタビュー等で「最近の学生は自己分析ができていない。」と指摘することもありますが、それは内面の理解ではなく外面の理解のことです。企業にとっては社員がどんな気持ちであれ、仕事をしっかりやってくれれば良いのです。こういう言い方をすると冷たいように感じられるかもしれませんが、「どんな気持ちであれ仕事ができる」というのは大事な社会人としての能力です。セルフ・コントロールができるということです。
自己分析は「自分探しの旅」という人も居りますが、あんまり遠くまで行かなくても良いでしょう。「自分探し」は自己紹介程度で十分ですので、「自分創り」の方に励んで欲しいものです。机に向かって考えないで、多くの人の話を聞きに行きましょう。そちらの方が自分の可能性が広がって楽しいし、それに自然とコミュニケーション能力がつきますよ。
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