「願い」
どんな願いでも叶えるという魔法のランプの噂を聞いて数年。私は私の持ちうる人脈、金、その他ありとあらゆる手段を使って古いランプの収集にいそしんだ。
そして三つ目の倉庫がランプで一杯になろうかという頃、ついに私は魔法のランプを見つけ出すことに成功したのだった。
私がそのランプを布で磨いた時、突然ランプからもくもくと煙が立ち上がったかと思うとその煙はやがて人の形をとっていった。
現われたのは黒褐色の肌の大男で頭にターバンを巻いている。まさにアラビアンナイトの世界の住人だ。
男は私にうやうやしくお辞儀をすると重々しい声で言った。
「ご主人様、なんなりと御用を申し付けください。どんな願いでもかなえて差し上げます」
それを聞いて私はかねてから用意していた願いを言った。
「ランプに戻って二度と人の願いをかなえるな」
「かしこまりました」
ランプの魔人は元の煙に戻るとランプの中へ帰っていった。
それを確かめた私は数年の間の不安が解消され、安堵のため息をついた。
「やれやれこれで一安心だ。これで誰も“世界の支配者にしてくれ”なんて願いは叶えられないわけだ」
世界を支配する独裁者になって二十数年、いまだ私の地位を脅かすものは現われていない。
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あとがき
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