謡曲クイズ
解答は問題の下をドラッグしてください。
問 次の条件を満たす曲を挙げなさい。

(1)ワキが登場しない曲(八曲)
  『歌占』・『木曽』・『楠露』・『小袖曽我』・『三笑』・『禅師曽我』・『橋弁慶』・『夜討曽我
 以上のように曽我物三曲はすべてワキなしです。


(2)ツレの名がそのまま曲名になっている曲(二曲)
 『小督』・『蝉丸
 そのままではありませんが、『通小町』・『俊成忠度』にもツレの名が入っています。


(3)シテの謡がフシばかりで、コトバがない曲(四曲)
 『』・『猩々』・『紅葉狩』・『輪蔵

(4)ワキの謡がコトバばかりで、フシがない曲(二曲)
 『景清』・『鶴亀

(5)シテとワキが舞台上で会わない(言葉を交わさない)曲(二曲)
 清経』・『蝉丸
 上記二曲は、ワキが退場してからシテの出になります。
 ただし『清経』はシテが喜多流など下掛りの場合、ワキはそのまま舞台に残り、
 ツレと共に夢で清経に会う体です。


(6)曲中で雨が降ってくる曲(十三曲)
 『安達原』・『蟻通』・『一角仙人』・『雨月』・『梅枝』・『鉄輪』・『賀茂』・『邯鄲』・『玄象
 『千手』・『経正』・『定家』・『紅葉狩』・『熊野』・『羅生門
 但し『雨月』・『経正』は雨の音のみ、『千手』は一日中雨かも

(7)幽霊が相手にある物渡す曲(三曲)
 『海士』(シテが子方に扇を)『善知鳥』(シテがワキに小袖を)『楊貴妃』(シテがワキに簪を)
 夢の中で渡された物なのに、夢が覚めても存在する。不思議ですね。


(8)僧が弔うつもりだった人とは違う人が出てきてしまった曲(一曲)
 『兼平
 ワキは木曽殿(木曽義仲)を弔いたかったのですが、実際出てきたのは兼平でした。
 『通小町』もおしいのですが、お目当ての小町はちゃんとツレで登場します。


(9)亡霊が我が家に現れる曲(三曲)
 『善知鳥』・『』・『清経

(10)子供の年齢が分かる曲(二曲)
 『隅田川』(十二歳)『藤戸』(二十余り)
 『海士』・『歌占』・『花月』も年齢に関する記述がありますが、現在の年齢までは分かりません。

(11)子が父の幽霊に会う曲(一曲)
 『善知鳥

(12)子が母の幽霊に会う曲(一曲)
 『海士
 これは生前の母にも前場で会っていますね。


(13)上から読んでも下から読んでも同じ曲名の曲(二曲)
 『善知鳥』(うとう)『龍田』(たつた)

(14)クセが二回ある曲(一曲)
 『田村
 ヨワとツヨ両方のクセが楽しめます。


(15)クセの中のアゲハがカナで僅か五文字の曲(一曲)
 『雲林院』(信濃路や=しなのぢや)
 逆に長いものは『江口』・『小袖曽我』・『源氏供養』・『殺生石』など

(16)クリ・サシ・クセを通じてシテが黙り通している曲(四曲)
 安宅』・『国栖』・『小督』・『夜討曽我
 それぞれ子方/子方とワキ/ツレ/ツレが代わりに謡います。

(17)クリの標示がありながら本ユリがない曲(二曲)大成版に依ります。
 柏崎』・『頼政
 但し『頼政』は観世流と喜多流以外では本ユリで収めています。


(18)クリの標示がないのに本ユリがある曲(一曲)大成版に依ります。
 雲雀山

(19)一曲の中で本ユリ・半ユリ・三ツユリが揃っている曲(一曲)
 千手

(20)「仁義礼智信」という文句がある曲(三曲)
 天鼓』・『経正』・『俊成忠度

(21)「候」が一回しか出てこない曲(二曲)
 『車僧』・『身延
 但し『身延』では「さむらふ」と読みます。


(22)曲名からカナ一つ除けば…
 《1》昆虫になる曲(二曲)
  『賀茂』(蚊)『胡蝶』(蝶)

 《2》植物になる曲(七曲)
  『淡路』(粟)『善知鳥』(藤)『采女』(梅)『木曽』(木)
  『龍田』(蔦)『藤戸』(藤)『屋島』(椰子)


 《3》鳥類になる曲(二曲)
  『安宅』(鷹)『』(鵜)

 《4》魚介類になる曲(六曲)
 
 『淡路』(鯵)『鵜飼』(貝)『』(海老)『高砂』(かさご)『田村』(鱈)『定家』(烏賊)

 《5》動物になる曲(三曲)
 
 『蘆刈』(アシカ)『清経』(狐)『松虫』(まむし)『龍田』(龍)

 《6》海草類になる曲(二曲)
 
 『賀茂』(藻)『野守』(海苔)

(23)物売りが出る曲、また売る人物と商品(六曲)
 蘆刈』(シテが芦を)『烏帽子折』(烏帽子屋の亭主が烏帽子を)『猩々』(ワキが酒を)
 『錦木』(シテが錦木を、ツレが細布を)『雲雀山』(シテが花を)『松虫』(ワキが酒を)

(24)シテが謡う、最初と最後のカナ五字が全く同じ曲(一曲)
 『』(月もはや。出汐になりて…鐘も聞えて月もはや

(25)上記以外で、シテが謡う、最初と最後のカナ二字が全く同じ曲(一曲)
 『安達原』(げに侘人の…今まではさしもげに

(26)一曲の最後が漢字(本字)になっている(本字留めといいます)曲(三曲)
 兼平』(…目を驚かす有様)『』(…名残惜しの面影)『野宮』(…出でぬらん火宅の

(27)同一人物なのに曲によって《1》シテ《2》ツレ《3》子方と役が代わる人。
   またその曲(《1》は一曲、《2》は二曲、《3》は五曲)
 人は義経(牛若丸)
 曲は《1》屋島』、《2》正尊』・『摂待
    《3》安宅』・『烏帽子折』・『鞍馬天狗』・『橋弁慶』・『船弁慶

(28)上記以外で、同一人物なのに曲によって《1》シテ《2》ワキと役が代わる人。
   またその曲(《1》は二曲、《2》は三曲)
 人は弁慶
 曲は《1》安宅』・『橋弁慶』、《2》正尊』・『摂待』・『船弁慶

(29)前シテの中入りまで地謡のない曲(二曲)
 『草子洗小町』・『三井寺

(30)シテの謡の最後がクセのアゲハになっている曲(一曲)
 女郎花

(31)僧ワキ・山伏ワキは多くの曲に出てきますが、
   逆にシテが僧または山伏の姿で出てくる曲(僧が二曲、山伏が五曲)
 僧:熊坂』・『土蜘蛛  山伏:安宅』・『鞍馬天狗』・『車僧』・『善界』・『大会
 もっとも、『安宅』は偽者ですが。

(32)シテ・ワキが親子の間柄の曲(二曲)
 『花月』・『弱法師
 いずれもワキが親です。


(33)一曲の中に「カングリ」が二度ある曲(五曲)
 『淡路』・『白楽天』・『弓八幡』・『花筐』・『須磨源氏

(34)シテが「カングリ」を謡う曲(一曲)
 『老松
 しかもここだけ「拍不合」です。


(35)一曲の中でシテの〈語り〉が二度ある曲(二曲)
 『采女』『頼政
 『采女』は前シテで二回、『頼政』は前後一回ずつあります。

(36)ちょっと出題法を変えて、
   『鵜飼』・『天鼓』・『朝長』・『藤戸』・『船弁慶』以上五曲の共通点は?
 前シテと後シテが別人格であること。

(37)ワキが夢を見るのは常道ですが、シテが夢を見る曲(二曲)
 邯鄲』・『盛久
 『邯鄲』は有名ですが、『盛久』の夢は生死の転機になりました。


(38)シテが中入りせず、ワキが中入りする曲(一曲)
 『俊寛

(39)シテもワキも中入りする曲(七曲)
 『大江山』・『』・『小鍛冶』・『草子洗小町』・『谷行』・『張良』・『土蜘蛛

(40)三ツユリを二字で謡うところのある曲(二曲)
   また、その部分は?
 『班女』:シテ「あらうらめしの人ごゝろや」の〈ろや〉
 『玉鬘』:シテ「黒髪の」の〈みの〉


(41)「宿借り」をするのはワキの専売特許、しかしシテからワキに「泊まれ」とさそう曲(六曲)
 『葛城』・『杜若』・『熊坂』・『山姥』・『木賊』・『朝長

(42)ワキがシテに宿を貸してくれと頼んでいるのに、「そのへんで寝ろ!」と言う曲(二曲)
 忠度』・『

(43)「りんりんりんりん」は『松虫』にありますが、
   「ののの」がある曲、「こここ」がある曲(前者二曲、後者一曲)
 「ののの」:松虫』サシ「春の山辺や秋の野の
        『二人静』ツレ「世を秋の野の花尽し」

 「こここ」:東北』キリ「此処こそ花のうてなに」

(44)ワキがシテに(名を)「名のり候へ」と、五回も促す曲(一曲)
 実盛
 あとで、後シテが〈語り〉で「名のれ名のれと責むれども終に名のらず」と言っている事と符合するのです。
 作者世阿弥の心憎い書き振りです!

(45)シテがワキに「はづかし…」を六回も言う曲(一曲)
 源氏供養

(46)ややこしい文句…
  《1》『班女』に出てくる文句ですが、「うたてやな」ですか「うたてなや」ですか?
    また「うつつやな」ですか、「うつつなや」ですか?
    「うたてやな」「うつつなや」が正しい。無本でやるプロは絶対正しく謡うのでしょうが、我々はね…

  《2》『蝉丸』に出てくる「思はざりにし藁屋の…」ですか「思はざりしに藁屋の…」ですか?
    「思はざりしに藁屋の…」が正しい。

  《3》『朝長』に出てくる「思はざりにし。弓馬の騒ぎ」ですか「思はざりしに。弓馬の騒ぎ」ですか?
    「思はざりにし。弓馬の騒ぎ」が正しい。

(47)『雲林院』クセの「かの遍昭が」のように、
   ヨワ吟で下音から急に上音に上がる節(遍昭バリといいます)がある曲(『雲林院』以外に四曲)
 江口』〜キリ「ありがたくぞ覚ゆる」
 『東北』〜キリ「…室に入ると見えし夢は…」
 『杜若』〜地次第「(返シ)はるばる来ぬる唐ころも」
 『桜川』〜地次第「(返シ)散ればぞ波も…」


(48)『海士』のシテは子の為に命をかけて玉を取り返したのですが、
   その玉は最後の最後でどうなったでしょうか?
 曲の最後は「この孝養と。うけたまはる」〜「玉わる」〜割れてしまったのです!

(49)泣くシテは『熊野』『松風』をはじめゴマンといますが、
   逆に笑うシテは何という曲の誰でしょう。(二曲)
 『景清』の景清…「〜笑ひて左右へ退きにける〜」
 『三笑』の慧遠禅師…「〜手を打ち笑って〜」
 の二人だけです。


(50)現今プロが『船弁慶』を演じるとして、その演能各流儀の組み合わせで、
   少なくも何通りの演能になるでしょうか?
 シテ方五流〈観世・金春・宝生・金剛・喜多〉
 ワキ方三流〈高安・福王・宝生〉
 笛方三流〈一噌・森田・藤田〉
 小鼓方四流〈幸・幸清・大倉・観世〉
 大鼓方五流〈葛野・高安・石井・大倉・観世〉
 太鼓方二流〈観世・金春〉
 狂言方二流〈大蔵・和泉〉
 これらすべての流儀の積、すなわち5×3×3×4×5×2×2=3600通りになります。
 したがってこれら全ての異なった『船弁慶』を一人の人が全部観ることは、絶対に不可能なのであります。
 『船弁慶』は見飽きた、などゝどのツラさげて言えましょうか?

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