第二回 乳酸を考える3つのキーワード〜「糖」「酸」「酸化」
今回から数回にわたって「乳酸」について考えていきたいと思います。運動をするにあたって忘れてはならない乳酸。単なる「疲労物質」という観点からさらに一歩すすんで考えてみます。
まずは乳酸を考えるキーワードである「糖」「酸」「酸化」について・・・
@運動のエネルギーとして脂肪ではなく「糖」が使われている
A「酸」ができていることでもある
B「酸化」してエネルギー源として利用できるものができている
ということです。
(1)、糖が使われている
運動をする=エネルギーを使っているということはわかると思います。普通、糖または脂肪の分解によってエネルギーが生み出されるのですが糖だけまたは脂肪だけですべてのエネルギーが作られているというのではなく、糖と脂肪が共に使われています。そして糖からエネルギーが得られる課程で乳酸ができるのです。乳酸が多くできるということは、糖が多く分解されているということであり脂肪の分解が少なくなっているということです。
(2)、酸ができる
乳酸は強度の高い運動をした時に多く作られます。乳酸は文字通り「酸」です。乳酸がたまると乳酸の作られた筋肉を中心に体内は酸性になります。酸性になる影響とは??実際酸性になるといってもpH6.5くらいになる程度なのですが、これでもエネルギーを作る反応は進みにくくなります。また運動は、神経からの信号が来て筋肉が動いて可能になるわけですが、酸性になると神経からの信号が伝わり方が悪くなるようです
(3)、酸化のエネルギー源となる
「乳酸が多く作られると筋の内部が酸性になる」ということから乳酸は疲労物質であるといわれることがあります。乳酸は確かに酸で溜まると体内を酸性化させます。一方体には乳酸の酸を中和する働きが多くあり、多くの乳酸はすぐ中和されて塩(えん)に変化します。酸としての乳酸には疲労の元凶と見れるが塩となった乳酸はミトコンドリアで酸化されてエネルギー源としてもう一度利用されることができるのです。
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つまり乳酸は糖が利用される課程で出来て、脂肪などと同じように酸化されることによってエネルギー源として利用できます。しかも脂肪を酸化するよりもずっと手間もかかりません。「糖からできた乳酸は、その経路を一部戻ることによって酸化経路に入り、エネルギー源として使える」といった理解が必要になってきます。
■競技力を高めるために乳酸をどうとらえるか??
サッカーにおいては実際にボールにふれていたり近くでダッシュしたりする時と、遠くでゆっくり走りポジションを整え戦況を分析している時の繰り返しでしめられています。
乳酸の視点で考えると運動強度の高い動き、例えばダッシュするときは乳酸ができ、強度の低い動きであるジョグしているときにはエネルギー源として乳酸が使われています。
前半においては乳酸がダッシュなどで作られる量の方がジョグで使われるよりも多く、血中乳酸濃度が上がります。サッカーはマラソンよりもかなり高い濃度になります。後半にはダッシュしようとしてもダッシュできなくなります。後半の疲労には乳酸ができること、またそれによって糖がなくなるということ、相手とのあたりで筋力や柔軟性が低下するといった事などが影響します。ダッシュできなくなると血中乳酸濃度は前半よりも低くなります。
まとめると前半では乳酸がつくられてそれによる苦しさや疲労感がでます。後半においては乳酸はあまり出ませんが、糖がなくなってくることで疲労感がでます。こうしたことからダッシュ後には体内の状況をいち早く回復させる必要があります。
正直なところ理屈をいくらいったろころで試合に勝てるわけではありません。ギリギリの勝敗を決めるのは練習で培われてきた自分自身に対する自信や意識、戦術ですがこうした理論を知らないでいいというわけではありません。トップの選手はみな理にかなったことをしています。理にかなっていないことを多くしている選手にはやはり成功はないのです。そう思って読んで見て下さい