神様の伝言
そうしているうちに、僕はいつの間にか眠ってしまっていたらしい。
目を覚ましたとき、僕の部屋の中に一人の見慣れぬ少女が立っていた。悪魔のように黒い服を着ていた。
少女は僕が目を覚ましたのを見て、口を開いた。
「お迎えに来ました」
僕はぽかんとするしかなかった。じゃあ、この娘が神?てゆうか、やっぱり本当に滅ぶんですね、世界。
「あああ・・・死ぬのか」
こんなことなら、やっぱりやりたいことをやって、自分なりのかっこいい死に方をしておけばよかった。
そう思って沈む僕の顔を、少女が不思議そうに首をかしげて覗き込んだ。
「何を言ってるんですか?あなたは死にはしませんよ」
「え?」
「だって、あなたは次の世界の神になるのですから」
彼女の言っていることがまったく理解できず、僕はぽかんと口を開けた。
「・・・・・それって、どういうこと?」
「世界が終わる時には、同時に次の世界が始まります。そして前の世界で最後まで生きていた生き物が、次の世界の神になるんです。それが世界の摂理です」
「じゃあ、僕も神になれるの?」
「ええ。しかし残念です」
少女は悲しそうな顔をした。
「この星の皆さんは、私達がお迎えに来たときにはすでにほとんどの方が亡くなっていました」
「死んだ人は、神にはなれないの?」
「ええ、そうです。一度死んだ命は蘇ることはありません。死んで、そこで終わりです」
じゃあ、あの伝言の「最後の時間を楽しんでください」というのは、この世界での最後の生活を楽しんでくださいということだったのか。そのあとには、次の世界の神という暮らしが待っていたんだ。
「では、そろそろ参りましょう」
少女は僕の手を引いた。
「次の世界まで案内します。私の役目はそこで終わりです。あなた達は頑張って、どうかいい世界を作って下さいね」
僕は尋ねた。
「ねえ、神様って、具体的にどんなことをするの?」
「基本的にやりたい放題ですよ。最初は色々試してみるといいでしょう。コツとかは、道中でお教えします」
僕は少女に手を引かれ、アパートを出て、地球を出て、世界を飛び出していった。
「・・・・あーあ」
やっぱり、僕の信念は正しかった。「信じるものは救われない」。
信じなくて、よかった。