神戸大学山岳部 99" 夏合宿

【メンバー】
 橋本 拓(CL.2) 小宮 勇介(SL.4) 明石 直子(3) 矢崎 雅則(1) 藤原 功充(1) 大西 良一(1)

【日程】
 1999.7.27~8.3

【主な行程】
 7/27 入山
 室堂~別山乗越~剣沢~真砂沢BC(定着)

 7/28,29 雪練(2日)

 7/30 源次郎尾根
 BC~源次郎尾根~剣岳~長次郎谷~BC(チンネ隊は長次郎谷上部でビバーク)

 7/31 八ツ峰上半チンネ左稜線
 【八ツ峰】BC~長次郎谷~VI・VIIのコル~八ツ峰~クレオパトラニードル~VII・VIIIのコル~長次郎谷~BC
 【チンネ】ビバーク地~池の谷乗越~池の谷ガリ~三の窓~チンネ~VII・VIIIのコル(合流)

 8/1 本峰北壁L2仙人池
 【本峰北壁】BC~長次郎谷~本峰北壁L2~剣岳~長次郎谷~BC
 【仙人池】 BC~平の池~仙人池~BC

 8/2 下山
 BC~剣沢~別山乗越~室堂

7/27
室堂(9:00) - 別山乗越(12:30-13:00) - 真砂沢BC (15:30)

前日の昼過ぎ18切符で神戸を出る。咳がひどく風邪気味の矢崎さんは2,3日遅れて入山のこと。明石は夜行バスで直接室堂で合流する予定。富山地鉄の最終に乗り立山まで行き駅寝。星がきれいに見える夜で,藤原と2人外の芝生で寝る。小宮と大西は駅のひさしの下で寝ていた。 始発のケーブルカー,バスを乗り継いで室堂へ。室堂では明石が先に着いており,ぼちぼち準備して出発。天気は快晴だ。荷物が重いせいもあり,雷鳥沢までも意外と長く感じる。藤原,大西は35kgの荷物を背負ってよく歩く。小宮だけが荷物が小さい。室堂で測った時は26,7kgとのこと。シュラフやいらない物は持たず,必要最小限のものしか持ってきていないらしいが,何か必要なものまで置いてきているんじゃないかと思うくらいザックが小さい。明石は重さの割にザックが大きく,メンバーのなかで一番重い荷物を背負っているように見える。すれ違う人に「あのこ女の子…だよね」と聞かれること2,3回 (もっと多かったかも) 。「一応」とだけ答えておく。
 雷鳥坂は相変わらずだらだらと長い。昨年と違い天気がいいので振り返り景色を眺めながら登る。雷鳥坂の途中で7/30の藤原の誕生日が話題になり,誕生日のプレゼントを後から来る矢崎さんに持ってきてもらう,ということになり,誰かが行った「スイカ」で全員賛成。藤原の携帯電話で矢崎さんに電話。時代は変わったものだ。
 別山乗越の小屋では「北陸ビール(生)」を目の前で売っており,思わずつられそうになるがぐっと我慢する。乗越から見る剣岳は雪に覆われた5月の時より小さく心持ち頼りなく見える。
 ゆっくり休んで剣沢へ。駐在所に計画書を出して雪の状態は例年並との話を聞く。剣沢からすぐ雪渓に入り快適な歩行で真砂沢へ。途中から見た平蔵谷,長次郎谷は上部まで雪でびっしりだった。みんなよく歩き,ほぼ予定道りBCに着いた。

7/28
起床(5:00) - BC発(6:15) - 雪練(熊の岩付近8:30~12:30) - 真砂沢BC (15:30)

 天気はよい。快調なペースで長次郎谷を上り雪練のできそうな適当な場所を探す。熊の岩直下の右股と左股の出会いのすぐ左側にある枝沢状の雪渓が斜度がありよさそうなので雪練場にする。1日目は歩行,ストップ,スタカットのそれぞれの形を覚えることを目標に3時間少し練習する。大西も藤原も5月の立山で雪の上を歩いたことがあり,割としっかりした足取りでキックステップができているように見えた。スタカットの練習を始めてまもなく霧状の雨が降り出したので練習はそこまでにしてBCに帰る。下りは大西,藤原とも本番さながらの緊急停止の練習をしながら,(まさしく本番だったという話もあるが…)今日の雪練の成果を見せていた。

7/29
起床(5:00) - BC発(6:15) - 雪練(源次郎尾根末端の剣沢7:30~10:30) - 真砂沢BC (11:30)

 天気は昨日の午後と同じような感じで時々雨が降りそうだ。長次郎の上部まで行くのをやめ,源次郎尾根末端の剣沢で雪練をする。昨日の雪練では歩行,ストップはよくできていた感じだったので,昨日あまり練習できなかったスタカットを集中的に練習する。基本的な形と止め方を一通りやった後,2人ずつ組になって実際に数ピッチ歩いてみる。1年生は実戦で使うには少々不安があったが,冷たい雨が降ったりやんだりの中10時すぎで打ち切りBCに帰る。
 BCに帰りしばらくテントの中で休んでいるとひょっこり矢崎さんが来た。室堂から3時間半で着いたそうだ。藤原へのおみやげはスイカではなくメロンになっていたがうまそうだ。

7/30 源次郎尾根
起床(4:00) - BC発(5:15) - 源次郎II峰(12:00) - 剣岳(14:30) - 真砂沢BC (19:00)

天気はよい。藤原は腹の調子が悪いそうだ。何か悪いものを食べたのだろうが,ぺミカンはなんだかすっぱいし心当たりはいくつもある。源次郎の尾根ルートに取り付くが上部にルンゼルートへの踏み跡があり,そこからはルンゼルートを行くことにする。ルンゼルートの上部はガラガラとしたぜんぜんしまっていない岩があり,落石が怖い。尾根ルートとの合流点間近で藤原が大きい石を落としてしまう。石は大西のザックに当たり,破片が明石の腕に当たった。意外と時間がかかりII峰には12時に着く。懸垂下降を終えコルに着いたのはタイムリミットぎりぎりの12:30だった。先に進むことにする。本峰頂上で少し長めに休憩をして下りに備える。左股のコルで明日チンネに向かう小宮,明石と別れ長次郎左股を下りはじめる。雪練でやったスタカットを使ってトップ大西,ラスト藤原の順で下る。左股上部は所々クレパスがあり,蛇行しながら下らなければならない。大西の脇について大西の確保を確認し矢崎さんにプルージックで下ってもらう。ラストの藤原が自己確保を外して下りはじめる。蛇行する部分でのトラバースで足を滑らせ,滑落停止の姿勢をとるがクレパスまでの距離が短すぎクレパスの底へ約2~3m落下。ラストの下りはじめの部分でザイルはきいていない。大したけがはなかったが精神的なショックは大きいようだ。
 その後雪渓上を熊の岩までザイルを張りながら下る。熊の岩からはザイル無しで下るが,藤原の足取りは弱々しい。ゆっくり下り,長次郎谷出会いの近くまで来た時には大変暗くなっていた。木南さんが心配して迎えに来てくれていた。
 何とか無事にBCにたどり着くことができ本当にホッとした。藤原には大変な目に合わせてしまい本当に申し訳ない。大西,矢崎さんも途中声をかけ,励ましてくれて本当に助かったと思っている。木南さんにも心配かけてしまいました。
 夜は木南さんの同僚の女の人と木南さんが持ってきてくれた焼肉とビールをご馳走になった。

7/31 八ッ峰上半
起床(4:00) - BC発(6:15) - V・VIIのコル(8:30) - 八ツ峰の頭(12:00) - クレオパトラニードル(14:00) - VII・VIIIのコル(15:00) -真砂沢BC (18:30)

  訳ありで出発が1時間遅れる(編注:木南さんのテントをたたむのに時間がかかった)。木南さん,大西,矢崎さん,橋本の4人で出発。藤原は休養日にする。
 八ツ峰VII峰からはチンネに取りついている小宮,明石が見える。声をかけるとこっちに気づいたようだ。
 VIII峰の下りでのみザイルを使う。八ツ峰の頭で剣本峰に向かう木南さんと別れクレオパトラニードルへ。その頃小宮,明石はチンネを登りきっていた。クレオパトラニードルはいつ来ても気分がいい。
 長次郎への下りVII・VIIIのコルからザイルを使って下る。50メートルの緩い懸垂が終わると雪渓に出る。雪渓上部はそれほど急でもなかったが一応ザイルを3ピッチほどはる。下りは時間がかかってしまった。

8/1 本峰北壁L2
起床(4:00) - BC発(5:30) - 取りつき(8:00) - 頂上(11:30) - 真砂沢BC (12:30)

小宮,明石,藤原は?峰Cフェースを中止し休養日とする。大西も風邪気味で休養日。矢崎さんと2人で本峰北壁へと向かう。
熊の岩を越え,取りつき近くまで行ってみると,雪渓と岩の間が大きく割れている。雪キノコを作って懸垂で雪渓の下に降り岩に取りつく。雪渓の下はなんだか別世界のようで気持ち悪い。支点が少ないと聞いていたが,探してみると結構ある。ハーケンは1つだけ打ってみた。
 1ピッチ目トップ橋本。階段状で問題ない。はっきりしたテラスでピッチ終了。支点もある。2ピッチ目矢崎さん。なかなかビレイ解除の声が聞こえないままザイルがするする伸びていく。資料での2ピッチ分を一気に登ってしまったようだ。途中のルンゼ状の所だけが少し岩がもろいが他はホールドも多く支点もあり難しくはない。3ピッチ目橋本トップ。もう岩登りというよりは岩稜歩きといった感じでピッチ終了。ここからはノーザイルでルンゼ上のところを登っていくと,源次郎の上部のすぐ近くに出てひょっこり頂上についた。頂上でのんびりして一気に下る。長次郎左股はグリセードで滑りきる。BCに着いたのは頂上を出た1時間後だった。なまら早い。

8/2
起床(4:00) - BC発(5:30) - 別山乗越(10:00) - 真砂沢BC (12:00)

 いよいよ夏合宿も最終日。久々に重たいザックを背負って剣沢を上る。天気はすばらしい。剣沢キャンプ場で下山報告をして別山乗越へ。別山乗越で剣岳の見納めをしてそれぞれ好きなペースで室堂へ向かう。
 久々の下界でもきっとジャージはいい匂いを発していたことだろう。途中ハプニングもあったが,全員無事に下山できてよかった。皆お疲れ様でした。(CL橋本 拓)

 99夏合宿
 チンネ左稜線ルート報告       文責 明石

7/30
BC~源次郎尾根~剣岳~長次郎谷上部でビバーク

源次郎尾根から剣本峰へのラウンドの後、小宮4と明石3は明日のチンネ左稜線登攀のため三の窓へ向けて本峰の稜線上をさらに北上することとし、長次郎左俣のコルで他のメンバーと別れる。BCに戻るため雪渓を下る1年生を小宮と明石は上から見送る。大西1が藤原1にスタカットで確保されながら雪渓の切れ目を避けつつ下る。次にプルージックで矢崎1がステップを刻みながら下る.最後に藤原1が下の大西1に確保されながら下り始めた。藤原1が下っていく様子を見ている。突如として姿を見失う。雪渓の裂け目に落ちこんだようだ。おどろいてピッケルをつかみ小宮と明石は下る。藤原1は4―5m落ち体を強く打っていた。1年生3人と橋本2だけで下ることを前から気にしていた小宮は心配になり雪渓を一緒に下ることにする。左俣雪渓を半分程度下ったところの雪渓の裂け目がなくなったところで小宮4は橋本2と19時に無線交信をすることを約束し,途中まで下りてきた明石と上り返す。時刻は4時をすぎていた。この日三の窓まで行く予定だったが,長次郎左股と右股にある岩陰で岩の角を利用しツエルトを張る。19時に無線を開くが応答なし。源次郎尾根を担ぎ上げた水は2人で約5リットルある。なんだかすっぱいキムチ丼と量で勝負の春雨スープ・ワカメスープを食べる。明日は出来る限り早く起きることにする。ラジオの天気予報で明日は晴れ。明日の行動に備えて眠らなければーと思いつつも寒くてなかなか眠れない。

7/31
ビバーク地*池の谷乗越*池の谷ガリー*1・55*三の窓*0・20*取り付き*7・30*チンネの頭 

5時15分にビバーク地を後にする。まだ少し薄暗さが残るが赤さが妙に目立っている。周りの山に朝日の赤が映る。冷たい空気に気の引き締まる思いがする。ビバーク地をあとに浮き石の多い稜線上を更に北上。池の谷乗越からガレたガリーを慎重に下る。しばらく下るとテントが2張りある三の窓のコルが右手に見える。三の窓では東京都庁の男性2人のパーティーが岩登りの準備をしている。話をしてみると左稜線に行くとのこと。しばらく右手に見えるチンネの稜線を眺める。T5を確認し核心のハングを確認。三の窓雪渓を岩に沿ってトラバース気味に下っていく。ハーケンが2,3個打ってある凹角を見つける。「剣岳の岩場」では2ピッチ目にあたるようだ。 1ピッチ目は雪渓の下。朝の出発が遅かったにもかかわらず,今日のチンネ左稜線ルート登攀一番乗りのようだ。

1ピッチ目  明石トップ 
凹角の岩をやや斜めに直上.やたらと支点の打ってある広いテラスに出る.

2ピッチ目  小宮トップ 
テラスから左に大きく回り込んでフェースのバンドを登る.ザイルの流れ悪い.

3ピッチ目 明石トップ 
フェースのバンドを登る.広い上部へ出る直前で明石はフェースの右寄りの浮き石が多くもろいところに行ってしまい,ひやっとする.小宮は左のハイマツのある方へ回りこんで上部へと出た.明石はよくルートを選ぶことを肝に銘じる.

4ピッチ目  小宮トップ 
脆い岩場を右方向に回り込んで日の当たらないピナクルの後ろでピッチを切る.

5ピッチ目  明石トップ 
ピナクルの裏からフェースに走る岩溝を登る.2本の溝がはしっておりどちらでも登れそうだ.はい松のあるリッジにでる.はい松で支点を取り確保する.

6ピッチ目  ノーザイル 
はい松のある平坦なリッジを歩く.前方にそびえる岩壁の真下まで歩く.

7ピッチ目  小宮トップ 
左手にはい松の生えるフェースがある.はい松のある方を登らずに傾斜は緩いが突き上げる感じのする岩のみのフェースを登る.

8ピッチ目  明石トップ 
左手にはい松混じりのフェースを見ながら,さらに岩のみのフェース凹角をのぼる.途中でロープが残り2,3mだという小宮のコールがかかるが,まだ上部テラスにでない.明石は2,3残置ハーケンのある個所で岩角も利用しつつ確保の体勢をなんとか整える.小宮が確保している場所からまっすぐ上へ登ったため,ザイルの流れは良い.

9ピッチ目 小宮トップ 10ピッチ目 明石トップ            
「剣岳の岩場」では1ピッチになっているところを長いため2ピッチに分けることにする.三の窓雪渓を眼下に,切れ立ったピナクルの左側フェースをバンドに忠実に登る.かなり高度感がある.後半はナイフエッジ上を行く.八ツ峰隊の姿が谷を挟んで向こう側に見える.木南OBを含め4人だけなので,藤原1は休養しているのだと考える.昨日のうちに無事BCに着いていて良かった.

11ピッチ目 小宮トップ 
T5から核心.しっかりとした確保支点がある.張り出した手がかりのない壁.小宮は残置ハーケンを利用して中間支点をまめにとって登る.三の窓雪渓寄りにフェースを登り,そのあとトラバースし左へ移るとハングが右にある.ハングは巻くように左からレイバック気味で超える.

12ピッチ目 明石トップ 
クラックからフェースを直上.

13ピッチ目 小宮トップ 
リッジ フェース

14ピッチ目 明石トップ 
ナイフエッジ.眼下の雪渓と谷がいやでも目に飛び込んでくる.岩角に引っかかってザイルの流れが非常に悪い.

15ピッチ目 小宮トップ 
さらにナイフエッジ ロープは横方向に流れていく.あっけなくチンネの頭に着き,長い登攀が終わる.
八ツ峰隊がクレオパトラニードルに登るのを見ながらレーションを食べる。休憩の後,八ツ峰隊より一足先に八ツ峰VII・VIIIのコルへ向かう。コルから9mmザイル2本で懸垂をする。コルから長次郎雪渓に合流するところの雪渓の状態が良くないので八ツ峰隊を待ってザイルを張って下ることにする.

*反省*
・ 軽量化のためスノーバーを持っていかなかったがVII・VIIIのコル直下の雪渓の状態から考えて持って行くべきだった。結局,八ツ峰隊と合流できたからザイルをはることが出来たから良かったものの,計画の段階でVII・VIIIのコルを下降に使うと決めていたのだから雪練の日にあらかじめ偵察にいくべきだった。反省。
・ チンネ左稜線の登攀時間が7時間と長いものとなった。途中水を飲んだり,ルートの確認を取ったりしたことを考慮にいれても予想を越えて時間がかかった。ピッケルや重登山靴,鍋やラジオなど荷物が重くスローペースとなったことが原因のひとつだが,確保の体勢をとるのに多少時間がかかったとも思える。

* 感想*
昨年の夏合宿、天気は快晴で八ツ峰上半の岩稜縦走のあとクレオパトラニードルに登りその頭からチンネ稜線を眺めた。VI峰のCフェースに向けて入江さんと堡塁岩で練習を重ねていたもののそれ程上達していなかった当初,鋭い峰が連なる稜線―いつか登ってみたいとあこがれを込めて眺めた。
昨年Cフェースを共に登り,それ以来私の岩トレの誘いを快く受け入れてくださっていた入江さんはドクターのペーパー執筆で忙しく残念ながら合宿に参加されませんでしたが,今年の夏合宿で小宮君とパーティーを組みチンネ左稜線ルートにのぼる機会に恵まれました。核心では緊張したものの,全体的に堅い岩を気持ち良く登れました。良く晴れた空の青に徐々に近づいていく緊張感ある登攀は,山に登り初めて三年目の私が初めて味わった感覚でした。岩の技術の未熟さをわかりつつもアドバイスを頂き,温かく見送ってくださったOBの方々と北口先生,指導も含め岩の練習に根気よくつきあってくれた小宮君や部員の皆さんに感謝しています。ありがとうございました。

8・1 真砂ー平の池ー仙人池遠足報告   文責 明石
行程:真砂沢―南股―二股 *1・30* 三の窓雪渓―北股―小窓雪渓出会―平の池 *2・15* 平の池―仙人池 *0・40* 仙人池―尾根上―二股 *2・15* 二股―真砂沢BC *0・20*

 VI峰CフェースRCCルートへ小宮4明石3藤原1で行く予定だったが藤原1の体調がすぐれないため休養日となる。
剣の本峰に行く橋本2と矢崎1以外の者は朝食をゆっくりと食べる。黒部ダムに目的地を定めた小宮4は早々に出発する。明石3大西1藤原1は平の池と仙人池に行くことにする。真砂沢BCをあとに南股を流れる川を左手に見ながら二股に向かう。途中の大きな丸い岩で休憩をする。豪快な川の流れに大西1はカメラを向け明石3はしばらくぼーとなる。藤原1は足の調子があまりよくない。太陽の明るさと川の流れ。心地よくなったのか藤原1は岩の上で過ごすこととなり、明石と大西は藤原を残し先へと進む。途中鎖場を通過しつつ川沿いに歩いていくと三の窓雪渓との出会いである二股に着く。三の窓雪渓とチンネを眺める。三の窓雪渓から流れる水はこころなしかおいしい。ここで風邪気味だった大西は引き返すことにする。
ピッケルを手に持ち北股にはいる。雪渓が所々なくなって川になっている。徒渉が3カ所。革靴のなかに水がはいりこみ足が冷たい.真っ黒な口をあける雪渓の裂け目をさけながら緩い傾斜の雪渓をのぼる。右前に急な小窓雪渓が現れ,前方に岩と雪の剣とちがって緑色でおおわれた優しい感じを受ける池平山が見える所で今度は尾根にあがる。急なので木や草をつかみつつ登る。北股を右に見ながら登り続ける。しんどいなーまだまだのぼりやろか・・と思っていると突然、黄色の花が一面に咲く湿原が現れる.驚く。人の気配がなくひっそりと湖面に山をうつしている。こんなところが剣岳の近くにあったなんて。非常にやすらぎを覚えた場所だった。
池ノ平小屋はさらに北の山々がのぞめる静かな小屋だった。仙人山の南側斜面の登山道を歩き仙人池に向かう。仙人池ではたくさんの登山者が休憩していた。仙人池は小窓の王とそれにつらなる岩峰をすっぽり映し出していた。
下りは仙人山から南にのびる急な尾根を降りる。この尾根を登ってくる中高年登山者のパワーに驚かされる。単独らしい重そうな荷を背負う社会人の男の人が,汗をだくだくたらし,あえぎあえぎ登ってくる。せっかくの休みをわざわざしんどいことに費やしている。山へと人間を駆り立てる「引力」のようなものがあるのか。今は学生で時間的に恵まれ,当たり前のように山に登る自分にもいつか「引力」が強力に働く時がくるのかもしれない(こないかもしれない)。自分はこれからどのように山と接していくのだろうか,と考えながら,笹が両側に生える道下っているといつの間にやら三の窓雪渓にかかる橋の前に着いていた。南股を歩き真砂沢BCに3時前に戻る。テントをのぞくと本峰の登攀を終えてかえってきていた橋本と矢崎のほっとした顔があった。黒部ダムに向かっていた小宮はほどなく帰ってきた。藤原1が帰ってきていないので小宮4が心配し始める。明石3は藤原と別れた南股の川沿いの大きな岩まで迎えに行く.時が経つのも忘れ,昼寝と読書に没頭していたようす。それぞれに良い休養日を送れたのでは。

剣沢雪渓,源次郎出合い付近から上部を望む。
入山日の写真です。最高の天気でした。

真砂沢テントサイト直下から剣沢を望む。
雪解け水が足下を流れていきます。

八ツ峰上部から。正面右手は源次郎尾根と本峰北壁で右上のピークが剣の頂上。左は立山。
原画はカラーですが、モノクロにしてみました。

別山乗越しから望む大日岳。バックは日本海。
下山日の写真です。