ヨーロッパツアー 行動記録 - ACKU 神戸大学山岳部

【メンバー】
CL:大滝義郎(医5、関西岳人倶楽部)

【日程】
7月26日~8月31日

目標365ピッチと銘うった今回のヨーロッパだったが、そんなに大きな目標なんか達成できるはずはなかったけれど、十分岩が嫌いになるほど登ることができた。以下に今夏の行動内容を記す。

7月26日

【ペイニュ:シャモニフェース:チケット=6b 8ピッチ 東、前嶋と】
 アルプス一発目のクライミングはここに決める。スラブで傾斜はないのだが10メートルのランナウトなど常識! 慣れていない体にはきつい。

7月31日

【ドリュ:ボナッティピラー=6b A1 23ピッチ 東と】
 クラッシクルートであり、弱点をついたルートであり、登っていても楽しい。初登者のボナッティが単独で開拓したこのルート、現在ではびっくりするほどの残置ピトンの量だが、当然ボルトなどはなく、ルートの美しさ、岩の美しさに感動する1日であり、お勧めのルートである。残念ながら雷のために頂上のマリアさんには触れなかったけど、下から拝ませてもらいました。

8月4日

【モンブラン・デュ・タキュル:ジュルバズッティピラー=6a 31ピッチ 山崎と】
 これもクラッシクルートだ。今夏は猛暑のためバレ・ブランシュはクレバスが大きく開いておりなかなか恐い。31ピッチと長かったが、フリー主体のルートで、岩はすこぶる硬く、セボンな登はんができ、16時には終了。ヨーロッパの岩場の大きさにも慣れてきたという感じだが、このとき感じたこと。やはりスピードがこんな大きなところを登るとき必要だ。そして体力。持つ装備は例年我々がやっている剣合宿ぐらいなのだが、3800メートルを越えた辺りからの酸素の薄さに負けない体力の必要さを痛感した。岩のイメージは、硬いカコウ岩にそれが緑がかった色合いで、まるで剣を登っているようであった。剣の岩場を何倍にもでっかくした硬いところと思ってほしい。当然落石などほとんどない。

8月9~10日

【グランドジョラス:ウォーカーピラー=6a A1 42ピッチ 本田と】
 このルートは今夏は技術的には難しくないが、やっぱりブランドもの。穂高滝谷を5倍くらい悪くした壁と言われていたが、常に落石の恐怖のあるルートであった。おまけにルートを間違えて、北壁初登のカシン・クラックに入りこんでしまった。そのため1日でレビファ・クラックの下までしか行けなかったが、翌日はあの感動的な5メートルの雪壁をフラットソールでこなしてピークへ。ここはもうフランスではなくイタリアであった。そしてさんさんと照りつけるイタリアの太陽。感動的、そして強く生を実感できる一瞬であった。

8月13日

【赤い針峰群シャペル=Ⅴ+ 10ピッチ 前嶋と】
 景色を楽しむためにとこのルートへ向かう。あいにく午後からの悪天は予想されていたが、すばらしいリッジのハイキングという感じ。核心のルートが続いていたので心の緊張がほぐれる気がした。ちなみに赤い針峰群、ルートをはずれると浮き石の巣なので注意!クライミングの後はラック・ブラン~コル・デ・モンテへのハイキング。セボン。

8月19~21日

【ドリュ:フレンチ・ディレティシマ=6c A3 26ピッチ 東と】
 日本から夢こがれていたこのルートへ向かう。しかしこの取付へのボナッティ・クーロアールの懸垂が核心。しかし運がいいのか、我々の下降中他パーティは降りてこずに落石を受けることなく取付へ。初日は6ピッチ東さんリード、私荷物持ってユマール。そしてテラスへ。そしてここから真の垂直のトリップ、3ピッチフィックスする。翌日ユマールして11ピッチ私のリード。A3の4メートルのハングは楽勝でレッド・シールドへ。この間7ピッチ間、残置はほとんどなく、垂直、足を乗せるスタンスも全くない。ナッツ・ハーケン・フレンズを駆使し、気がつくともう日没が待っていた。こんなに脳ミソが真っ白になることはな~い。よくクライミングはマスターベーションだ、という言葉を聞くが、その通り。私自身その間時間の感覚は麻痺していた。東さんはヘッドランプでユマーリング。そして翌日は寒くて足の感覚が無くなる中、東さんリードで肩へ。登ったぞというよりも大きな夢を果たしたんだという漠然たる奇妙な感動。そしてもうクライミングしなくてもいいんだという感覚に、何もする気も起こらず座り込んでしまった。

8月27日

【マルモラダ南壁:ゴーニャルート=Ⅵ+ A1 28ピッチ 本田、谷淵と】
 アルプスも天気が悪くなり、イタリアはドロミテへ移動。クラシックのこの石灰岩のルートへ向かう。ドロミテの中では岩も硬く、すばらしい弱点をついたルート。1000メートルの切り立った南壁も北側はスキー場。もう高さの感覚が麻痺してきている。

8月30~31日

【マルモラダ南壁:アブラカダブラルート=Ⅶ- A? 26ピッチ 本田、谷淵と】
 ヨーロッパ最後のクライミングをかましに行く。しかし10ピッチ近く登っても残置ピトンは3本くらいか。これは降りるのも大変だ、どーもすごい大物に取り付いてしまったと緊張させられる。私のピッチでは3ポイント連続スカイフックで落ちれば20メートル以上・・・。上部のルンゼはぼろぼろで、しゃれなってない。そして斜めのテラスでマジビバーク。雪の降る中、大きなルートを登ったんだという感動よりも(おそらく10登以内であろう)、もう岩を触らなくてもいいんだという逃げ出したい気持ちでいっぱいだった。







以上、196ピッチ/8ルート   平均24.5ピッチ/ルート

【感想】

私自身、今もビッグ・ウォールはもう結構、というぐらいに登れて、ケガもなく、大成功に終わった山行であった。この文を読まれる方に言いたいのだが、大学にいる間、何か夢を持ったらそれに向かってつき進んで欲しいということだ。そしてそれがもしクライミングなら、ヨーロッパならば、何かそれなりのアドバイスができると思うので連絡していただきたい。それからとんがることをやめた人であっても、夏のアルプスはいろいろな人を待っている所です。ぜひ多くの人が行くことを願っています。最後に私自身、いろいろ励ましてくださった皆さん、ありがとうございました。