南ア縦走 行動記録 - ACKU 神戸大学山岳部

【メンバー】
CL・装備:松尾、SL・食料:溝畑

【日程】
9月9日~9月17日

文責:松尾(2)

9月9日(日) アプローチ

電車で甲府駅までアプローチ。松尾、2万5千分の1の地形図の存在を忘れる。石山駅で溝畑と合流し、塩尻で駅そばを食べ甲府駅へ。コンビニで翌日の朝食を買い、吉野家で晩飯を食べ、タクシーで夜叉神峠登山口まで送ってもらい(9800円)ビバーク。道中の南アルプス市内からは富士山の巨大なシルエットが一望できる。夜叉神登山口にいた人からは「南アに熊なんていないよ」と聞き安心する。予定外のテント量を支払い(19時以降だと管理人がいなくなるようだ)、就寝。

9月10日(月) 晴れ
5:00夜叉神峠登山口~5:50夜叉神峠小屋~8:00苺平~9:50薬師岳~11:40地蔵岳~14:50早川尾根小屋

熊が怖いので日の出を待ってから入山。1時間かからずに着く夜叉神峠小屋は週末のみの営業で、白峰三山が一望できる。天気が良く眺めは最高だ。夜叉神峠小屋からは樹林帯の緩い登山道が続く。景色変わらず終わり見えずで精神的にダレる。溝畑は5分おきに「ハーッ、ヒーッ、ウーッ、ヘーッ、アッー!」とよくわからない奇声をあげている。途中の南御室小屋はドコモだと電波が通じるようだ。気づくとコースタイムより2時間早いペースで進んでいたため、当初の予定の鳳凰小屋ではなく早川尾根小屋まで行くことにする。薬師岳の稜線までは樹林帯の急登。稜線に出ると劇的に見晴が良くなり、西に北岳、前方に鳳凰三山と八ヶ岳、後方には富士山を一望できる。鳳凰三山の稜線は、この高度にしては珍しく岩稜帯ではなく砂状であり、巨大な岩がゴロゴロしている。地蔵岳のピークには巨大な石柱が立っていた。ここから早川尾根小屋へ向かうが、溝畑は途中で水が無くなったらしくペースが極端に落ちる。登山道は灌木帯、稜線、ハイマツ帯、ガレ場と目まぐるしく変化する。やっとの思いで小屋に到着し、テントを張る。ラジオの周波数を調べることを忘れていたが、小屋の人によると南アルプスは山梨よりも東京の電波の方が通じるようだ。天気図をとり夕食を食べて就寝するが、夜8時頃に溝畑に起こされる。どうやらテントの周りを熊が徘徊しているようだ。フライを触っては唸り声をあげている。物音をたてることでこちらの存在を示すと、熊は隣りのテントに向かっていった。3張のテントの住人全員が熊の押しつけ合いをしている。この熊は人慣れしてるようで一向に逃げる気配がないため、寝ようにも寝られず、深夜1時頃まで起きていた。

9月11日(火) 晴れ後雨
6:10早川尾根小屋~8:20アサヨ峰~栗沢山~11:30北沢駒仙小屋

昨晩ろくに寝れなかったため起床と出発が大幅に遅れる。この日もアップダウンの繰り返しである。稜線に出ると相変わらず北岳と富士山が美しい。八ヶ岳なんて天空に浮かんでいるようである。栗沢山からは西方の長い樹林帯を下り北沢駒仙小屋に向かう。ここは山小屋は現在工事中だがテント場は使用できる。天気予報もわかり、近くには林道バスが通っているのでエスケープにはもってこいである。行動終了後に雨が降り始めた。

9月12日(水) 晴れ
4:30北沢駒仙小屋~6:00双児山~6:40駒津峰~7:40甲斐駒ヶ岳~仙水峠~10:30北沢駒仙小屋

この日は甲斐駒ヶ岳アタック。長衛荘の東側にある登山道を進む。この道は人通りが少ないようで、いたる所にクモの巣が張ってある。朝露も多く、ズボンが濡れる。傾斜はきつくない。駒津峰からは岩稜直登コースと巻き道に分かれており、我々は前者を進む。エアリアでは点線ルートだが、特に難しい箇所はない。岩登りよりも濡れて滑る岩の方が怖い。ざらついた砂状の斜面を登ると山頂である。北方には鋸岳が見えるが、「ザイル・ヘルメット必須」という看板が立ってある。下りは巻き道を使う。積雪期の一般ルートになっているようだが、雪崩が起きそうで怖い。途中道を外れた所に摩利支天という大きなピークがあるが何がすごいのかよくわからないのでスルー。駒津峰から仙水峠までは急な下り。仙水峠の下りに入ると溝畑が小指の痛みを訴える。彼の7年使った登山靴が限界を迎えているようだ。小屋に到着してからは昼寝や読書で時間をつぶした。

9月13日(木) 晴れ後曇り
4:40北沢駒仙小屋~6:50小仙丈ケ岳~8:00仙丈ケ岳~9:00大仙丈ケ岳~野呂川越~12:50両俣小屋

相変わらず快晴。仙丈ヶ岳へ続く登山道は3本あるが、すべて繋がっている。距離はあるが傾斜は緩いので快適に進める。小仙丈ヶ岳からは美しい仙丈カールが拝める。ペロペロしたい美しさだ。仙丈ケ岳山頂は眺めは良いのだが寒い。中央アルプス、さらには北アルプスまで一望できる。大仙丈ヶ岳までの稜線は岩稜になっていた。大仙丈ケ岳からはハイマツ帯を抜けた後灌木帯を進む。約3時間、景色の変わらない(というか木しか見えない)道を歩き続ける。たまに熊の糞も落ちていた。精神をやられそうだ。横川岳に着いた時は思わず叫んで喜んだ。両俣小屋は横を川が流れていて、さらにゴミを燃やして処理しており、どう考えても熊を呼んでいる。

9月14日(金) 晴れ後一時雨
5:10両俣小屋~6:10野呂川越~8:50三峰岳~10:00熊ノ平小屋

幸い熊は現れなかった。両俣小屋から北岳へ向かうルートは現時点で土砂崩れによって通行止めとなっていたため来た道を戻り返し熊ノ平へ向かう。農鳥岳、間ノ岳が近づいてくるが今日はお預け。熊ノ平小屋では、日本標高トップ100山のうち96山を制覇した女性と出会う。

9月15日(土) 晴れ時々曇り
5:30熊ノ平小屋~7:20北荒川岳~9:10塩見岳~12:20熊ノ平小屋~15:30農鳥小屋

寒すぎて動けないby溝畑という理由で出発を遅らせる。アタック装備なので北荒川岳まではトレランの速度で突っ走る。北荒川岳には旧キャンプ場があったが、水場が無いので使えそうにない。塩見岳までの最初の登りは急登でしかもガレ場なので慎重に登る。途中から緩やかになるが岩稜ややせ尾根の通過もあるので気を抜けない。途中で賞味期限切れのおにぎりを拾った。塩見岳山頂はガスっていたため、北方面は見えなかったが、赤石岳のある南方面や富士山はきれいに見えた。来年はぜひ南方面を縦走したい。熊ノ平小屋まで戻った後はテントを片付けて農鳥小屋に向かう。熊ノ平小屋では、ロープ無しで槍ヶ岳北鎌尾根を登る凄腕の登山家と話をした。農鳥小屋へは三峰岳~間ノ岳間の稜線の下側のトラバース道を進む。途中で農鳥小屋から来た登山者から、「農鳥小屋でさっき熊が出た」「台風の影響で明日の晩から風が強くなる」という嫌な知らせを受ける。農鳥小屋は水場往復30分、トイレは動物園の臭いがする垂れ流し式であまりいい環境では無い。夜になると甲府市の夜景が一望できた。

9月16日(日) 晴れ後曇り
6:20農鳥小屋~7:10間ノ岳~8:00北岳山荘~9:10北岳~11:50農鳥小屋~15:10農鳥岳~大門沢下降点~17:00大門沢小屋

起床後、日の出に心奪われ出発が遅れる。山行中最も風の強い日だった。ここから大門沢下降点までは岩稜が続く。間ノ岳の山頂は広いピーク。ここからは北岳までの稜線を仙丈側から巻くように進む。人が多くかなり時間を取られ、イラついた松尾と溝畑はつい走ってしまった。北岳山荘は穂高岳山荘と遜色ない設備だった。北岳山荘からの登りは鎖場あり、梯子あり、人多しで時間がかかった。正直3000m級の山を登るには相応しくない恰好の人がたくさんいた。北岳山頂で溝畑と健闘を讃えあい記念撮影。途中から溝畑が山頂のtwitter民が放った「北岳に来ただけ。」というネタに異常にハマる。農鳥小屋に戻り、余っていた棒ラーメンを食べ、テントを撤収して出発。農鳥岳~大門沢下降点までは雨天時は滑りそうな所が数か所。大門沢下降点には用途不明な鐘が設置されてある。ここから大門沢小屋までは山渓で紹介されていた超急登を一気に下る。膝へのダメージは尋常でなく、辛かった。大門沢小屋のテント場は既に満員だったため、少し下の河原に無理やりテントを設営する。この時溝畑が腰を痛めてしまった。

9月17日(月) 雨後晴れ
6:00大門沢小屋~7:30登山口~8:30奈良田温泉

最終日になって雨が降りだした。先行パーティを追い抜きながら、下り坂をジェットコースターしながら、たまに転倒しながら走り抜けた。登山口からは舗装道路になり足の裏がやられた。幸い奈良田温泉が開業時間より早くから営業していたため、入浴した後バスと電車を乗り継いで当日中に帰ることができた。