GW山行 大峰・上多古川本谷 報告書

【メンバー】
CL 山川(4)  新入生指導 岩澤(4)  SL/食料 奥山(2)  装備 石丸(1)

【日程】
 5月3日(土)~5日(月)  

文責・山川眞郷

5月3日(土) アプローチ

 上多古川には,3年前6月にも試みたのだが,天候不順で沢に入ることすら叶わなかった.そのことを思い出し,どの滝にも巻き道があり,泳ぎもなく,そして素晴らしい景観をもつこの沢を,今回はGW山行として採用したのである.しかし,それは少し甘かった.
 さて,夜8時に六甲道駅に集合する.特に問題も起きず,余裕を持って出発する.
 大阪で請川(3)と落ち合い,デジタルカメラの防水ケースを受け取る.就活で忙しい中,山岳部の面倒を見てくれてありがとう.請川とは京橋で別れる.一行は天王寺で降り,近鉄阿部野橋へ.まだ回転パネル式の列車案内があり,懐かしく思う.22時20分発の急行に乗り,大和上市へ.
 上市で電車を降りてから,しばらく駅周辺を探索する.寝場所を探しているのだが,なかなか見つからない.そこへ,駅前に停めていたタクシーの運転手が話し掛けてきた.どうやら,明朝我々を担当することになっているらしい.彼は幾つかの寝場所を教えてくれた.我々はその中の一つ,街灯の少ない駐車場を選ぶ.この時間だと車の出入りはまずないらしい.さすが地元の人間は頼りになる.荷を解き,就寝.

5月4日(日)  矢納谷出合手前6:45-茶屋谷出合7:40-幸次郎窟前9:00-煙突ノ滝上11:40-竹林院谷出合13:30-阿古滝上幕営地15:00

 朝5時起床.身辺整理と簡単な食事の後,6時にタクシーで駅を出発する.運転手は話し好きで色々な話題を提供してくれる.特に,ヒルの対処法についてはなかなかためになった.予定していた矢納谷出合の1kmほど手前にゲートが設けられており,そこまでしか入れなかったのであるが,40分7200円と予想以上に安く速かった.
 準備は入渓地点で行うことにして,とりあえず続きの林道を歩き出す.矢納谷は滝を掛けており,付近は明るく拓けているので,その出合は間違えにくい.矢納谷出合からは500mほど登山道を進み,茶屋谷が本谷左岸に出会う地点で入渓する.矢納谷出合から阿古滝を経て,稜線に上がるこの道は阿古滝道と呼ばれているのだが,通行者が殆どなく道は踏み後程度である(赤テープはある).矢納谷出合から阿古滝道は高度を上げ,本谷から離れていくので少々不安になるが,地形図ではそうなっているので構わず進む.
 茶屋谷の出合付近では阿古滝道は本谷に近く付けられているので,うまい具合に本谷降り立つことができる.沢靴に履き替え,ハーネスを装着し遡行を開始する.気温が高いようで寒さは感じない.入渓してすぐはナメ滝などがあり,穏やかである.多古ノ滝は左を巻く.
 双竜ノ滝と洞門ノ滝は近接している.双竜ノ滝は下部が二条になっており,それから双竜という名が付いたらしい.右を巻く.洞門ノ滝は写真一枚には収まり切らぬほど大きい.飛沫(しぶき)を受けながら,左側の緩いリッジ(岩稜)を上がる.すると岩壁にぶち当たるが,右を向くと程良いルンゼ(岩溝)があり,それをよじ登る.落差が大きい分,巻きも長くなり苦労する.
 洞門ノ滝を越すと間もなく幸次郎窟である.奥山はこれをジェラシックパークと呼んだ.要は大きなドーム状のゴルジュである.中は河原状になっているが,右に折れたところにツルツルの12m滝を掛けており,通過は難しい.巻きは右で,急斜面のトラバースがある.泥がぬかるんでいるときは厄介な場所だ.
 続く斜瀑12mは左を巻く.傾斜は緩いがホールドがないので,直登は少し苦労しそうだ.
 再び沢はゴルジュとなり,その中に煙突ノ滝20mを掛ける.紺碧の滝壺を持ち,まさに突破不可能といった感じだ.巻きは左だが,ここが今回の最難所であった.泥のぬかるんだホールドに乏しい急斜面というのが難しい理由なのだが,我々の手際の悪さもまたいっそう突破を難しくさせた.まず,取り付く前に話し合いがあまりなされなかった.そして,ロープを出すのも足場の悪い斜面の途中.さらにはトップを行っていた山川が登りすぎて岩壁で行き詰まる等(資料をよく読め).泥斜面の右側にあるリッジに取り付くと一段落である.資料によるとここから沢床に降りている(懸垂下降?).しかし,絶壁で沢床の様子はわからない.一方,リッジの上には固定ロープがあり,通った跡がある.我々はリッジを上がることにする.このリッジは木の根が豊富にあり進みやすい.リッジを上がると右側が一様な斜面となりトラバースができるようになる.煙突ノ滝上の斜瀑10mもそのまま巻き,沢床に降りる.かなり大きな高巻きであった.
 左から細い滝を掛け,多冶良淵15mが現れる.ここの巻きは幸次郎窟と似ており,右を上がって斜面をトラバースする.多治良淵から竹林院谷出合までは,巨岩帯になる.チョックストーンや突っ張りで越える箇所が多くあり,楽しい.竹林院谷出合から本谷を進むときも巨岩が行く手を阻み,越えるのに苦労する.結局この巨岩帯は阿古滝まで続くことになる.
 阿古滝は水量こそ少ないが,屏風のような大岩壁を左右に拡げいる.資料によると左側に岩壁の裂け目があり,そこを登る.岩の堆積した苔生した斜面であるが,今までの巻き道に比べると遙かに楽である.巻き上がった地点は尾根の上で,一本左の谷に降りられる.それを少し上がると阿古滝道に出会う.阿古滝道を進み,尾根を一つ越えると阿古滝の上に出る.周囲は緩傾斜地で落石,増水の心配もなく,幕営には適した場所である.予定通り,我々はここを今宵の宿と決めた.
 夕食は800g近い量のペミカンが入った美味しいカレーである.このカレーは今回の良かった点の一つであろう.天気予報を聞いて19時就寝.地面が軟らかいので,マットが貧弱でも快適に眠れる.雨が降ったら無理であろう.

5月5日(月) 阿古滝上幕営地5:20-稜線6:10-山上ヶ岳6:50-一本松茶屋8:10-洞川温泉9:30

 朝4時起床.昨日の天気予報は朝から雨と言っていたが今のところ降っていない.最近定着されつつあるメニュー:千切れたラーメンを食べ,5時20分に出発.
 稜線まではひたすら尾根を上がる.ここも踏み後程度で,赤テープを頼りに進む.周囲は霧で視界はあまりない.傾斜が緩み,目の前に木の生えた5mほどの岩が現れると稜線である.尾根の地形が崩れ,少し広くなっているので迷いやすいかもしれない.しかし,西方に小さなピークもあり,地形図での現在地予測は可能であろう.
 稜線は所々開けており,晴れた日は気持ちの良さそうな場所である.また,北斜面には残雪があった.山上ガ岳には幾つかの寺や宿坊があり,登山道でも修験者達とすれ違う.挨拶するとき,彼らは「こんにちは」とは言わず,独特の言い方をする.
 洞川までの道は木の階段などが整備され,歩きやすいが単調でおもしろくはない.山上川に降りると林道になる.3kmほど下れば洞川の温泉街に着く.我々はバス停そばの洞川温泉センターに世話になることにした.10時前に風呂が開くが,すぐさま人で一杯になる.風呂を出てからバス停前のめし屋で食事をし,バスに乗る.このバスもまずまずの混み具合であった.下市口駅でバスを降り,近鉄に乗るが,奥山は奈良を観光しに行くというので,橿原で別れる.3人は六甲道で解散する.