北アルプス横尾尾根 報告書

【メンバー】
矢崎(OB) 近藤(4) 岩澤(3)

【日程】
 5月 3日(木)~5月 4日(金) (前夜発) 

【行程】
  上高地~横尾山荘~横尾尾根~天狗のコル~槍ヶ岳山荘~飛騨沢~槍平~新穂高温泉 

文責・岩澤(3)

5月 2日(水)  
 アプローチ

 20時半、須磨駅前に集ったのは、最近定番となってきたお決まりのメンバーである。いつものように矢崎号に乗り込み、いつものように夜の高速道路を走る。夜12時頃、北アルプスに程近い、とある道の駅にて停車。いつものように車内で仮眠をとる。
         

5月 3日(木) 晴れのち雪 
 10:00上高地 ~12:30横尾山荘 ~14:00 3のガリー取り付き ~17:15 P4にて幕営

 新穂高温泉の無料駐車場に車を駐車し、バスを乗り継いで上高地に向かう。四連休の初日ということもあり、バスは観光客や登山者でいっぱいである。 我々は、大きなザックを抱えて補助席で窮屈な思いを強いられた。ぶひー。
 上高地でバスを降りると、大量の観光客でごった返していた。ここでは、我々の重装備はやや場違いな感じで、なんとなく早く入山したい気分。だが、ここからは二時間半にも及ぶ遊歩道歩きが続く。硬く平坦な道に、早くも足の裏にマメができそうだった。途中、大学山岳部と思しき男女混合のパーティを見かけたとき、女性隊員がいると、こうも雰囲気が違うのかと、軽いカルチャーショックを受ける。
 横尾尾根の姿を確認できる場所があったので、概念把握を行う。下半分(P4辺りまで)しか見えないが、見える範囲では、尾根上に雪は無かった。
 進むうちに、やがてジーパンにスニーカーの観光客は見当たらなくなる。横尾山荘まで来ると、入山準備を整える登山者がいっぱいだ。
 資料によれば横尾尾根には、この時期なら3のガリーから取り付くのが妥当との情報だった。とりあえず3のガリーを目指して、横尾谷を進む。先を行くパーティを次々と追い抜いてゆき、1時間ほどで本谷橋にたどり着く。多くのパーティが休憩していた。ここで一息ついたとき、3のガリーをとっくに素通りしてしまっていたことに気付く。3のガリー取り付きは、本谷橋より500mほど手前(横尾山荘寄り)なのだ。
 やれやれといった感じで、今来た道を引き返す。先ほど追い抜いてきたパーティと、今度はすれ違う形になった。
 3のガリー取り付きと思しき地点にトレースがあった。ここからP4を目指して進んでいく。
 かなり急峻なガリーで、一部では雪が踏み抜けそうなところもあったりと、なかなか怖い。アイゼンを着けておけばよかったと、途中で後悔するが、立ち止まれる場所も無く、キックステップでひたすら登る。ようやく尾根上に出ることができ、ホッと安堵の一息をつく。が、ここからは足場の凍った、急峻なヤブ状の樹林となっており、かなり苦戦して登る。さらに難所が続いていたため、直登は避けて、尾根の南側をトラバースしてゆくことにした。アイゼンをここで装着する。同時に雪がチラホラ舞い始める。
 少し進んで、また別のガリーを登り始める。向かいの岩壁から、1mほどの雪の塊が崩れ落ちるのが見えた。あんなものが直撃したらひとたまりも無いが、足場の雪は締まっていて、気温も下がってきていたので、問題なしとして登ってゆく。ここもかなり長い距離を登る。
 再び尾根に出たところで、トレースを発見。やはりトレースがあると大きな安心感がわいてくる。ここからは、割と平易でなだらかな雪稜となっていた。
 P4手前の小さなコルで幕営。夕食は、ペミカンをたっぷり使った豚汁だ。体が温まる。今宵は満月なので明るい。
 夜中には雷が鳴っていて恐ろしげだった。
         

5月 4日(金) 晴れ時々曇り 
 5:15幕営地~6:40横尾の歯~8:30天狗のコル~10:00中岳~11:30槍ヶ岳山荘12:00発~13:00槍平~15:30白出沢~17:00新穂高温泉駐車場

 朝食のうどんを食べてテントを撤収。雪は締まっていて、アイゼンがよく利く。特に難所も無く、森林限界を越えてサクサク進んでゆく。
 P5付近にテントが一張りあり、出発準備の最中のようだった。朝の挨拶を交わして、横を通り過ぎる。さらに進むと、テントを撤収した跡がある。もう1パーティ先行しているようだ。追いつけ追い越せとばかりに突き進む。そして、横尾の歯と呼ばれる、両側の切れ落ちたナイフリッジにて、スタカットを行う3人のパーティに追いついた。
 ここで我々もロープを出し、スタカットの準備をして順番を待つ。またこのとき、ペースの上がらない岩澤の共同装備の一部を近藤が持つ。毎度のことのようになってしまった。
 ふとやり沢方面を見下ろすと、なにやら、小さな点が大量に連なって動いていた。よく見ると、槍ヶ岳に向かう登山者の行列である。まるでアリの行列のごとし。
 トップは矢崎さん。近藤はプルージックでミドル。岩澤がラストで進む。途中で一回ピッチを切って、今度は逆の順番で登る。50mロープで2ピッチであった。ここは、落ちた場合の危険度は高いものの、それほど著しい難所というわけではなく、むしろ前日のガリーからP4までの道のりのほうが、体力・技術的には厳しかった。
 このあとは特に危険箇所も無く、天狗のコルを過ぎると、ひたすら体力勝負の登りとなる。先ほどの先行パーティも追い抜く。南岳と中岳をつなぐ稜線にでると、強風が吹き荒れていた。
 中岳を経て、飛騨乗越までくると、多くの登山者を見かけるようになる。槍の肩の槍ヶ岳山荘に着くと、多くの人々で賑わっていた。天気がよく、槍の穂には、山頂へアタックする人々が大行列を成している。行列は、ほとんど動いていないように見える。あれでは、1時間は風に吹きっさらしだろう。山にまで来て、人の列に並ぶのは御免だとばかりに、我々は槍の穂には登らず、写真だけとって下山することにした。もともと槍ヶ岳自体が目的ではないので、特に未練もない。
 飛騨沢を高速で下る。標高が下がるにつれて、雪がゆるく、足が沈むようになってくるので、少々わずらわしい。矢崎さんと近藤は、アイゼンを外した。そして、あっという間に槍平に到着した。
 小休止した後、滝谷避難小屋の脇を通過し、なおも高速で右俣谷を下る。途中で夏道に上がろうとしたのだが、よく分からず、数分藪の中をさまよう。白出沢との出合いまでは、無理に夏道にあがらず、沢沿いに下ったほうが良かったようだ。
 何はともあれ、白出小屋からは右俣林道を高速で下る。穂高平避難小屋の近くで、矢崎さんはショートカットのルートに入るが、近藤、岩澤はその姿を見失い、林道沿いに遠回りする。5分くらい差が出たようだ。
 長い林道歩きにも終わりが来る。新穂高温泉の駐車場に着いたときには、体はクタクタであった。
 お楽しみの温泉にワクワク気分で向かうが、なんと、入湯可能なのは16:30までとのこと。大きなショックである。仕方なく、近くの旅館の立ち寄り湯を利用した。
 夜は駐車場にテントを張る。4日間を予定していた行程を2日間で消化してしまったので、たくさんの食糧が余っていた。ビールを飲みながら、余った食糧を食いつぶし、眠りに就いた。
 翌朝、早くに駐車場を車で発ち、帰路に就いた。
         

反省会記録
        

 個々人の体力を考慮し共同装備分けをする
 取りつきが不明瞭の場合のルートファインディング
 計画と結果があうようにする