夏分散Ⅰ 朝日連峰(沢&縦走)  報告書

【メンバー】
 L/装備 山川眞郷(2) 食料 岩澤貴士(2) 小宮勇介(OB)

【日程】
 8月18(金)~20日(日)  

【行程】
 角楢小屋-二俣-稜線-大玉山手前の水場分岐-大玉山-平岩山-大朝日岳-小朝日岳巻道分岐-三沢清水-日暮沢小屋

文責・山川(2)

8/ 18(金)
11:15山行開始  12:00角楢小屋着  12:50遡行開始  13:50二俣

 夏合宿が全日程晴れに終わったので、予定が繰り下がることになった。天気の崩れが懸念されていたが、新潟で確認したところ、たいしたことはないようだ。
  米坂線小国駅からタクシーで針生平(はんなりだいら)までアプローチをする。タクシーを降りると虫達が出迎えてくれる。彼等は攻撃的で、仲良く出来そうにない。
  長袖に着替えて角楢小屋へ向かって歩き始めるが、暑い。沢の水は緑がかっていて涼しそうだ。途中で沢を三度渡るが、掛かっている吊り橋がどんどん貧相になっていく。最後の吊り橋などは、ワイヤーに腕の細さ程の木を通しただけの質素なものである。
  角楢小屋はなかなか丈夫な作りの小屋である。装備を調え昼食後、入渓する。水は思ったよりも温い。出合は河原状だが、すぐに両岸が苔生した壁になり狭まってくる。沢床自体は河原状のままなので、問題なく進める。少し開けると右岸に大きな山抜けの跡が見えるが、やはりすぐに壁が狭まってくる。
  途中に突っ張りで越える滝が出てくるが、幅が狭いので容易い。出合から1時間も経たないうちに二俣らしきところに着くが、資料にあるような幕営適地が見つからない。と言うか、今までと渓相に変化がない。両岸は例の壁が迫っている。取り敢えず荷物を置いて右俣を偵察する。ナメ滝と2段20m滝があるのでどうやら正しいようだ。左俣はゴルジュになっていて、この点も遡行図と合致している。
  このまま登り切ってしまいたい感もあったが、偵察を終えた時点で14:30だったので、二俣付近で幕営可能な場所を探し始める。幸い二俣(左俣)の右岸側を20m程登ると、大地状になっており何とかテントが張れそうだ。
  テントを張り、荷物を乾かし始めるが辺りは湿っていて乾きそうにない。虫達も態度を変えることはないので、テントの中に入る。テントは2~3人用で、小宮さんが持ってきてくれたものだが、出入り口が1つなので3人入れば蒸し風呂状態。汗ダラダラ。外に出ると虫達が襲ってくる。因みにこの虫達には薬品系は効かないようである。防虫ネット等で物理的に防ぐ他ない。
  食事と天気図を取って横になる。こうしているとあまり暑くはない。因みに、夜になると虫達はいなくなる。
  明日は晴れそうである。18:00就寝。

8/ 19(土)
4:00起床  5:15出発  10:00稜線  12:00大玉山手前の水場分岐

 朝食をそそくさと済ませ、準備に掛かる。朝方も陽が出ないうちは虫達も少ない。
  二俣まで降り、右俣に入る。昨日も通っているが、2段20m滝までは平凡である。2段20m滝は垂直に近く、ホールドにも乏しそうだ。相手にいない方がよかろう。右岸を少し戻り巻き始める。
  ここで、雪国の植生が行く手を阻む。この山域の木々は、雪の重みで幹が水平に生えているのである。掴みにくいし越えにくい。しかも両岸の傾斜は急。岩々しているわけではないが、藪がなかなか酷い。取り敢えずは落ち口から来ている小尾根を目指す。小尾根に出ると藪は和らぎ、沢床へ降りる道は自然と見出された。
  巻き終えると、資料にあった「井戸の底のようなゴルジュ帯」に出会う。ツルツルのうねった側壁には苔がびっしりと着いている。今までにない地形である。ゴルジュ自体は滝を擁しているわけではないので、歩いて通過できる。
  次に幅3m、深さ2m程の釜を持った樋状の滝が現れる。しかし、釜の側壁は高くはないものの微妙に被り気味。瓶の中にいるような感じである。泳いで取り付くことにする。滝自体は突っ張りで越えられるが、滑りやすいので注意。
  次に、逆ノ字状の10m滝が現れるが、これは直登。次々に滝を越えていくが、基本的にはナメ滝か狭まった樋状の滝である。落差の大きいものはない。
  途中のナメ滝にウォーターポットが空いていた。深さは2m程だろうか? 入ってみたくなったが、濡れると重くなるので止めた。標高が上がるにつれて、ナメ滝の傾斜が増してくる。側壁をヘツリながら、微妙なバランスで登っていく。滑ったら50mくらい下まで落ちるので、ロープを出しても良かったかも知れない。
  だんだんと日が照ってきて、景色は緑と青の対比が美しい。そろそろ源頭部か。源頭部は草付きが急で、疎らに生えた灌木を頼りに上がっていく。沢床を進んでも良かったが、脆い滝が多いので止めた。稜線の登山道は見えているのだが、沢床から離れてしまったので、なかなか近づけない。尾根を直上すると針生平からの登山道と出会う。これを祝瓶山の方に行くとすぐに分岐である。10時ちょうどに着いたが、コースタイムより30分程早かったようである。疲れました。
  装備を整え一休みする。岩澤は祝瓶山を登に行った。小宮さんは祝瓶山の絵を描いている。
  岩澤が帰ってきたので、縦走を開始する。日が照って暑い。稜線を下りつつ1時間程行くと、大玉山との鞍部に着く。ここには水場への分岐があるので、荷物を置いて水を取りに行く。5分程で着く。水はチョロチョロではあるが、何とか出ている。沢の源頭部といった感じなので、出ていなければもう少し下ればよい。
  3人合わせて6リットル程だったので、今日はここで打ち切りにすることにした。因みに次の水場まではもう3時間くらいある。今日は怠いので止そう。明日は、今日の分を考え少しルートを短縮し、小朝日岳経由で下ろう。
  当然ながら登山道は誰も通らない。道いっぱいに装備を干しながらまったりと過ごす。虫達は稜線になると種類が変わるようで、アブやブユはいなくなるのだ。彼等は風通しのない河原に多いと聞く。
  4時の天気図を取り、水をもう一度汲みに行き、夕食にする。今日は昨日と違って、湿気が少ないので少しはマシに眠れそうだ。

8/ 20(日)
2:00起床  3:15出発  4:15大玉山  6:30平岩山  7:50大朝日岳  8:55小朝日岳巻道分岐  9:55三沢清水  11:50日暮沢小屋

 昨日は予定では大玉山を越えることになっていたので、少し早めに出る。暗い樹林帯をヘッドランプで照らしながら歩く。岩澤が足(膝?) に痛みを訴えているようで、少しペースを落としながら進む。
  暗いが蒸し暑い樹林帯を1時間程登ると大玉山である。稜線も風はあまりないので、涼しくはない。大玉山からの下りは、登山道に草が繁茂しており、滑りやすい。このころになると小さな羽虫が現れ始め、なかなか大変である。さらに1時間程行くと北大玉山に着く。ここは荒川(角楢小屋方面)に降りる登山道との分岐である。ここを過ぎると登山道は大分歩きやすくなる。
  森林限界を超えると少しずつガレ道になってくる。平岩山には6:30に着く。大分速いペースで来ている。このまま行けば見附の最終バスに間に合うかも? 2人にそのことを告げ、了解を得る。
  大朝日岳について初めて人に会う。さらに小朝日岳への稜線にはいると、結構な人数である。アプローチの比較的マシな北側は割と入られているようである。
  小朝日岳の分岐で水が尽きる。かなり飛ばしているから消耗も早いようだ。沢に降りるまでもつだろうか? 途中2カ所水場への分岐があったのだが、面倒なので無視していたのだ。
  巻道はピークを巻くものだが、意外とアップダウンがある。20分程で小朝日岳からの道と合流する。
  さらに樹林帯の中を30分程下ると、エアリアにはない水場に出会う。「三沢清水」と書いてある。助かった!
  少し疲れてきたが、小走りで下る。途中でハナヌキ峰という小ピークを越え、1km程なだらかな尾根道を行くと、沢へ一気に下り始める。
  沢への下りは30分程で、意外にも早く着く。後は沢沿いの道を進み、枝沢を2本ほど渡ると林道に出る。この沢沿いの道は少し狭い箇所もあるので、最後ながら気を抜けない。
  日暮沢小屋には12時前に着く。バスは3時過ぎだから何とか間に合いそうだ。大した休憩も取らず、歩き始める。
沢沿いに降りたことで、虫達が寄ってきた。1.5cm程の赤眼で緑色の蠅のような虫が噛みついてくる。結構しつこい。
  小屋から40分程でダムを越えるが、その先で後から車で来た竜門小屋の親父さんに乗せてもらう。ラッキー。途中の大井沢という集落にある公衆浴場に浸かって帰る。家が山形に近いらしいので、山形駅まで送ってもらうことにした。ありがとうございます。
  公衆浴場には親父さんがエベレストに登ったという写真が掲げてあった。今年(2006年)の5月だそうだ。山形まではその時の体験談を聞かせてもらった。神戸大のルオニイの話も出た。
  山形には3時には着いただろうか。親父さんに礼を言って別れる。駅に荷物を残置し、辺りを彷徨き始める。山形は前にも来たことあるが、県庁という割にあまり利便性は良くない。店がないのである。その点では歴史のある鶴岡や酒田の方が良いかも知れない。駅前通りにある松屋に入って打ち上げをする。安く済んでよろしい。
  その後は各自別れて辺りを彷徨。5時には岩澤が今日中に埼玉まで帰れるとのことで離脱する。山川は8時に仙山線で仙台へ。小宮さんは長野経由で帰るらしく、今夜は山形に泊まるそうだ。
  何だかんだで、面白かった。また来たいと思わせてくれた山行でした。お疲れ様。

反省会記録
        

 ・まず、テントは不要であった。ツェルトで必要十分であったであろう。ただし、その時は虫達に絡まれることになるので、防虫対策にも穴があったと言える。
  ・雪による植生の違いで高巻きが困難になる。
  ・ガイドブック等の資料は当てにならない場合がある。今回は、二俣にビバーク適地があるとの記述があったが、実際には見つからなかった。30分程辺りをウロウロしてもなかったのだから、あの「二俣」が一応の適地なのだろう。ネットでも幾つか見てみたが、角楢小屋を起点に1日で抜けているものばかりだったので、これに関する記述は見つからなかった。以後はもっと深く調べていく必要があろう。
  ・最後のナメ滝(急なスラブ帯)と草付きが厄介である。両者共にルートファインディングをしっかりしていかないと、進退窮まりそうである。
  ・天気は安定しており、水量も思っていた程ではなかったので、総じて我々の守備範囲に収まっていたと思う。