夏合宿 真砂沢 報告書

【メンバー】
 CL尾崎(5) SL近藤(2) 伊藤(2) 食料・岩沢(1) 装備・山川(1)

【日程】
 2005年8月 6日~ 15日

【行程】
 真砂沢周辺

文責・部員一同

8/6アプローチ 晴れ時々雨

 今日ついに5人の男たちが旅立った。旅立ち当初から天気が不安だったが、予想通り旅が進むにつれ天候が悪くなっていった。毎度のことなのだが我々の行く手には常に悪天が付きまとう。そんなこんなで一行は富山に着いた。

8月7日 晴れ 入山
 室堂(8:20)ー別山乗越(11:00)-剣沢キャンプ場(11:40)-真砂沢ロッジBC(14:00)

  立山駅で起床。それぞれ準備をし、ケーブルに乗る直前になって伊藤のザックのバックルが割れているのに気づく。駅の売店でウエ ストポーチを買い、そのバックルを取り付け、難を逃れる。バスに乗り、例の香りが漂ってくると室堂である。私たちと別の予定の田 中さんは先に出発する。準備体操をし、入山。曇りがちで歩きやすい天気である。伊藤、山川がすたすたと別山乗越まで行く。剣沢 キャンプ場では先をゆく田中さんと出会うがさっさと行ってしまう。雪渓に入ってからは尾崎、岩澤、山川が速い。順調に真砂沢ロッ ジBCに着くとテントを張り、寝る人、整理する人、ペミカンを雪に埋める人などなど。この頃になって伊藤は膝に痛みを感じる。岩と 接触したり、鍋に強打したり、また負担をかける歩き方をしたのが原因かと思う。明石さん、田中さんからの差し入れをもらい、尾崎 さんが神戸から運んでくれた藤原さんの差し入れであるカルピスを飲んで日が暮れる。
 

8/8 雪練①/長次郎谷
 

4:00 起床。 私は軽量化のためにシュラフを持ってこないでシュラフカバーだけで寝ていたため、予想通りかなり寒かった。前夜降っていた雨はすでに止んでいたので、初日から沈殿という事態はとりあえず避けられたようだ。この日の朝食は予定では「肉うどん」であったが、肝心の肉を誤ってデポしてしまっていたので、肉なし肉うどんを食す。しかしネギが入っていたのでうまかった。 伊藤は、前日負傷したヒザが痛んで歩行が困難であるため、BCに残ることになった。
 4:58 BC発 尾崎、近藤、山川、岩澤の4人に、サポートに来てくださったOGの明石さんを加えて出発する。雪渓の上はひんやりとした空気を感じられて気持ちがいい。しかし、5分も歩くと汗だくになる。
 5:25 休憩 長次郎谷の入り口付近でいったん雪渓から降りて15分ほど休憩。何人かは、暑いのでカッパの上を脱いだ。その後長次郎谷に入る。
 6:23 休憩 標高およそ2400のあたりで西側の岩の上に上がり、15分ほど休憩する。 ここで雪練をすることにして、尾崎、近藤がロープを張る。他三名は岩の上で待機。山川が今日の行動食をBCに忘れてきたとのことで、明石さんがカリントウをくれた。
 7:00ごろ 歩行訓練開始 脱いでいたカッパを再び装備し、いよいよ雪練スタート。キックステップで縦横斜めに移動を繰り返す。まだ日が高くないので雪面が硬く、なかなかキックが一発できまらないが、何度も蹴りこむとかえって足場が崩れる。ヒザから下を振り子のようにしてリズムよく一発で打ち込んでいくのが重要なようだ。登高・下降よりもトラバースのほうが難しい。一年生は、方向転換時にピッケルのピックの向きを変えるのを忘れてしまうことも多かった。
 9:00ごろ 滑落停止訓練開始 ぴたっと止まるのはかなり難しい。山川はなかなかうまく停止できていたが、岩澤はやや苦戦しており、ロープの位置までずり落ちることもあった。部室で借りたピッケルのピックの先が尖ってないのが原因ではないかと疑って、一度明石さんのピッケルを借りて試みるが、変化はなし。やはり自分のやり方に原因があるのだと確認する。
 10:00ごろ 10分休憩 その後も引き続き滑落停止訓練。ひたすら滑って登って滑って登っての繰り返し。だが、なかなか実戦で滑ったときに止められる気がしない。
 11:20ごろ  ここで、この後の行動について話し合った結果、熊ノ岩まで登ることになる。ロープを回収してとりあえず10分ほど休憩。
 11:50 明石さんにお礼を言って別れ、4人は熊の岩を目指して進む。15分ほど雪渓の右岸を登ってから、再び雪渓に降り立つ。やはり地面を歩くより雪渓上のほうが涼しい。このころには日も高くなり、雪面が柔らかくなってきたため、キックステップが利きやすい。だがふと下を見れば、クレバスが大きく口をあけている。飲み込まれれば命は無い。油断は許されない。
 12:40 休憩 左岸にある黄色い花のお花畑がきれいだ。疲れた心を癒す。ここで八つ峰のAフェースとBフェースを目で見ておくが、まあまあ近いこの距離から見ても、細かい部分がどんな状態かはよく分からない。取り付き点の確認だけして先に進む。一年生が何度か足を滑らせそうになるが、なんとか滑落も無くまあまあのペースで登る。熊ノ岩到着直前あたりで山川が多少遅れる。行動食不足でややバテたようだ
。  13:30 熊の岩着 ここには何組ものクライマーたちが幕営していた。少し休んでから、尾崎と近藤は頂上アタック後の下降路となる左又の状態を偵察するためにさらに登る。山川と岩澤は待機。10分ほどで二人は戻ってきた。かなり雪渓が割れているとのこと。
 13:52 熊ノ岩発 14:08 スタカットで下降 熊の岩からしばらく下ったところ、クレバスの上方に位置するやや急な斜面でスタカットを行う。そのまま左岸に上がる。 この後はひたすらBCに向けて下ってゆく。近藤のグリセードを真似るが、なかなか難しい。長次郎谷を抜けたあたりから、岩澤が膝痛のため遅れる。筋力不足で膝に負担をかけているようだ。
 16:20ごろ BC着 伊藤は何もすることがないという自由を満喫したそうだ。膝はまだ動かすと痛むとのこと 夕食のハッシュドビーフに今朝使えなかった肉を足したら、かなりの満足感を得た。
19:30就寝

8/9(火) 雪上訓練Ⅱ

 今日は昨日に引き続き雪練を平蔵谷で行う。
 4時を過ぎた頃時計のアラームが鳴り出し、2日目の活動が始まる。伊藤(2)の足の具合は芳しくないようで、今日も行動できないようだ。軽い朝食を済ませ、5時過ぎに真砂を発つ。アルプスも剱岳と言えど、2000mにも満たないベースキャンプの朝は寒くはない。
 緩やかな雪渓を登っていくが近藤(2)のペースは速く、付いていくのがしんどい。早朝の汗にまみれ喘ぎながらの1ピッチがその日のヤマと言っても言い過ぎじゃないよな。今日の1ピッチは約1時間で、平蔵谷の出合で1回目の休憩を取る。 よく晴れていて既に暑いが、これから入る平蔵谷の下部は源治郎尾根が影となり日の当たらないコースだ(嬉しい!)。長治郎谷よりも小規模ではあるもののこの谷は特に落石に注意したい。出合から500m程登るとアステロイドベルトにぶつかるからだ。 雪練地点は前剱と源治郎Ⅰ峰の中間点当たり。傾斜は緩く雪渓から上がれるが、浮き石だらけで慎重を要する。 最終防衛線を設置後、8時前に訓練を開始する。最初は昨日の復習として歩行訓練から。直下降とトラバースを特に意識する。雪は昨日の長治郎よりは柔らかく歩きやすい。
 休憩を挟み、9時半から滑落停止の練習に入る。基礎の型を何回か終えた後、みんな思い思いの体勢で滑る。俯せで頭からとか、回転しながらとか…。それにしても体が痛いよ…。回転が鈍るから滑るのが億劫になってくる。
 10時半からはアイゼン歩行の練習だ。足の置き方はフラットに足の開きは肩幅に歩幅は小さく…と想いながら歩く。これは短めで1時間も経たないうちに次の訓練に移る。
 最後のメニューは「スタカットによる登攀時の滑落停止訓練」だ。原則は岩登りのときと同じなのだけれど、雪の性質からロープの操り方が異なっていて面白い。これは1回生は見てるだけ。
 おまけメニュー「雪キノコ作り」。雪渓からの懸垂下降時に支点とする雪キノコを構築する…のだが、実際には溝を掘るだけ。ただ、堀り方にはロープを外れないようにする工夫が必要。なかなか頭を使うもので、登山は創造的な活動だと言うのも頷ける。
 12時半には全て終わり下り始める。雪渓の下りは速く、1時間程で真砂に到着する。テントの中には渋いヒゲを生やした人が寝ている。この文面からするとフツーなら「変な人がいるー!!」と言って追い出すだろうが、彼は大事な仲間。彼と川の字になり、4時の気象通報を待つ…。この後は夕食を済ませすぐに倒れた。
 明日へ続く。

8/10 どしゃ降り
 

 朝起きると雨が降っている。5:30まで待機するが、止む気配がない。CL近藤(2)の決定で本日は沈殿となる。寝に入る。そのうちに雷も落ち始める。外は(昼間だけど)真昼のように明るくなり、次の瞬間ドンガラガッシャーンと来る。ちょっと表情がこわばる。あんまり近くで鳴りまくるし暇なので、「誰かじゃんけんで負けたやつさあ、外でピッケル掲げて三分間踊ろうぜ」と提案するが、実現せず。 排水溝をテントの周りに掘っていなかったことが気になっていたが、まー大丈夫かとほおっておく。と、そんなことを考えていたら、「あれ、なんか枕元がぷよぷよする」と一番外側に寝ていた近藤(2)。た、たしかにウォーターベッド様。すわ!と首を出して外を見ると、テントの周囲へはどんどん水が流れ込み、水たまりになっている。天場内でも高めの位置なのにテントは今やひょっこりひょうたん島状態。わーわー言いながら尾崎(5)、近藤(2)、岩澤(1)は雷雨の中に飛び出し、排水溝をほる。伊藤(2)、山川(1)はテント内部で浸水をなんとかしようと試みる。ふと見上げると天場を見下ろす○ノ沢は巨大な滝だ。揖保の糸だ。とほほ。ほどなくしてテントの周囲の干拓は終わり、水はおおかた排出できた。周囲を見回しても、こんなに大騒ぎしているのはうちのテントだけだ。どのテントも大雨の中平静を保っている。恥ずかしい。テント内に戻るが、近藤の頭側の床には冬季用の穴が空いていたり、床自体度重なる酷使で傷みが目立っている物だ。浸水は以降もちょっとずつ続き、排水溝の浚渫と拡張工事は補正予算を組んでその日以降も継続される。 その日はほとんど雨だった。トランプが無いので、岩澤(1)持参の人生ゲームなどする。 夜に真砂沢ロッジの翌日の天気予報を聞いて憂鬱になる。曇りのち雷雨みたいな。しかし、明日を逃せばもっと天気は悪化する。源治郎尾根を目指して三時起きだ。伊藤(2)の足の具合が良くなれば雪練である。良くなる様子は今のところ無いが

8/11 曇りのち晴れ?
 真砂BC~0.25~取り付き~3.20~下降地点~0.40~頂上~0.30~長次郎コル~2.30~熊の岩取り付き~1.17~真砂BC

 今日はいよいよ源次郎尾根を登る。去年は腰を痛めて登れなかったのでかなり楽しみだ。しかし天気がかなり不安ではある。まあ、今回の合宿事態が天気に見放されているから仕方がないが。尾根道は最近の雨で彼方此方ぬれていたためトップで行く人は全身びしょびしょになった。岩もかなり滑った。ピッケルが木に引っかかってかなりしんどかった。それでも視界に開けたところにでると(左右につかまる物とかなく、足場が狭くかなり怖かった)時折晴れ間がのぞいてすごかった。途中の懸垂地点でロープの出し入れ準備までは良かったのだが、ロープダウンのときにロープが丸まってしまい少々てこずったが懸垂下降自体は皆概ね出来ていたのでよしとしよう。まあこれはロープにも問題があると思う。その後は20分ばかし岩をよじ登ったら頂上に到着。若干目測が誤り、『この先危険』と書いてある看板が備え付けられている岩から出た。頂上に着くと先客でいっぱいだった。(中高年の集団、もっと若い集団だったら良かったのに)かなり予定より早く着いて、頂上を堪能した後これまたかなり速いペースでくだった。途中の源次郎のコルに降りるときの岩場が結構難所だったし、右俣の上の方は完璧に切れている箇所がいくつかありスリリングだった。もっともロープを張り万全にきしたのでさほど問題はなかった。その後は特に問題もなくお昼頃には真砂に着いた。 

8月12日 雨 沈殿

  皆さん2回目の沈殿。伊藤は5日目の沈殿。昨夜から1日中雨が降り続いている。描いた天気図も芳しくない。人生ゲームをする人、本 を読む人、寝る人、暴れる人。ここまでくるとお互いの性格というものが分かってくる。何でも乗ってくる岩澤。ほとんど全く乗らな い伊藤と山川。元気有り余る近藤。行動食をひたすらねだる尾崎さん。奇怪な人達である。なんとか晩飯まで時間を過ごし、やっと終 わったという感じの沈の1日。 

 

8月13日 雨のため沈殿

 4:00 起床
 第一章・陰雨 天気図からの予測どおり朝から雨。それもかなりの大降りで、トイレに行く気も無くす。
 第二章・混迷 狭いテントの中にむさくるしい男が5人、身動きとれず。神よ、あなたはいったい何がしたいのだ?なぜわれわれにこのようなむごい仕打ちを?
 第三章・徒食 やがて男たちは、あるものは数学の問題に挑み、あるものはひたすら眠り、あるものは人生ゲームに興(狂)じ出す。そしてただひたすら時が流れるのを待った。そして行動食だけが無為に消費されていく・・・
第四章・停滞 この日は予定ではOBの矢崎さんが合流するはずだったが、この雨のため、当然ながら矢崎さんは入山できず、現れなった。 

8/14(日) 八ツ峰上半?沈殿?

 一行に襲いかかる…?昨日の夜、降雨の宣告を受けたのだけど、無罪放免となったのだろうか? 天気とは気まぐれなモノだね。 出撃間際から雨の匂い。真砂を出て、いつもの剱沢雪渓を登っていく。1回目の休憩場所に着く頃には心地よい(?)雨の音。リーダーの判断はこれ以上雨足が強まるようなら引き返すとのこと。 長治郎に入ると雨の感触が心地よいモノから不快なモノへと変わっていく。まだ半刻も登らないとき、撤退してくるパーティに会う。リーダーが皆の意見を伺い、撤退を決定。やはり宣告だったわけだ。 下るにつれて雨足は弱まってくる。リーダーと尾崎(5)は下るのを渋っているようだ。確かに辺りは仄かに日の光が感じられる。結局判断は下されなかったので、そのまま真砂へ。 真砂へ着くと、尾崎(5)がリトライしようと持ち出したが、沈殿を決め込んでいた1回生は降りた。
リーダーと尾崎(5)は八ツ峰へ。1回生の2人はヒゲさんと真砂で沈殿。 さてここからは真砂でのお話。とは言ってもやってることは昨日と同じなんだけど。ただ、やっぱり天気は持ち直したみたいで物干しができた。小屋から借りてきた漫画を読み、天気図を取るなどして過ごす。 1時前には2人が戻ってきた。なかなか速い。新快速並み?
みんな揃ったところで明日の打ち合わせ。明日は一応下山日だからね。尾崎(5)はまだ粘りたかったみたいだけど、伊藤(2)を慮って(建前?)下山が決定された。 変なテンションの上がり方をした変態の館で最後の晩餐(くいつぶしのコト)が始まった。食が豊かなのはいいんだけど、もう大豆カレーは嫌だ…。 天気予報を聞くと明日も(?)雨らしい。確かに2、3日前から言ってたけど。まさかねぇ?
そのまさかは的中し、明日は今までのツケを払えと言わんばかりの、剱の猛襲が一 

8/15 雨雨雨
 4:00起床~6:05出発~11:30室堂

 雨が断続的に降っている。今日は下山となった。非常にわりきれないものを感じる。これでいいのか。いや、仕方ないだろう。とか思いながら神大は早速とテントを撤収。伊藤(2)は個装のみ持つ。私、尾崎(5)は今回雨に備えて、ゴミ袋で自作のザックカバーを持ってきていたが、装着の際に崩壊し、無駄となる。 出発。隣の農大山岳部の皆さんが朝の体操をしている脇をすり抜けて真砂を出る。途中で京大山岳部パーティとすれ違う。まだ10日間ほどいるとのこと。 長次郎の出会いあたりで、岩澤(1)が重そうなので聞くと、なんだかんだで入山日より重くしていることがわかって、「俺軽すぎるよ」と言う山川(1)と、別に軽くもない尾崎(5)であまりの食糧などわける。 伊藤(2)の調子は痛むそうだが、思ったよりいいようだ。「このまま熊の岩に行って幕営するか~」とかジョークをかましてみる。 ガスが濃くなり、風も出てくる。雪渓から土の登山道に移ったあたりで休憩。すれ違うおじさんに「上はすごい風だよ~」とか聞く。
伊藤(2)と山川(1)はかなり速いペースで行く。こいつら元気やんけ、まだねばれるんちゃうんかとか思う。途中の剱沢の派出所に下山のムネをお伝えして通過。岩澤(1)は疲れてはいないが体調が悪いせいか足に力は入らないそうだ。みんな濡れ鼠で寒い。メガネが水滴と曇りで見えづらい。私は下山後に視力をレーザー矯正する夢を見る。別山乗越ではトイレに待避。 雷鳥沢の下りは沢みたいに水が流れており、尾崎(5)の靴は中までびちゃびちゃである。最後の石段はつらい。途中に人はほとんどいなかったが、室堂のターミナルの中はすごい人で混雑している。富山まで片道3,550円なり。 蝶々にピッケル、何を見ても思い出す。