神戸大学山岳部・山岳会 南アルプス・荒川岳~赤石岳縦走報告

【メンバー】
 L木南晴太(OB)、中村礼(OB)、安藤弘泰(1回生)、大石貴子(外部(神戸労山))

【行程】
12月27日 晴れ後曇り
広河原発電所11:30~転付峠15:45~二軒小屋16:45

12月28日 晴れ
小屋7:10~マンノー沢頭12:00~千枚岳手前(C2700)14:30

12月29日 晴れ後曇り後雪風強し
TS7:00~悪沢岳(C3141)10:15~荒川中岳小屋12:00~13:50~荒川小屋15:50

12月30日 快晴
小屋7:30~赤石岳(C3120)11:10~ラクダノ背登り返し終了14:00~赤石小屋16:50

12月31日 雪後雨
小屋6:25~椹島8:25~畑薙ダム(沼平ゲート)12:15

12月27日

下部温泉駅からタクシーで新倉・田代入口へ。林道は広河原発電所まで車が入れる。発電所から歩きだす。沢沿いに道が整備されている。昨日の冬型が残っているようで風が冷たい。転付峠手前から積雪が出てくる。振り返ると大きな富士山がある。峠をまわりこんで二軒小屋に一気に下る。暗くなる前に小屋に到着。小屋は広く、畳敷きで快適。

12月28日

小屋から尾根への取り付き箇所が若干崩壊気味で危ない。夏道をひたすら登っていくとC2000付近から積雪になる。トレースはない。マンノー沢頭まではひざ下程度、そこから上部はひざからもも程度のラッセルとなる。天気はよいが樹林帯の中で視界がなく単調である。風は昨日に続き冷たい。千枚岳手前、森林限界に近づいた辺りに小さなくぼ地が3ヶ所ほど次々とあり、風をよけることができる。その内の一つに幕営する。

12月29日

夜半から風が強くなる。晴れ渡った朝の日の出は大変美しい。TSを出て少し上がるとハイマツになり雪面はクラストしてくる。稜線上は風がきつく時にあおられふらつく。千枚岳の先はコルまで急な岩状の下り。きちんとしたアイゼン歩行が求められるが、安藤の歩行は安定していた。コルから先は広い緩やかな斜面になる。悪沢岳山頂からは360度の展望を望むことができた。駿河湾がはるか下方に輝いている。その向こうに伊豆半島も見える。荒川中岳小屋で大休止をとるつもりであったが、向う途中に急に雲が出てきて、大石の疲れも見えることからこの小屋で行程を打ち切ることにする。小屋の入口は雪で埋まっていたが、なんとか掘り下げて入る。ラジオを聞きながら昼食の準備をする。ラジオの天気予報では明日30日は冬型で曇り、山沿いでは雪、31日から1日にかけては南岸に低気圧が発生するとのこと。天気が安定している今日の間に、少しでも先に進んでおこうと、急遽、再度、前進することに決める。昼食をとり、すぐに出発。目的地は大聖寺平だ。しかし、この1時間ほどの間に天候が急変。小屋を出てすぐに風雪ともに激しくなる。前岳から先の県境稜線は急なガラガラの下りが続く。暴風雪で上体が揺さぶられ、足元も不安定であるため、バランスを崩して転倒、滑落する危険がある。また、稜線の地形が予想以上に複雑で、視界がない中を進むのは困難だ。そこで、途中から斜面を左下に強引に下り幕営できそうな場所を探すことに方針を変える。中村をトップに急な岩の斜面を苦労して下る。と、ちょうどそこに、ガスの中、荒川小屋の姿が浮かび上がる。ラッキーである。この小屋の入口も埋まっていたが、掘り出して入り込む。

12月30日

夜中ずっと激しい風の音がしていたが、朝明けてみると、なんと快晴である。赤石岳を目指す。昨日下ったところを登り返して県境稜線を辿る。風はやはり強い。大聖寺平で安藤の雪上訓練を行う。ここから小赤石岳のピークまでは急な氷雪面でアイゼンをきしませながら登る。スリップしたら一大事だ。赤石のコルに荷物を置いて赤石岳山頂をピストン。念願の頂上に立つ。雲一つない快晴。濃紺の空。最高の気分である。ここで最後のタバコを吸い尽くす。下りはラクダノ背を下る予定だったが、上部から臨むと急峻なナイフリッジである。トレースがあればまだしも、ルートを知らない不安もある。ラクダノ背はやめて、夏道同様に、沢を下り、途中からトラバースして、ラクダノ背の先の稜線に戻ることにする。沢筋を一直線にラッセルで下る。C2650辺りまで下ってからトラバースしながら弱点を探し、そこから稜線への登り返しを行う。猛烈なラッセルとなる。最後はハイマツのやぶ漕ぎで強引に突破する。安藤はキックステップが完全でなく苦労する。大石は疲労困憊になる。稜線にはトレースがあった。しかし富士見平までは気が抜けない。時間がかかる。椹島まで下ることはあきらめて、赤石小屋泊まりとする。小屋から5分ほど下ったところに、水場があり、うれしいことにこの時期でもまだ水が出ている。先に到着した中村が水をくんできてくれる。みんなで水をがぶ飲みする。非常にうまい。今日まで行動の充実感と明日は確実に下山できることの安心感を味わう。安藤は鬼のように食べる。

12月31日

今日中に神戸に帰り着くことを目標に早出する。天気は悪化の傾向だ。雪が降っている。椹島までは3時間半の行程を2時間で駆け下る。椹島からは長い長い林道歩きになる。雪から変わって降りしきる雨の中を各自のペースで畑薙ダムへと向う。大石のみ途中から通りがかりの車に拾われ、先に沼平ゲートに到着する。そこから県警の詰所の電話を借りてタクシーを呼ぶ。送迎に1時間40分かかるとのことだが、他に手段がないので頼む。ところが、安藤が途中から連れ立ってきたおじさんが自分の車で駅まで送ってあげると言ってくれる。頼んだタクシーをキャンセルできないかとすぎに電話をかけて聞いてみるが、もう迎えに出てしまった後で無線も通じないといってタクシー会社に怒られてしまう。仕方がないので、おじさんの車で送ってもらうが、送迎のタクシーと出会ったら、そちらに乗り換えるということで、車に乗り込む。全員無事下山。久しぶりにタフな山行だった。
(以上木南)