VI峰Bフェース 本峰南壁A1 VI峰Cフェース

夏合宿報告書                         文責 尾崎


8月9日(金) アプローチ                  

 藤本(3)田中(2)三桝(1)安部(1)は昼中に18切符で神戸を離れる。尾崎(2)はサンダーバードで富山駅まで行き、四人と合流する。藤本が、富山に来る途中でいっとき土砂降りになった、と言った。安部は担当の共同装備鍋を、大西の担当のハンマーと交換していた。鍋がザックに入らなかったからと言う。最終の電車で立山のケーブルの駅に着く。小宮OBとも駅のベンチで合流。夜中、駅前の芝生でごろごろしていると雨がぱらつく。大西(4)は室堂直行の夜行バスで出発する。

 

 

8月10日(土)晴れのち曇り、ときどき雨  入山

室堂8:00〜11:00別山乗越11:30〜剣沢キャンプ場12:30〜剣沢14:00〜15:00真砂沢BC 

室堂で全員合流。トイレがこんでいる。一年生の三桝、安部の二人にザックの重量差があった。小宮さんは担当の共同装備のスコップの柄を置いてきたらしい。小宮さんの持つピッケルはブラックダイアモンド社製品で、スコップを装着できるようになっているからということ。

雷鳥沢を登る。大日岳と富山市と日本海が並んで見える。藤本、田中、安部、三桝に問題は無さそう。大西はひざの調子が悪そうにしている。

別山乗越でしばし休憩して剣沢にむかって降りはじめる。雨がぱらつき始める。

剣沢キャンプ場手前で、大西がしんどそうなので荷物をわける。共装の重量計測を間違っていたらしい。実際より大分軽くしていた。

尾崎は警備隊に登山届を出しに行く。最初、間違って野営管理所に行ってしまう。出直して藤本と一緒に警備隊に登山届を出す。警備隊の方いわく「剣沢は武蔵との出会いから雪渓がしっかり残っている。アイゼンが要る。」「源次郎I峰下部が崩れている。土砂が長次郎を埋め、真砂までの雪渓が細いところまでデブリがある。長次郎のデブリの通過には問題無い。真砂まで行くには、途中の雪渓が細い箇所に滝も出ているので、そこは巻き道を行ったほうがいい」「本峰南璧はぼろぼろ。A1ルート途中のピナクルもぼろぼろで、登らずに左手のルンゼを行くように」

剣沢で雪渓に降りる箇所まできた。アイゼンを履くことにする。用意し始めるが、安部のアイゼンのサイズが靴に合わされていなかった。調整にかなり手間取る。

用意して剣沢を真砂に向かって下り始める。空は曇っている。

平蔵谷の上部が見える。雪が無い。出会いとの反対側、雪渓が他より多い目に残った斜面をみて、雪練できるだろうかと話をする。

長次郎谷は聞いたとおり土砂で下のほうが埋まっている。上のほうも見えたが雪は多くなさそう。八峰がわにガレ場も見える。真砂までの雪渓が細くなっている箇所にも土砂が詰まっている。長次郎から土砂を越えてこちらに降りてくるパーティーが見えたので、長次郎の様子を聞いてみる。土砂を越えて上部に向かうことには問題なく、熊の岩までは雪はしっかり残っていて、左股は熊の岩の横で切れているらしい。礼を言って、まきみちを通ってまた雪渓に出る。真砂に到着。

テントを張り、天気図をとって、飯をつくって、トイレに行く。三桝が食器を神戸に忘れてきたことが判明。尾崎のヘッドランプが点いたり消えたりする。電池を入れ替えても変わらず。

翌日の雪練は、様子を見て、できそうなら長次郎谷の下部でやるが、それが無理なら剣沢と平蔵の出合い付近で行うことにする。4時起床にして、寝る。

 

 

8月11日(日) 曇り時々雨  雪上訓練

4:00起床〜BC出発5:00〜7:50雪練14:30〜15:30BC帰着 

朝食はラーメン。4:30ぐらいから外が明るくなってくる。空は曇っている。

まず長次郎谷の出合いまで行く。パーティーが休憩する間、藤本、尾崎が土砂に登る。土砂の無い部分が見えて、1パーティー見えて、雪練ができそうだった。滑りこけても下方の土砂で止まるように見えた。様子が詳しくわからなかったが、長次郎にはいるのは明日にして、平蔵との出会いまで行くことにする。

平蔵との出合い付近まで来て、昨日話していた反対斜面で雪練を行うことにする。滑り落ちても剣沢の本流がなだらかだから止まるということにする。滑り止めにロープを張ろうする。雪が結構硬くて歩くのが怖い。溝も掘ろうとするが、スコップはあまり役に立たない。ピッケルで削るほうが早い。ロープを張る場所を下のほうにして、雪練場も下のほうでする。アイゼンをはく。雪が硬く、まずアイゼン歩行の練習からやることにする。尾崎は溝も掘ろうとするが、小宮OB、大西の掘る必要が無いとの助言で、ロープだけにする。アイゼン歩行の後、キックステップ、緊急・滑落停止の練習を行う。田中がグリセードの練習をしたときに尻餅をついて尾てい骨を打つ。練習中、ヘリコプターが頭の上を何度も旋回する。そのうちに剣への一般縦走路の上に飛んでいって着陸し、また浮き上がって飛んでいった。大西、藤本、尾崎がスタカットの練習をし、残りが緊急・滑落停止の練習を行いはじめると、雨が降り出す。切り上げてBCにもどる。

BCに戻ってみると川端OBが来てくれていた。お土産はパイナップルだった。狂喜乱舞。

 

 

8月12日(月)曇り、時々雨  雪上訓練

起床3:30〜BC出発4:30〜長次郎熊の岩付近雪練〜平蔵谷出合い付近雪練〜BC 

今日は長次郎の上部に行ってみる。出発準備をしていると、本峰経由で下山する川端OBが顔を出してくれた。

足がつらそうな大西と、長次郎の出合いで別れる。大西は下山する。

長次郎ので土砂の上で一休みし、アイゼンをつけて雪の上に出る。途中で一箇所、2メートル足らずしか幅の無いところもある。それを越えた後、両側から切れてきている箇所は左手のいわのうえに乗り移ってやりすごす。

再び雪渓の上に出た直後、ひときわ大きな「ラク!」の声。緊張する。急な傾斜が、少し上部で緩くなっているために、落下してくるはずの石は見えない。尋常じゃない感じの「ラク!」の声は、しかし次々飛んでくる。上のほうに、動かない川端OBの姿も見える。真正面に、ちらっと飛び上がる石が見えた。石と言うより岩。跳ね、右手を下方に向かって飛んでいく。下には何パーティーかいる。掠めながら飛んでいく。「まだくるぞー!」もうひとつ飛んできた。さっきの狭い雪渓のあたりを、高く、回転しながら飛び越えていく。陰に入って見えなくなる。上部をにらんで数瞬、緊張が続いた。もう大丈夫らしい。落石の通り道になったあたりを避けて上部に向かう。

熊の岩まで来るとガスってくる。風も出てくる。動かないでいるとすぐ冷えてくる。VI峰にとりつくアドバンスドクライマーたちが良く見える。熊の岩の上を通って、藤本、尾崎は左股に行ってみる。先日聞いたとおり、下は切れていて水が流れている。ガスっていて上部の様子は良く見えない。川端0Bが見える。怪我の無いように言って、ガスの中を登っていった。雪は硬く、急だった。どうするか考えながら引き返す。

寒いので田中、三桝、安部はツェルトをかぶって待機。藤本、小宮、尾崎で右股に行こうとするが、どうもこちらも状態は良く無さそうだった。ここでできるとの判断で、熊の岩のすぐ横ですることにする。ロープを横に張って、移動用の足場を作る。縦にもロープを張って、下降の際にプルージックでセルフビレイをとりつつ練習することにする。下の足場では監視係が立つ。

 

 

8月13日(火)曇り時々雨、後晴れ       源治郎尾根(途中で引き返す)

起床3:30〜BC出発4:30〜取り付き5:41〜引き返し始める7:50〜剣沢に出る9:00〜BC着10:30 

天気は曇り。出発して、源治郎尾根末端にとりつく。たまに雨がぱらつく。前に一パーティーいて、確保して最初の岩を乗り越えていた。僕らも乗り越える際にザイルを固定し、プルージック確保で登ることにする。先頭を登ってくれる小宮OBを除く全員がハーネスをつけるが、田中がハーネスを忘れてきたことがわかる。安部が登った後に、彼のハーネスをザイルにつけて下ろし、それを田中がつけて登ることにする。II峰の懸垂下降では小宮OBに簡易ハーネスで降りてもらうことにする。田中だけ小宮OBに確保してもらって登った。安部が腹痛を起こしている。しばらくハイマツの中で高度を稼ぐ。空を仰げるところに飛び出すと、雨が降っていた。雨が降っていて、体調不良の者がいて、ハーネスも足りないということで、撤退することにする。三回懸垂下降し、取り付きまで降りる。が、途中で安部の腹痛は治り、降りきると晴れ間が広がってきた。BCに着く頃には入山以来の見事な晴れ間が広がった。

濡れていたテント内の装備をすべて乾かす。ごろごろする。

富山県警のヘリコプターが飛んできて、負傷者を搬出していった。プラトーンみたいだった。

 

 

8月14日(水)晴のち曇り      源治郎尾根

BC出発4:00〜5:02取り付き〜I峰8:40〜II峰9:30〜懸垂開始10:20〜終了点出発11:00〜本峰11:50〜平蔵のコル13:00〜BC着15:30 

起きて外に出ると星がみえた。遠くにヘッドランプが揺れ動いている。ハーネスをつけて出撃。取り付いて、初めの岩は昨日と同じくザイルを張る。晴れてきている。途中のちょっとしたフェースで田中、藤本がザイル確保で登る。昨年と同じ枯れ木が登る手助けになってくれた。ルンゼルートからもパーティーが上がってきた。途中でもろいルンゼ状のところはもろかった。尾崎が道のない方に進む。I峰は休憩せず通り過ぎる。八峰VI峰フェース群に人がたかっている。雲間から光が幾筋も差す。天国への階段。II峰懸垂点で懸垂待ちをする。一パーティー、5,6人居た。平蔵谷と長治郎左股を眺めながら、本峰行った帰りはどこを通るか考える。左股は何カ所かで雪渓がすっぱり切れていた。平蔵は上部に雪がほとんどないようで、がれ場が見えていた。

田中、懸垂怖そう。晴れていた本峰は、登っているうちにガスに隠れていってしまった。浮き石にびびりつつ、よたよた歩いて本峰着。記念撮影をして、寒いので15分くらいで出発。平蔵から降りることにする。カニの横ばいは怖い。

平蔵のコルから下を眺めて、いけると思ったので行くことにする。下の方に一パーティー居て、雪渓の上に移って下っていっているようだった。がれ場は落石多発。一歩ごとにがらがら崩れる。幸いなことにほとんどの石はすぐに止まる。大きな石を落とさないよう注意して進む。小宮OBはほとんど足下が崩れないように見える。

藤本、安部の南壁組はA1のルートを確かめつつ降りていく。藤本がネットで入手した写真とそのまんまに見えた。南壁に行こうとしているように見えるパーティーが居たので、藤本が聞くとA2に行くとのことだった。A1かなと思われる方に行っていたので藤本が「そっちはA1では」と声をかける。割れ目も少なくなったところで雪渓に移る。壺足で下降することにしたが、滑りこけると止まらないので、すぐにアイゼンをつけることにする。安部が直下降の際に足の小指が靴に当たって痛いという。剣沢に出てアイゼンを外す。真砂に向かってのんびり下る。BCにつくと、平井先生と居谷、高田、橋本OBが、大量の差し入れを担いで来てくれていた。宴会をして過ごす。

 

 

8月15日(木)雨      ラウンド平蔵〜三の窓(途中で引き返す)

BC出発5:50〜平蔵との出合い6:30〜平蔵のコル8:45〜引き返すことにする10:00〜BC着11:40

 朝から曇ってちょっと雨もぱらつく。先生たちとは別行動で平蔵へ向かう。雨はさらさらと降っている。平蔵との出合いで、尾崎、安部、三桝はアイゼンをつける。えっちらおっちら登りつつ、ガスの中に入っていく。上にいたパーティーを途中で抜かす。がればに移る。橋本、安部は源治郎側に寄りつつ南壁の様子を見る。風が出てきて、雨も断続的に降る。平蔵のコルについて、カニのたてばいが見える位置で休憩。雨も風もやむ気配が無さそうだが、とりあえずツェルトに潜って待機する。濡れている橋本OBはぶるぶる震えている。11時なっても天候が変わらなければ三の窓には行かないことにする。途中でタイムリミットを10時に変更して、待つ。変わらなかったので平蔵を降りてBCに帰る。平井先生たちも帰幕して、仙人池に行った藤本を待ちながらテントでごろごろする。藤本が帰ってきてからも土砂降りになったりする。天場中を水が流れていた。

八峰は朝起きて雨が降っていたら中止にすることにする。岩が濡れていたら登らない。

 

 

8月16日(金)晴のち曇り      八峰上半

BC出発5:00〜V・VIのコル7:30〜登攀開始8:00〜9:30VI峰ピーク〜長治郎右股のコル13:30〜BC着15:00

 起きると曇っている。V・VIのコルまでは、長治郎の雪渓がますます細くなっている。コルで休憩するが、取り付く岩場を見て田中が行くか行かないかを迷う。しばらく迷って、後から来たパーティーに先に行ってもらう。行くことになる。ガスは出てきたが雨は降っていない。田中は足をあげると、尾てい骨が痛いらしい。VI峰からの下りで懸垂下降する。VIII峰からは、最初の懸垂下降と頭へのギャップまで下降する。いったん懸垂下降し、ザイルの残りを持って2〜3メートル登り返し、次の懸垂を支点変更せずにそのまま懸垂する。頭へのルンゼを登って、小宮、尾崎、田中、安部が先に頭に到達する。つづいて橋本、藤本、三桝も到達。

頭から右股が見える。でかいザックを担いだパーティーがのぼってくる。上部がぶちぶち切れているが、右股から下ることにする。トップ藤本で下り、尾崎が確保。ザイルを固定して、ラストを尾崎。この予定にする。クレオパトラニードルは行かない。

右股の上まで来る。登ってきたパーティーをやり過ごし、予定を少し変更して雪渓横のがれ場を下っていく。しばらく下ってから雪渓上に乗り移り、数メートルで再びがれ場が始まる。がれ場から広くなってきた雪渓に移るか、そのまま踏み後沿いに下るか迷ったが、雪渓に割れ目もあったし、がれ場を下る。熊の岩より上部の雪渓のあたりで雪の上に移る。橋本、小宮OBにグリセードの練習で下ってみないかと言われるが、尾崎だけ下る。

テントで、台風が来ていて、翌日はまだしも、翌々日が気持ち悪い。翌日の岩の予定を変更する。藤本、安部、橋本が南壁A1へいく。小宮、田中はVI峰Aフェース。尾崎、三桝、小宮がCフェースにする。翌々日が雨でも、全員岩登りを一回は経験できる。12時以降無線をオープンにしておいて、南壁組が稜線にでられたときに尾崎、田中、三桝、小宮組に連絡することにする。

 

 

8月17日(土)晴のち曇り       A・Cフェース改めBフェース、南壁A1

BC出発4:30〜登攀開始7:00〜A終了10:00〜C終了12:30〜BC着15着  

出発。長治郎出合いまで一緒に行って分かれる。長治郎の下部では歩ける雪渓部分がどんどん縮んでいく。途中で、アイゼン、ピッケル、スノーバーをデポして取り付きに突入する。Cフェースにだけパーティーが取り付いている。長治郎も人が少なく、静かなものである。Aフェース組が先に登ることにする。尾崎、三桝はAフェース基部近く岩小屋のような場所で落石を避け、小宮OBの帰りを待つ。雲一つ無いスゴイいい天気。

八時くらいから、静かだった長治郎に続々と人がやってくる。みんなCフェースに取り付いていく。長蛇の列になった。やがてガスってくる。

やがて小宮OB、田中が帰ってきた。田中に岩小屋で待機してもらう。Cフェースでは全ピッチで人がつながっていた。予定をさらに変更して、尾崎、三桝、小宮はBフェースに行く。誰もいない。1ピッチ目小宮トップ。2ピッチ目尾崎トップ。ザイルの流れが悪くなって苦労する。3ピッチ目小宮トップ。浮き石が結構あって、岩がはがれたりしたが、終了。クライムダウンを交えて岩小屋まで戻る。南壁組からの無事終了の連絡を受ける。Cフェースに行こうとするが、雨もぱらつくし、時間も怪しかったので、帰る。

台風が来てしまうかもしれない。早い目に下山したい。翌日は尾崎、三桝、小宮だけが下山装備を長治郎出合いにデポし、岩の装備を持ってCフェースに行くことにする。12時までに長治郎出合いに戻り、登ってくる藤本、田中、安部、橋本と合流して下山することにする。

 

8/17 本峰南壁A1    メンバー:PL橋本(OB)、安部(1)、藤本(3)

行程:BC(4:30)−平蔵谷―取付(7:30/8:00)―頂上(13:00/13:45)―平蔵谷―BC(15:45)

 台風接近のため、急きょ1日繰り上げとなった南壁に、藤本はあまり眠れなくなる。当日3:00起床。外は雲一つなく満天の星。明るくなるのを待って、八つ峰VI峰隊と一緒に剣沢を登る。剣沢出合いで分かれ、ここからは3人だ。平蔵を先行く2人パーティーが見える。2人は雪渓の割れ目へと消えていった。源次郎I峰の岩を登るのだ、と橋本OBが教えてくれる。2人が消えたあたりの雪渓の下からは変な音が聞こえた。空は快晴だ。やがて雪は少なくなりガレ場を登る。登山道から剣を目指す人々の声が距離のわりに近くに聞こえる。最後に雪渓を右に横切り取り付き地点へ。橋本OBが、「剣の岩場」の写真の場所を発見する。橋本トップ、安部、藤本の順で登り、登った人が次の人を確保する。