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GW燕〜常念〜蝶縦走   筆:尾崎竜平

2002年5月3日-6日

メンバー:尾崎(2)藤本(3)田中(2)矢崎OB 小宮OB


5月3日 中房温泉6:30〜7:05第一ベンチ7:10〜7:47第二ベンチ〜8:06第三ベンチ〜8:48富士見ベンチ9:00〜9:30合戦小屋9:45〜10:05合戦沢頭〜10:55燕山荘11:20〜11:55蛙岩〜12:26、P2678手前〜13:15為右衛門〜14:10切通岩〜16:00大天井頂上〜16:30大天荘前TS

部長大西に見送られ、尾崎(2)藤本(3)田中(2)は2日夜発の「ちくま」で大阪駅を出発する。GWということもあって、車内は満員。京都駅で佛教大山岳部が車内に入ってくる。よくみれば、一団の中に尾崎の高校時代の同級生がまじっているではないか。しかし、満員だったし、離れていたのであえて無視する。松本駅で「アルプス」に乗り換える。そのさい、先ほどの同級生と感動の再会。彼らは上高地の岳沢に行くらしい。
穂高駅に3日朝到着。同時に何人も登山者が降りてきた。みんな中房温泉に行くのだろうか。駅で前日から来ていた小宮OBと矢崎OBと合流する。二人とも駅の屋根裏のスズメがうるさくて眠れなかったと言う。田中、藤本も眠っていない様子。小宮OBが登山届を出してくれていた。タクシーに乗って中房温泉に向かう。前方の有明山がどんどん近づいてくる。中房温泉はその裏である。これから歩くことになるであろう真っ白な稜線も見える。中房温泉にも登山者が何十人もいる。準備している間にも人が次々やってくる。入山連絡を旅館の公衆電話ですませる。鉛筆を忘れてきたことを思い出して、旅館の人に頼んで一本いただく。
準備を整えて、先頭から藤本・田中・尾崎・矢崎・小宮の順で出発する。橋のたもとから尾根へと登り始める。はじめから急登、そして大渋滞に巻き込まれて、のそのそ登っていく。ところどころ日陰に残雪はあるが、おおかた夏道が続く。少しずつ先に行かせてもらいながら第一、第二、第三、富士見ベンチと進んでいく。日差しがきつく、夏のようだ。標高2000メートルの表示がある第三ベンチの辺から雪が道にしっかりついてきていた。トレースはしっかりついているし、たまにキックステップしつつ登ってゆく。富士見ベンチのあたりから人が少なくなる。樹林帯を抜けて、人が大勢休んでいる合戦小屋に到着する。
雲ひとつ無く、日差しがますますきつい。コーヒー500円、ジュース350円。テルモスのお茶が少なくなっていた尾崎は、ジュースを買おうかと迷うが、なんか周囲の視線が恥ずかしいのでやめる。燕山荘には水くらいあるであろうと考えることにする。アイゼンの準備をしていると、矢崎OBが悲鳴を上げた。見ると彼の行動食袋の中に、なぜかパン粉が入っている。行動食を買ったときに同時に買ったものを、間違って入れてきたらしい。「どおりでなんか重いと思った」と言う矢崎OBのパン粉をキレイなお姉ちゃんが笑っていた。アイゼンをはき、ヘルメットをかぶり、ピッケルを持つと、暑苦しさが倍増した。
合戦沢の頭を経て、稜線上に見えてきた槍を眺めつつ、燕山荘へとひたすら登る。蛙岩も見えた。こちらから見える稜線の東側は雪が多い。最後の数十メートルは完全に夏道が出てしまっていた。アイゼンでがしがし登って燕山荘に到着。他の登山者もここで一休みらしい。人の群がる燕岳が見える。大天井のほうへ延びる夏道も見える。期待していた水は無く、尾崎はポカリスエットを買って雪で水増しする。山荘で聞くと、大天井まで半分ぐらい夏道が出ていて、だいたい所要4時間くらいらしい。田中に疲れが見えていた。低気圧が接近しているので、明日は荒れるだろう。また、その明日は行程が長い。思い切って大天井まで進むことに決定。
時間が惜しかったので燕岳ピストンをカットして夏道を前進。アイゼンは結局、大天荘まで履くことは無かった。夏道は雪のついていない西側斜面よりについているが、東側斜面には雪がしっかりついていて、雪庇もところどころに出ている。蛙岩には予想よりはやく到着する。天場適地らしき場所は見当たらなかった。張れないことも無いと思うが、結構斜めになるだろう。雪が積もっていればまた違っていたのかもしれない。「蛙岩は冬道を行け」と燕山荘で教えられていた。冬道の途中には岩の中の穴を抜ける箇所がある。小宮OBが夏道から回り込んだが、雪がついていて怖いらしい。小宮OBの助けで、藤本がまず冬道の穴を抜ける。つづいて矢崎、田中、尾崎の順に通過。そんなに問題は感じられなかったが、雪が詰まりきっていたり、ザックが大きかったら苦労するだろう。
以降もずっと夏道が出ている。燕山荘に大勢いた登山者はほとんどこちらにこない。大下りを下る。為右衛門岩の岩稜帯は主に夏道沿いの西側から登っていくが、たまに東側の雪の上を歩く。雪庇が出ているようなので注意してゆく。非常に暑い。皆、上着は一枚だけになって歩く。切通岩にも雪は全くついていない。まず鎖を伝って数メートル、その後はしごで数メートル下る。雪がついている場合はこちらから回り込む、と考えていた西側斜面も雪が無く、ガレガレであった。
切通岩を降りてすぐに、大天井へと登り始める。登り始めは喜作のレリーフ横のはしごをいくつか上る。ガレた夏道をジグザグにピークに向けて登っていく。田中がしんどそうにしている。しきりに眠いと言う。後ろから数パーティーやってきた。何回か休憩を挟み、ピーク付近の岩稜を登って大天井頂上に16時到着。ピークからは常念、蝶が見えた。常念は東側斜面に雪がつき、後は黒々としている。蝶は樹林帯の間が真っ白になっていた。残雪の槍、穂高もすごい迫力だ。やっぱり来ることにしてよかったか、と思った。
休憩した後、大天荘にむけて下る。今日の行動は長かったし、田中の疲労も大きいので冬季小屋に泊まることにする。しかし、小屋を開けてみると、中は雪が吹き込んで濡れていて、真っ暗だった。気持ち悪いのでテント泊に変更し、土の上に幕営。周囲には他にも5つぐらいテントが張られていた。5人で4人天なので少々狭い。それで、さしあたっていらないものをツェルトに包んでテントのそばに置くことになった。
天気図は取れなかったが、天気予報からも明日は天候の悪化が予想された。ただ、それほど状況がひどくない限り常念乗越まで進むことにする。そこから先に進むかどうかは、そこで判断することにした。
夜中に風の音で目が覚めたような気がする。

5月4日 4:00TS5:30〜8:00常念乗越9:00〜10:30常念ピーク〜12:00、P2512下ったところの樹林帯TS

風が吹いている。テントがバタバタいっている。藤本いわく、風で隣のテントが夜中につぶれていたらしい。外に出ると、雨も少し降っていた。ガスで視界が最大数百メートルくらい。朝食は焼きそば。小宮OBはテルモスが無いので、ペットボトルに紅茶を入れていた。僕らが準備している横で、つぶれたテントの人たちは冬季小屋に移ろうとしていた。
夏道沿いに歩く。出発してすぐの2900メートルくらいの小ピークを巻こうとして、尾崎まっすぐ南へ行きかける。小宮OBに指摘されて気付く。東天井岳を巻いた際、残雪と言うか、雪渓のような場所をトラバースする場所があった。東天井を登り返して稜線上を進むか迷うが、トラバースが夏道に移るまで50〜100メートルほどで、トレースも付いていた。そのままつぼ足で横断する。その後はまた夏道がえんえんと続く。常念乗越への最後の下りの途中で、すれ違いの人に「常念乗越の手前で、雪庇の上を歩かなければならない場所がある」と教えられる。それらしき場所まで行ってみると、確かにすぐ左側が切れ落ちている雪の上をトレースが走っている場所があった。すぐ右側が低木帯で、そのきわをトレースがあることになる。とくに雪庇らしくも思えなかったので、そのままトレース沿いに行くことにする。
その後まもなく常念乗越に到着。正面に黒々とした常念岳が見える。乗越にはテントがいくつか見える。常念小屋の中で休憩させてもらう。非常に快適。濡れたものを乾かしつつ、これからどうするか考える。
だらだら決めかねたが、時間も十分あるように思われたし、ここまでは雨も風もそんなに強くなかったので、常念岳を越えて樹林帯の中まで進むことにする。
常念の登りはガレガレで、濡れていた。ピークに近づくと雨も風も強くなる。出発したことを後悔する。だらだら登って、風の中、頂上の祠につく。下りもガレている。ガスで終わりの見えぬまま、延々と下る。下りきって、P2512を登り返す。P2512から下って、樹林帯の中に入っていくと、道に雪が出てきた。風も弱くなったので、下のコルに到着する前に幕営することにする。視界があまり良くなく、ここから先に進んだ場合、幕営適地が見つかるとは限らないということで。
傾斜が緩く、広い雪面を探して整地した。さしあたって必要ないものを、ツェルトに包んで木の周りのほらにおいておく。雪のペグは小さく、ちゃんと効くかどうか不安だったが、上から蹴って深く埋めると効いているみたいだった。ただ、風が強くなかったので、本当に効いていたかはわからない。テントに入る。どうも、みんな大なり小なり濡れているらしい。僕はスパッツが雨どいのようになって、靴の中に水がたまっていた。ガポガポ言うし、まるでバケツである。田中、藤本も靴が濡れたと言っている。メンテナンス不良だろうか。
矢崎OBの持ってきてくれていた播州錦を、これまた矢崎持参のガスカートリッジで熱燗にしていただく。
天気図をとり、天気予報を聞いて、明日の天気はましになるとみた。予定として蝶が岳目指して進むことにする。
景色も何も見えない一日だった。

5月5日 4:00TS5:30〜6:20、P2592〜8:00蝶槍8:35〜9:25蝶が岳ヒュッテTS

朝起きると、風がテントをたたいている。朝食はラーメン。視界はかなり良くなっていて、ガスの隙間から穂高のほうも見える。樹林帯の中をP2592へむけて登っていく。ピークに着くと、蝶槍が見えた。つぼ足で下っていると、小さいクレバスができている急斜面を通過する箇所があった。潅木が濃くて、巻くのが難しそうだった。小宮0Bと矢崎OBが先行して、安全を確認してくれる。慎重に通過して、コルまで休憩をはさんで下る。蝶が岳も上部が夏道になっていた。人が続々とこちら側に降りてくる。蝶槍の上に人が登っているのが見える。最後の登りとばかりに、蝶が岳を登る。と、日が差してきて一気に暑くなってきた。しかし、あっというまに登りが終わり、夏道に入って蝶槍に到着。
ここで大休憩とする。蝶が岳のほうは人が大勢いて、こちらのほうにもどんどんやってくる。ガスはほぼ晴れて、槍、穂高が見える。蝶槍の上で、小宮OB矢崎OBは濡れた着替えを干し始めた。なんたること。
だらだらと蝶が岳ヒュッテにむけて歩く。昨日登った常念も見えてきた。大天井も見える。かなり早いが、昨日は強行軍だったし、蝶が岳ヒュッテ幕営とする。僕ら以外に、こんな早くからテントを張っている者などいない。まあいい。とにかく全ての持ち物を干す、干す、干す。全員干す。そして寝る。夕方まで、そこらへんを彷徨ったり、プリンを作ったりして時間をつぶす。
ヴァケーションとはこれ。

5月6日 4:00TS5:10〜8:11徳沢〜9:30上高地

今日は下山日。朝起きると、そばの斜面の雪が硬く締まっている。急斜面のつぼ足が怖くなるかもしれない。雲は見えるが、朝焼けが出て、視界はいい。長塀尾根を下っていく。出発後、田中がアイゼンをはく。中年の夫婦がアイゼンをはかず、ピッケルも持たず、ほいほい下っていった。やがて急斜面が出てくるが、このままいけると判断。しかし、数メートル進んでから、怖くなってアイゼンをはくことにする。かの夫婦はそのまま降りていった。年季が入っている。途中、数度の休憩をはさみ、雪もなくなったので、アイゼンは外す。やがて徳沢ロッジの赤い屋根が見えてきて、尾根を下りきる。
一休みしてから上高地に向けて林道を歩く。暖かい陽の光。絵に描いたようなきれいな風景だ。すこしブキミ。どんどん観光客が増えてくる。やっとこさ河童橋が見えてきて、下山完了。河童橋のたもとで、食いつぶしを行う。

さっきの夫婦とも再会した。「社会人山岳会でしょ?」と言われる。

 


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