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夏合宿(剣・真砂沢定着)  2001.8.4~11 


CL大西(3),SL藤原(3),明石(5),尾崎(1),矢崎(OB,6日入山)

源次郎尾根 源次郎II峰ABフェース



8/4(土) 曇のち雷雨
室堂(8:00)-別山乗越(10:55~11:10)-剣沢小屋(11:45~55)-真砂沢BC(14:45)

 大西・藤原・尾崎は前日,青春18切符で富山入りし,富山地鉄の最終電車で立山へ。駅寝を試みるものの,観光客が朝3時くらい(!)からやってきて,睡眠不足のまま朝を迎える。例年通り混雑しているケーブルからノンビリペースが眠気を誘う高原バスへ乗り継ぐ。室堂で夜行直通バスで来た明石と合流し,眠い目をこすりながら出発する。

 それほど視界は利かないにもかかわらず,室堂周辺は観光客が多い。「重戦車部隊」なんて周りから言われながらカラフルなテントの並ぶ雷鳥平へ下り,ガスに覆われ足元しか見えない雷鳥坂をゆっくりしたペースで登る。途中で尾崎の共装を一部分けたりしたが,例年よりかなり早く別山乗越へ着く。やはり剣は見えない。雨も降りだしてきた。

 剣沢小屋では山岳警備隊に計画書を提出し,雪渓はほぼ例年通りだが,長次郎左股上部などは雪渓が切れているので注意して行動してほしいとのアドバイスをいただく。ちょうどその時,一般路のカニのヨコバイで転落事故があったとの一報が無線を通じて入っていたようで,警備隊の皆様は救助の準備で大忙し,といった様子だった。雨のヨコバイ…。去年はかなり怖かった。改めて無事故ですごせるように,と思う。
 正午を過ぎた頃から雨はますます強くなる。雷もかなり近くで鳴っているようで,稜線上でなくてよかったな,と思う。冷たい雨の中,黙々と剣沢雪渓を下り,四方を山と雲に覆われた真砂沢へ。7月下旬に入山した去年に比べ,テントの数が多く場所探しに苦労する。少し石の多い所にテントを張り,ホッと一息。初めて使うモンベルのムーンライト・テントは比較的軽量で設営が簡単なほか,縫い目のシールもしっかりしていて,雨水の侵入も一切ない。快適なテント生活が送れそうだ。フライが無いので靴の置き場に困るのが唯一の欠点か。

 夕食の暖かい中華丼が美味しい。お腹がいっぱいになったところで早々とシェラフイン。昨日の寝不足もあり,よく眠れそうだ。

 日が暮れても雨は降り続いている。時折,雷が静寂を破っていく。


8/5(日) 晴  雪練
 4時起床。テキパキと準備をし,5時出発。長次郎を登り,熊の岩下の源次郎側の傾斜のきつい雪渓で7時~14時半頃までキックステップ,アイゼン歩行,緊急停止,滑落停止,スタカットの練習を行う。新入生の尾崎はツボ足での下りがかなり苦手なようで,雪練終了後,長次郎を下る際にも悪戦苦闘している。途中でアイゼンを付け,16時BCへ。

 夕食は豚汁。なかなか美味しく,特に下宿生には受けがいい。今日は涼しく,過ごしやすい一日だった。空には星が輝いている。

8/6(月) 曇ときどき晴  雪練

4時起床,5時出発。昨日とは場所を変え,平蔵谷・S字雪渓直下で雪練を行う。大西・藤原はスタカットを反復練習。尾崎は明石の指導を受けながら,キックステップ・滑落停止・緊急停止を練習する。尾崎のキックステップの下りもかなり安定してくるようになり,安心する。最後にスタカットを尾崎に教え,13時半頃,雪練を終了,平蔵谷をBCへ下る。尾崎もすっかり雪渓に慣れたようで,14時過ぎ, BC着。入山したばかりの矢崎さんに出迎えられる。途中,立山駅まではバイクで来られたそうだ。お疲れ様でした。

 ラジオによると,明日の富山は雨になるようだ。天気図でもオホーツク海高気圧の勢力が強く,夏らしからぬ気圧配置である。今後の天気のことを考えると少し気が重い。


8/7(火)
 雨のち曇  沈殿 

  予想通り,雨が降っている。ラジオの天気情報でも少なくとも午前中は天気は悪い,とのことなので早々と沈殿と決め,朝寝坊。10時頃,いったん雨は上がるものの,その後も分厚い雲から時折霧雨が降ってくる,といった空模様が一日中続く。本を読んだり昼寝をしたりしてノンビリ過ごす。


8/8(水) 晴のち曇
【源次郎本体】 大西(PL)・尾崎・矢崎  
BC(4:00)-取付(4:55)-I峰(8:10~20)-II峰(9:10~懸垂終了9:40)-本峰(10:30~11:00)-熊の岩(12:20~40)-BC(13:25)


 3時起床,4時出発。夕方以降は天気が崩れる,とのことなので早めの行動を心がける。

 月明かりの中,剣沢を登り,源次郎末端の平蔵側の尾根から取り付く。藤原・明石の上級隊が先に登っていく。後から妙に重装備な芝浦工大のパーティーが追いついてきた。聞けば,源次郎は始めてなので,慎重を期して,とのこと。取り付きの少しいやらしい岩を越え,ルンゼに下らないよう注意しながら尾根線を登っていく。所々いやらしい岩場やガレ場があるが,それほど問題はない。青空の下,雪渓とそれを囲む山々を眺めながら,快調に登っていく。一般路の平蔵のコルには多くの人がいるようだ。ルンゼとの合流を過ぎ,I峰への登りにかかる。足元で多くの高山植物が励ましてくれる。

 8時過ぎ,II峰到着。ここからの眺めは圧巻だ。剣本峰,八ツ峰,立山,そして谷間を下っていく雪渓群…。いつもながら,すごい所に来たものだ,と思う。少しの休憩の後,I・IIのコルへクライムダウンし,II峰へ。II峰からの懸垂もスピーディーにこなすことができた。II峰ABフェースへと向かう藤原ら上級隊を見送り,本峰へ岩稜を登る。本峰に近づくにつれ,雲が出てくる。

 10時半,ガスに覆われた本峰に到着。さすがに人が多い。ここは携帯も余裕で使える。11時出発とし,しばし休憩。ガスの切れ間から青い日本海が望まれる。

 下りは計画では平蔵経由を予定していたが,雪渓の状態がよくないため,長次郎左股を下ることとする。本峰からガレた岩稜を長次郎の頭とのコルへ下り,急な雪渓に入る。左股の雪渓は熊の岩の横で滝になって切れているため,途中から熊の岩へとガレ場をトラバースする。熊の岩からは八ツ峰6峰のフェース群が眼前に迫る。やはり,Cフェースは特に人気があるようで,RCCルートに数パーティーが取り付いている。再び青空が戻ってきた。長次郎を快調に下り,13時半頃BCに着く。

 夕方,ラジオ(富山の民放)で今日は"笑いの日"と知る(8/8でハッハ…らしい)。実は富山県が勝手に決めたとか。そういえば,どこぞのプールが日本海側最大(!)とも言ってたような。う~む…


2001夏合宿 剣岳 真砂沢定着          報告者 明石 直子

源次郎上級隊 II峰ABフェース    

L明石5 藤原3

8・8

 真砂沢BC3:55―源次郎取り付き4:50-I峰7:30-アプザイレンのコル9:00-休憩―II峰ABフェース取り付き9:30-II峰11:00-アプザイレンのコル11:30-休憩―12:00発―剣岳本峰13:00-休憩―13:30発―左俣の頭14:00-真砂沢BC15:20

 月明かりの中、源次郎尾根本隊よりひとあし先に出発。剣沢は所々凍って、つるつる滑る。源次郎尾根取り付きで、本隊が追いついてきて合流する。しかし、再び先に、尾根に取り付く。

 毎年、はい松帯のなかで枝に引っ掛かってくぐるのに苦労するけれども、今年は人の手によってはい松の枝が切られており、難なく進む。全然ひっかからないので、物足りない。はい松帯から尾根上へとでる岩は、昨日の雨で湿っており少々怖いが、その他問題なくI峰へ到着。

 コルから下ってII峰のトラバース開始。なんとなく踏み後がある。急な斜面をはい松をつかみ下る。はい松、なかなか手ごわい。藪のなかを先行する藤原3の姿が、はい松の海で見えず、明石5は不安になる。コールを掛け合い、はい松のなかで、お互いに苦戦していることがわかる。はい松が終わると、ガレのトラバースをする。草つきをつかみながらのぼるところもある。ABフェースを捜しながら、トラバースするが、よくわからない。

 II峰直下のアプザイレンのコルに登山靴・アイゼン・ピッケルをデポ。資料を見つつ、Aフェースらしきところの直下へ移動。

1ピッチ 藤原トップ 明石は大きな岩でセルフビレイをとる。

藤原は中間支点に岩の裂け目やはい松を利用する。はい松沿いにもろい岩を右上へと登っていく。ぼろぼろと岩がはがれ、本番の岩のおそろしさを体感する。40m

2ピッチ 明石トップ 資料では、2ピッチ目は'はい松帯を右にコンテイニュアンスで移動し、Bフェースへと取り付く'はずだが、確保点から真上にルンゼがあり、「Aフェースのルンゼを登りきっていないのではないか」と、藤原3が言う。明石5はルンゼを登ろうと潅木上にあるルンゼに取り付こうと試みる。ルンゼはむつかしくあきらめ、左から回り込んで登る。ここもまた、手で持つと岩肌がぼろぼろと剥がれていく。緊張しながら登る。II峰懸垂点に突然到着。 20m

 II峰から懸垂をする。本峰に向かう。本峰で無線をひらくが、本隊と決めていた周波数では他の人たちが交信しており、割り込むわけにもいかず使えない。本隊との交信はあきらめ、本峰から左俣を下る。左俣の熊の岩付近は滝になっているので、熊の岩を横切り、右俣にでて下る。

*反省/感想*

ABフェースがどこかわからなかった。ABフェースではないところに取り付き、1・2ピッチ目、共に、もろい岩の登攀となった。本番のルート探しの難しさを感じた。

I・IIのコルから、はい松を漕いでII峰を巻くというトラバースルートに行くことが出来て、'源次郎尾根縦走プラスアルファ―'という目標は達成できた。しかし、肝心の岩では取り付きがわからず、よくわからないところをのぼってしまい、あっという間に終わってしまった。ABフェースを確認しに、また行きたい。

―課題。



8/9(木)


 雨時々曇  沈殿 

  朝,一応4時に起きる。が,雨が降っているため結局,朝寝坊。富山県西部には大雨・洪水警報も出ているとか。早くも沈殿は2度目。やはり今年のリーダーは雨男だったか…。天気図を取ると,相変わらず夏らしからぬ気圧配置が続いている。

 夕方,矢崎さんが担ぎ上げたワインをありがたく頂戴する。周りは相変わらずの雨。ところで,尾崎は小6の頃から「オヤジ化してる」と感じていたらしい…。変わった奴だ。


8/10(金) 曇のち雨 沈殿

 4時起床。風は妙に生温いが雨は降っていないので,雨が降りそうならすぐに引き返す,という条件付で出発する。しかし,剣沢雪渓上でラジオで天気予報をチェックしてみると,昼頃から雨で所によっては雷にも注意が必要,と言っている。長次郎の合流付近で全員とも相談の上,中止を決定。厚ぼったい雲が熊の岩付近を流れていく。

 BCに帰っても,時間は十二分にある。藤原・尾崎・矢崎は平の池~仙人池へと散歩に行くことにし,7時頃出発する。大西,明石はテントの中で読書。昼前,雲が分厚くなってきて,とうとう雨が降り出す。13時頃からは本降りになる。ちょうどその頃,散歩に行っていた藤原・尾崎・矢崎が帰ってくる。雲に隠れて剣は全く見えなかったが,平の池のお花畑がきれかったとのこと。雨はさらに強くなってくる。

 ラジオによると,今日はハート(8/10)の日だそうだ…。天気予報も正確だし,時折少し変わったことを言うので,富山の民放はちょっと気に入った。プロ野球の話になると,妙に巨人よりなのは気になるが…。

 肝心の天気は数日,回復しそうに無いようだ。天気図も梅雨時のような気圧配置で,前線が日本海に停滞している。明日の朝の天気予報で明後日以降の天気が回復しないようであれば,明日下山ということに決める。


8/11(土) 曇のち雨
BC(6:15)-剣沢小屋(8:30~45)-別山乗越(9:20~55)-室堂(11:30)


  4時起床。相変わらず空は雲に覆われているようだ。天気予報でも大気の状態が不安定で,局地的な雨や雷に注意するように,と言っている。そして,昨日同様,昼前から雨になるようで,明日も雨模様の天気が続くようだ。今日も沈殿にして明日,八ツ峰というのも考えていたのだが,天気がよくなることは無いようなので残念だが下山,ということにする。

 久々に重たいザックを背負い,剣沢を登る。なんと,空には雲の切れ間ができ,太陽も顔をのぞかせてきた。しかし,真砂の裏手,尾根の向こうの内蔵助平と思われる辺りには積乱雲がかかっている。このような時の天候判断は本当に難しいものだ,と思う。剣沢で下山の報告をし,もう少ししたら大雨になるようだ,との情報をいただく。剣の周辺だけ雲が切れている。別山乗越に登り,剣の見納めをする。大日岳の方から雲が沸いてくる。

 室道を目前にして完全に雲に覆われるようになり,雨が降ってくる。最後の辛い階段を登りきり,盆休みで混雑する室堂へ。12時発の高原バスに乗ると,周囲は大雨のようだ。茫漠とした景色の中,バスはノンビリと下っていく。

 富山で生温い都会の空気に出会う。何かモヤモヤしたものも残るが,とりあえず無事故だったのはよかったな,と思う。銭湯で汗を流す。ジャグジーが気持ちよかった。


 直前の練習中のケガで藤本さんが参加できず,また,雨のため源次郎以降の日程を全くこなすことができなかったため,何か消化不良の感が残る夏合宿でした。一方で新入生の尾崎は雪練での技術も一通りマスターし,急な雪渓でも安定して下れるようになったほか,体力的にも十分で源次郎を例年よりかなり速いペースでこなすことができたことなど,収穫もあったと思います。

 しかし,やはり僕の不注意によって藤本さんにケガを負わせ,夏合宿への参加もできなかった,ということは本当に残念でなりません。練習計画に甘さがあったことや,お互いの実力の誤認,コミュニケーション不足があったことは否定できず,また,このようなことを再発させないためにも練習や技術,教育の方法などについても1度,考え直してみる必要があろうかと思います。藤本さんや他の部員全員には大変な迷惑をかけ,また,先生方やOBの皆様の今までのご指導に背くようなことをしてしまい,本当に申し訳無く思っております。今後の秋山,冬山に向け,今回やかつての事故などについてもう1度検証し,このようなことが今後2度と起こらないようしていくよう務めていきます。

 最後になりましたが, 藤本さんは,進んで合宿の準備を手伝っていただいたことや,僕に対しても寛容に対応してくださったことなど感謝しております。本当に申し訳ありませんでした。お忙しい中,登山本部を引き受けてくださった小宮OB,そして合宿の運営に協力をいただき,部会でも多くの建設的な批評をいただきました部員の皆様や矢崎OB,本当に嬉しかったです。ありがとうございました。 (CL大西)


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